鬼合戦ですか?





敵の親玉がいるかもしれない場所に向かう途中

私たちは今のところ襲われる事もなく進めている。


幾ら何でも襲われな過ぎる。


気になったので、一旦足を止めてアリアに確認をとりつつ質問する。


「あの…アリア。少し気になった事があるのですがいいでしょうか?」


と、聞きくとアリアはアリアで、考え事をしていたのか反応が一瞬遅れてから

気づいてくれた。


「…ん…ああ?どうしたのじゃ?レティ。妹からの質問なら、姉であるこの儂が答えようではないか」


そう言いながら爽やかに笑うアリアが

とっても可愛くてドキドキしてしまう


周りが火の海だってこと忘れそうだ。


…今は油断しないように、落ち着くのを心掛けつつ質問する。


「あ、ありがとうございます、アリア。

で、気になった事なのですが

私を含めるプレイヤーの従者は、現実いまはどのようになっているのですか?

…そもそも、存在しているのですか?」


そう私が聞くとアリアは「む〜」と少し思案するような顔になってから

その質問の意図を理解してくれたのか確認のように質問されます。


「…それはこの村を襲ったオーガは「プレイヤーの従者じゃった魔物じゃないか」レティは思っているということか?」


「ええ、そうですよ、アリア。

…でなくてはゲームの世界に比べレベルが低いこの世界の住人にこのレベルのオーガが使役できるはずがありません。

なぜなら


いくらゴブリンとはいえオーガがゴブリンを『使役』している以上

そのオーガはストーリーの中盤以上のフィールドにいるはずのモンスターです。


なのでおそらくは

あらかじめ調教されていたものを引っ張りだしたのではないしでしょうか?」




と、私がここまで来る中で考察した内容をと示す。


アリアが納得顔になってから頭を撫でてくれ

説明してくれるようです。


「私も薄々そんな気はしていたんだが…流石レティじゃな。

うむ、それでな質問の解答なのじゃが」


そう言ってアリアの口から伝えられた事柄は私を驚愕させるのには十分だった。


一つ目は、一部のプレイヤーがこの世界にいるらしいということ


二つ目は、プレイヤーが使役していたNPCの大半が今も生存していること


「すまなかった、こればかりは儂の情報ミスじゃ」


とアリアが凹んでしまった。


「え、えっと…そうなのですか。それなら、装備はちゃんとした物にした方がいいのでしょうか?アリア」


と、アリアに取り敢えず雰囲気を変えるためと、それなりに真剣に装備を変更するべきか質問をします。




さてさて余談にはいりますが




ゲームの時は従者になったものは、育成が可能でした。

ですが、使役の方法には2パターンがあり

片方は、自我を持たせたまま仲間として一緒に戦う方法

もう片方は、完全に自我を奪い隷属させる方法


どちらにしても育成が可能で

野生のモンスターとは一線を画す可能性がありました。




「…ん?いやいや、儂らならたいして問題にならぬと思うぞ

よくも考えてみろ儂らのスペックを」


と、アリアが言いますので

ああ、なるほど…私たちチートでした。


しかもゲームじゃ出来なかったことができるのだなんの問題もない。


そう思ってから、アリアに同意してから進む事にします。


「それもそうですね…。

では、お姉様行きましょうか!」


「うむ、行くとするか!」






そう言ってから、私の今の歩幅では、5、6分程度かかって村の中心…

だろう広場についたのですが…


「ヒハハハ!頭ぁ!メス2匹しかいないじゃありませんか!」


「オデ、あの黒いの貰う」


「ヒハハハ!お前ぇロリコンか?まあ、あの純情そうな顔を汚すのはそそるがなぁ!」


「オイオイ、それなら白い方が堕としがいあるってぇもんだろ!」


「違いねぇ!」


「「「「ヒハハハ!」」」」


…等々聞くに耐えない気持ち悪い単語が、ゴブリン共の中で飛び交っている…。


それに、周囲にに総勢100を超える数のゴブリン


その中心には


『紅蓮』と言う魔物用課金防具を全身につけ

手には巨大で無骨な斧を持った

上位個体レッド・オーガがまるで王様のように嘲るような態度で立っている。


さらにその両脇には、大剣を持ったオーガもいる。


…その態度やゴブリンの言葉で私はかなりイラついていたのだが…


私より先にアリアの堪忍袋の限界がきたようだった


「…貴様等、儂の妹を想像だとしても汚そうとするとは死にたいようじゃのう…?『雷霆降誕』」


と、言って自分の事より私の事で怒ってくれた事に、凄く嬉しく思ったのだが…。


危な!


アリアが空に手を掲げると雷雲が召喚され雷撃が周囲に降り注ぐ


アリア、ブチ切れすぎて私の被害考えてない。


「うわっ」



と、色々な意味でドキドキしていると、レッド・オーガが回避に成功していたようで腹立たしげに、しかも高圧的に言ってきます。


「貴様…!人間のメスごときが俺様が喋る前に攻撃するとは殺されたいようだな…」


と、同じような事を言うので、非常に腹がたちましたが…


かませ犬感が満載だったので

取り敢えず私は黙ってアリアにまかせる事にした。


「ほう…メスごとき、か。ならば私に倒されるような畜生は一体なんなんじゃろうな?」


と、見下してクリムゾンが言うと

レッド・オーガの額に血管が浮かびこちらもキレたようだ。


…ていうかアリア、かなり腹立っているようですけどこのまま任せて大丈夫でしょうか…?


今のアリアなら地図を変えられる気がする。


それに私も腹立たしいですが、何でこんなに怒っているのでしょうか…?


「貴様…!粋がるなよ…このプレイヤーの従者だった酒呑しゅてん様が相手をするまでもない。行け茨鬼」


と、私の予想が但しかった事が、変なところでわかりましたが…

二体のオーガが命令されてこっちに来ているで、あまり油断もできません。


…というかこの名前…酒呑童子と茨木童子じゃないですか…?


などと思い苦笑してしまった。


取り敢えず、奥にいる酒呑とかいうのと違って油断なく距離を詰めて来ている

茨鬼というオーガの相手をしようとしましたが

アリアに前に立ち手で遮られました。


「…すまないのう、あるじ様。ここは儂にやらせてくれ。

なに、あの程度なら2分でかたがつく

じゃろうて」


と、後ろを振り向いてから不適に笑って言うので、その態度と表情にドキドキしてキュンキュンしちゃいます…。


…って完全に百合な娘の反応じゃないですか、これ…?


いや、きっとアリアが可愛過ぎるのがいけないんだ。


と、私がドキドキしつつショックを受けていると、茨鬼が何故か理解できない、というような顔をしています。


「…別れの挨拶は済んだか、非合理的なメス共」


と、高圧的に茨鬼は言ってきます。


別にアリアがいますから怖くはありませんが…非合理的とはなんの事でしょう?


「それをするのは貴様の方じゃろう?それと、何が非合理的なんじゃ?」


と、アリアも同じ事を思ったのか質問しています。


「そんなものは決まっている、メス同士で子も残せんのに、貴様がそこのメスを守ろうとするというのは、そのような関係なのだろう?非合理以外に何があるというのだ」


と、言う言葉に私はいろいろムッとしたのですが…クリムゾンは私の倍以上に怒っているようです…。


何故なら…


「交尾しか考えられん貴様等のような

畜生共に理解されたいとは思わんよ

『雷神纏武』」


と、言ってクリムゾンが狙ったところは…


「ぐっ…き、貴様…な、何故そのような所を狙う…この卑怯者!?」


「はっ!決まっているじゃろう?

貴様もその非合理的な事しかできないようにしてやるんじゃ。

ほら、早く防せがないと焦げ落ちるぞ?『プラズマランサー』」


「ぐあっ…あ、悪魔め…!」


…全オスの急所だからなのです。


ないはずの息子がキュッってなった。






…それから1分程同じようにクリムゾンがオーガを嫐って

少しは気が晴れたのか攻撃の手が緩んだところで

ようやく茨鬼がちゃんとした反撃に移り戦闘らしい戦闘が開始されました。


「…ふん、ようやく反撃をしてきたか。貴様等がいたせいであるじ様との、旅の記念すべき最初の村が潰れたのじゃ

その程度で死ぬなんて許さんぞ」


と、言うクリムゾンは、別に愉悦に浸っているような表情で次々と魔法をオーガに当てている。

色々怖くて震えていると、頭を撫でてくれました。


「ぐ、ぐぅ…メスの分際でよくもやってくれたな…!殺す殺す殺す殺す!死ねぇ!『死突』!」


アリアが撫でてくれている隙に茨鬼が殺意満載でスキルを使ってきます。


…そのスキルは、MPを全ても消費する代わりに確率で即死効果を与えるというものです


…なので、私はそのスキルを嘲るような笑みを顔に浮かべた茨鬼に

生まれ変わって初めて死が真近にある恐怖感じて目を瞑ってしまった。


「ふん…そんな大振りな一撃が当たるものか」


と、言うクリムゾンの声とともに


ガキィィン


という鉄と鉄がぶつかる音が響いたので、目を開いて見るとアリアが素手で

大剣の腹を叩いて強引に軌道を変えていた…。


うわ〜マジか


そう思って惚けていると、アリアが、優しく抱き寄せてきました…。


なのでいきなりどうしたのでしょう?、と思って顔を見上げると、アリアは少し心配そうにしていました。


「…ん?怖がっていたように感じたんだが…もう大丈夫か?」


と、言うので落ち着かせようとしてくれたという事がわかり、嬉しく思う。


「ありがとうございます、アリア。少し怖かったですが…もう大丈夫です」


と、正直に言うとアリアは、優しげに笑ってから

正面を向いて怒り心頭という顔で

弾かれた事に驚愕して固まっている茨鬼に死刑宣告を下しました。


「という事だが…貴様らは、あるじ様を怖がらせた。これは万死に値する。

死体すら残さず殺し尽くしてやる…『建御雷神』」


という言葉と共にアリアの周囲に神性すら感じさせるほどの最上級の魔法が6本出現した。



雷鳴を轟かせ文字通り神速で飛翔した剣は跡形もなく鬼を消し去った。


…なんて言うか、アリアは私に怒る事はない気もするが、怒らせたら大変な事になる事は理解できてしまう戦闘だった…。


と、心の中で苦笑していると、アリアが酒呑を挑発しています。


「それで、相手をするまでもないのでは、なかったのか?」


「チッ…化け物が…。だが、貴様のような化け物を倒すのも久しくしていなかったからな、俺様が直々に殺してやるから光栄に思え」


と、あくまで高圧的に言う酒呑にイライラが募り過ぎて爆発しそうな時

アリアがそれを解消してくれるいい案をだしてくれました。


「ふん、そんな光栄はその辺の犬にでも喰わせてしまえ。

まあ、貴様の相手はあるじ様に任せるとするよ、ストレス発散というやつじゃな」


と、言って1回頭を撫でてくれてから、がんばれ、と耳元で囁かれたので、笑顔で頷くと満足そうに後ろの方に行って見ていてくれるようです。


と、その行動をアリアがMPがきれて戦えないと、見たのか嘲るように挑発してきた。


「ハハハハ!何だかんだ色々言った所で、茨鬼の攻撃にビビっているような妹を犠牲にするのか?ハハハ…は?」


「『跪け』」


アリアを侮辱したのが気に入らなかったので黙らせるように

『言霊使い』の能力をつかい酒呑跪かせ刀を抜き放ちながらこう言います。


「…さあ、鬼合戦を始めましょう」



そう言ってから私の戦闘おしおきが開始された。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る