お肉フェスタ?

-----薄暗い森の中気配を魔術で隠し、じっと何かみつめる影が2つ----



それは、皆様ご存知である。


私こと、レティシアです。名前がさっぱり呼ばれ無いので作者が忘れていたらしいです。



それはいいとして、



じっと、みつめる先にあるのは森の中に入ってから何度かになる素材集めのための獲物。標的。



私の目からみて、目測5㎞先に鹿のような見た目の体毛がまるで、ベールを纏うように光輝いているモンスター。


おそらく、近くで他の獣が水を飲んでいるのを見て、警戒心を解いている。


私はそう判断して今度は出来るだけ周囲に被害を及ばさぬように、ただ魔力を通常より多く練り込みながら私はコマンドを詠唱した。



『氷棺』



そして、鹿の足元が一瞬青白く光ったかと思うと氷柱が一瞬で出現した。


だがその中に鹿はいない。


足元が光った瞬間に飛び退いて攻撃を回避していた。ほぼノータイムの攻撃をこうもあっさり回避された。


地味にくるものがある。


でも、こんな曲芸程度では私もアリアも隙を見せたりはし無い。


先程のあり得ない速度の離脱を実現させたのは魔法の一種である、呪術『身体強化』だ。


普通、獣が魔法を使ったら驚くらしいのだがこの森の表層程度ででてくる魔物はともかく中心に進めば進むほどこういう魔術を使う魔物や聖獣がでてきてもう既に何度か戦闘をしている。


中には体毛が炎で出来ている魔物なんかもいた。


そもそもゲームでは大抵の魔物はスキルを使っていたので、やっぱり使うんだ、と思う程度でしかない。


というかどちらかといえば難易度が下がっているとさえ感じる。


だが、通常の者なら不意打ちに失敗した地点で新たに呪文を詠唱して魔法を使うか、逃げ切れるわけがないが逃げ出すのが普通らしい。


だが、それは通常ならの話であり、私は勿論、アリアには何の問題もないし

そもそも私の魔法はまだ完結してい無い。


ずっと俺のターン!


「まだまだだね」


パチン


そうやって、私の指を弾いて鳴らす音が森に響いた瞬間--私の背後に夥しいまでの氷の弾丸が出現した。それを連射する。初めのうちは、聖獣も回避仕切れていたが徐々に当たり始め最後には、聖獣は凍りつき凍死した。


「ふぅ…」


私はここで、緊張をといて思考をもとにもどした。


と、その時横で戦闘を間近でみていたアリアがパチパチと拍手をしながら


「うむ、やはり流石あるじ様。主の戦闘は見ていて清々しいものがあるのう。あの聖獣は脚の速い事で有名なのじゃが流石じゃ」


うんうん、と納得するように頷いている。


なので


「いや〜。それほどでもあります。あととりあえず解体しておきますね、『解体』っと」




「あるじ様は、謙虚さをまなんだほうがいいんじゃないか?しかし、本当にさっきから全く皮に類する物がおちないのう」


「ええ…わかっていますよ…。わかっていますとも。何でこの森にはいってから肉系のアイテムばかり落としていくのですか!?

私達が今ほしいのは毛皮等の鞄に必要なものなんですが!

なのに何でお肉なのですか!?そんなに肉が好きかお前ら!皮はどこにいきましたかwhere!!」


はい!大好きです!


お前じゃねぇーよ!神様さくしゃ


ウガァーーー


そう…そうなんです…なんと、な!なんと!


記念すべき?オークとの一戦目以外の魔物との戦闘以降全ての獣類を『解体』して残るのは強ければ強いほど落ちる確立が低くなるはずの肉系アイテムなのだ。


「クッソォーーーー!!!!!うまいだろうが!」


「お、落ち着くのだ、あるじ様!」


と、少しアリアに窘められるくらい感情が高ぶってしまったので落ち着くために今までの悪夢でも思い返しましょうか。




◇◆◇◆◇◆◇


二匹目の犠牲者


その魔物は人喰いウサギとかいうマジキチ設定のゲームでも登場した魔物で、普段の可愛いらしい。

まさにウサギというような見た目から攻撃する瞬間にだけ

子どもなら泣いて逃げ出しそうな見た目に変化する。


通常あり得ないだろう大口をあけて、普通ではかん変えつか無いであろう毒の牙を覗かせて襲ってくる様はただの恐い見た目の魔物より恐いという


ある意味末恐ろしい魔物だ。


そこで、近すぎたくなかった俺は『氷棺』で一瞬で終わらせた。


これは、先程の鹿の聖獣にも使った魔法だ。


暫定的に『氷棺』と呼んでいる。


アリアいわく「言葉に出す単語一つで効果が結構変わってしまう」とのことだった。


まあ、言霊使いって職がありますしね、ああ僕は勿論アリアは全スキル修得済みですよ?


それはともかく、初めて意識的に魔法が使えた事に僕は子どものように笑顔でピョンピョン跳ねて喜びました。


だって魔術もそうですが魔法ですよ?


魔術は論理的なんたらの技術だとかよく小説で言われますが魔法は奇跡らしいですからね。


あ、俺の精神が見た目に引っ張られてこういう事をしたとかではないと思いますのでまだそこらへんの事は大丈夫だと思います。


ええ思わせてください…


そしてここから悪夢は始まっていたのです。


先程倒した、人喰いウサギに対して『解体』を使ったらのCランクのそれなりのお肉が落ちました。


その時は日本人ですからね、食べたことのないウサギ肉です、それに今更ながらこの世界に来てから半日も何も食べてない事に気づきまして素直に喜び、ただ魔法で焼いただけの味でしたが美味しくいただきました。


ジビエというやつですかね?


そして、それでも流石にウサギぐらいの大きさでしかもちょっと少なくなったお肉なので

いくら俺が今は女性とは言っても、女性2人の食事として分けたら、結構物足りなかった。


しゃあないので、狼系の魔物のツインウルフという双頭の狼(一瞬オルトロスかと思った)でしたが先程の兎もどきと同じように氷付けにしてから『解体』をしたら今度もC+のお肉がでましたので美味しくいただいちゃいました。


まぁ、さすが肉ばっかりたべてるのは、飽きてきました。


そして、流石に前世?よりはかなり早く僕はお腹も膨れましてアリアは「まだ食べられるぞ!」と言っていたので僕は女性としてもあまり食べられない方のようでした。



次に出てきたのは、珍しくただの獣である熊、いや十分危険だけどね?

魔法を使うとちょっとオーバーキル過ぎることが判明していますので


ということで初お披露目のスキル『銃器錬成』で作った『バレットM82A1』でど頭をぶち抜いてみた。


え?対物ライフルもオーバーキルだって?神様さくしゃの趣味だよ。

気にしたら負けだ。


バキュン


うわー、これはグロい。

かなり綺麗にベッドショットが決まってしまいモザイクが必要になるほどに飛び散っていた。



それでも、今回は獲物の大きさが大きいためか3つほど落ちまして

流石にもう食べれ無いということで


簡易アイテム袋と化している魔封じの網の中にアリアが上手く調整して武具と防具の間に収納スペースをつくりだし、そこに詰めてもらった。



はい、そこまではよかったのです…


そこまではよかったのですがね…



次にでてきたのは、なんと言いますか、そろそろ森の深い所に来たんでしょうかね?最深部なんですかね?


結界のようなものがありましたが、好奇心でアリアと力を合わせて破壊せずに通り抜けました。すり抜けました。


流石に、アリアといえど「こんな場所は聞いたことがない」とのことでした。


まあ、それもそうなんですが

あくまでもアリアの知識は、この世界で『観測』された全ての事象なので、発見者がいないこの結界のことは当然知りませんでした。


ズンズンと森を進んでいると、出てきたのは、魔物の中でも上位の個体であるコカトリスでした。


この魔物は、石化の魔眼と石化のブレスというプレイヤーには魔眼(先天性スキルとして存在)はともかくとしてどうやっても入手できない魔法を使える魔物

という意味ではなかなか面倒な敵だった。

どうやって倒したかと言いますと

『魔眼』系統のスキルは、その強弱にもよるが、相手を見て認識するだけで

効果対象になるものがあった。

というわけで某蛇の気分で姿を隠しつつキルしていった。


コカトリスは、そもそもとして死んだ瞬間、石になり『解体』をかけると『コカトリスの涙』という回復アイテムが泥った。


この後、色々と動物をハンティングしまくったが肉ばっかりが泥りまくった。


この時点で、流石に何かおかしいなと思いアリアに言ってみたのだが


「うむ、確かにそんな気もするが、そもそも皮より肉が落ちる方が稀なのじゃ。あるじ様は変に偏って幸運のようじゃの」


と苦笑されてしまいました。


まあ、流石にこの後は似たような展開なので割愛しますが


(以下略)ってやつです。


その後は10回くらいですかね


聖獣やら魔物やらを、出会った瞬間に叩くというサーチアンドデストロイな戦闘方法を確立してしまいその戦果が……





◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「…ん、そろそろ落ちついたかのう?あるじ様?」


と、俺が悪夢を思い出して

気分が沈んで周りの空気がすっごいどんよりしていたのが

時間が少したち落ち着いたのを確認してアリアは安堵したようだった。


その表情をみてアリアに迷惑をかけてしまったのではないかと少しだけ不安になりました。


「ええ、落ち着きました。迷惑をかけてごめんなさいアリア」


「いやいや、気にしなくていいぞ、あるじ様。流石に私でもこの肉類ばかり落ちる現状では八つ当たりで森の一つも消し飛ばしたくなるしの」


「そう言ってくれるとありがたいです。それで、もう少ししたらあの樹木があるのは確実なのですか?」


と、アリアが、ジョークを交えつつ慰めてくれました。ジョークだよね?


先程俺が悪夢を思い出している間に言ってくれた事にたいして質問しました。


「うむ、あのこの場所にはいる前にあった結界といい、この聖水が流れているっぽい滝と湖といい確実にここにあるだろうな」


「アリア、というかここはどういう場所だったんですか?」


と、質問にたいして結構具体的な返答がきました。


「元々ここは、さっき通った結界によって隔絶された世界だったわけじゃ

恐らくは、聖なる力の吹き溜まりのような場所なのじゃろう。

そして、その聖なる力が水に溶け込み聖水となるわけじゃ」



「聖水、ですか…?この湖全てがそうなのですか?」


ちょっと触れてみたくなりますね…


と、好奇心にかられて手を伸ばしかけたのですが



「ってぇ!馬鹿者!それに触れてはだめだ!」



「え?ってわわわ!」



と、言う焦りの声とともに後ろにおもいっきり引っ張られて尻餅をついてしまった。


いったい、いきなりなんだというのでしょうか?



「ふぅ。まったく、やはりあるじ様を一人にするのは心配じゃな。

…というかな、あるじ様。主は今、吸血姫だというのを忘れてはおらぬか?この超純水の天然の聖水にふれたら、分類的には魔族であるあるじ様は残りHPを無視して消滅する可能性が極めて高いんじゃ。あまり心配させないでくれ…」



と、最後の部分は本気の口調と顔で言われ少し顔が青ざめました。


転生初日に知らずに触って消滅しちゃいましたは笑えなさすぎます…


そうして青ざめたまま立ち上がれないでいるとアリアが抱きしめてきて


「そんなに不安にならなくとも良い。不安なところは私に頼ればいいんじゃからな」


と、頭を撫でながら言われて少しだけドキドキしてしまった俺は悪くない。


こ、これは女性に抱きしめられたら誰だってドキドキするに決まっている!


俺はまだ大丈夫なはず!レズじゃない!


「え、えっとあ、ありがとうございます、アリア!

と、とりあえず滝の上の方かも知れませんし崖しかみえませんが近づいてみましょう!」


「ふふ、了解だあるじ様。うむ、行ってみるかのう」


なんと無くアリアには一生勝てる気がしない。

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