あいきゃんふらい?

私が回想?と言うか説明?を終えるとタイミングよく、見終わって帰って来たのと思われるアリアが横に降りてきて結果を報告してくれました。



「うむ…。あれはダメじゃな、飛ぶか、跳ぶ以外登りようがないのう」


「そうですか…。本当に迷惑をかけてすみません。お疲れ様でしたアリア」


そう言って頭を撫でてやります。


結果をちょっと期待していたのですがちょっとがっかりしちゃいましたが

別にアリアが悪い訳じゃないですしね。


「そんなにうかない顔をするでない、あるじ様。それに、主は飛ぼうと思えば飛べるはずじゃぞ?」


「……へ?」


今、クリムゾンは俺も飛べると言ったか?


確かに飛べればこの問題も解決するが。

そもそも俺には翼がないのだがいったいぜんたいどうしようというのかな?


と、俺は急に突拍子も無い事を言われ一瞬だけ今のこの状況をすっかり忘れてしまいました。


「へ?と聞かれてものう。

てっきりあるじ様ならば知ってとばかり思ったのだが。まあそれはいいとして、ではまず、この世界では姿を変えるスキルがないのは知っておるか?」


と、いきなり話の関連性をあまり感じられない質問に疑問を感じつつ返答します。


「ええ、たしか、無いと言うよりは、あるが使え無いのでしたよね?」


まあ、知っていると言ってもスキル集めの情報収集をしている最中に読んだ神話のような物語せっていの話ですが…


「うむ、そうだ、流石はあるじ様じゃ。遠い昔に『変身魔法』が作られた直後、王の暗殺が頻繁に起こるようになり

即、対策魔法が編まれてそれが世界に網目のように拡散されておる。

まったく古代文明は面倒な事をしてくれた」


「え、ええ…。そもそも私には翼がありませんし、そもそも吸血姫は空を飛べないのではないですか?」


そう、吸血鬼は空を飛べないという設定だったはずだ。一応設定上には、霧やコウモリになって移動する。と書かれていたはずだ。


霧やコウモリに姿を変えて擬似的に飛行するにしても、この世界では姿を変える事がそもそもとしてできないために

不可能であるはずなのだ







?



いや待て

ならどうして、


「ようやく気づいたかな、あるじ様。


そうだ、この世界は【ゲームげんそう】なんかじゃ無く


まぎれも無い【リアルげんじつ】だ。


吸血姫やその劵属たる吸血鬼が大空を飛べ無いなんて【ルールせいやく】はない。


風を操り飛ぶ事も、我のように影の翼で飛ぶ事も自由自在なのじゃぞ?」


その話を聞いて自分の口角がつり上がっていくのを感じた。


自分の柄にもなくワクワクしている。

よくよく考えてみれば、この世界はゲームの世界などではないのだ。

自分がしたいように、やりたいように魔法を使え、体を動かせる。


どこかで俺は、ここがゲームの中にまだいるものだと考えていた。


はっ!最高じゃないか俺は、私は、この世界を遊び尽くしてみせる。



「アリア!ありがとう!」



「ぬ?こ、こう、急に面と向かって言われると存外恥ずかしいものじゃな」


急にお礼を言われたアリアは顔を赤くして俯いてしまった。


可愛いよアリア!鼻血出そう。ハァハァ


っと変態思考はここまでにして


「さて、こんな感じかね?」


以外とむずいなこれ?


「うむ、それなりに難しいはずじゃから、とりあえず何回か試してみるといいぞあるじ様」


「あ、はい、やってみます。すぅ…はぁ…」


と、かなり簡単過ぎる気がしてあきれていたのですが一応、難しいと他ならぬアリアに言われましたので深呼吸して集中します。


そして私はイメージする!


まず、見た目、機能、私がどんな姿になりたいか明確にイメージを固める。


そして、難しいというのはよくある、人間にはない部位だから想像しにくく、動かしにくいという事なのでしょうか?


ですが、このチートスペックな私の場合翼に関しての想像は生前からのこの厨二脳とアニメなどのキャラクター知識のものを混ぜさらに、足り無い部分の想像は多分魔法か何かで補える気がします。

なんとかなるさ!


たぶん!


まあ、最悪失敗した場合は

「助けてよアリエモン」


「しょうがないなぁ。あるじ様は

パンパカパンパンパーン高速輸送〜」


と某青い猫型ロボットばりに頼って仕舞えばいいのだ。一家に一人アリアが必須です。もう手放せませんね。

最終手段はアリアに助けてもらえばいいと思いますので、安心できますね。


なので遠慮なく、躊躇なく、躊躇いなく想像します。


想像するのは吸血姫らしいというか悪魔っぽいデフォルメされたコウモリの翼。


そして、存在する場所は背中の肩甲骨の付近に設定。


さらに、私は空中を背中の翼で風を制御することにより飛行ではなく飛翔・・する想像をし終え、想像したところに今までなかったものが肩甲骨の辺りに形成された感覚がわかりました。


「ほう、流石じゃのうあるじ様

我とお揃いじゃ!」


ほれほれと自分も翼を出してアピールしてくる。


私の肩甲骨の辺りから黒い翼が生えた。


むー、これどうやって動かすんだろ?


「で?アリアこれどうやって動かすんですか?」


アリアがズッコケた


「まさか、何もわからずに創ったのか?」


「はい。ぶっちゃけて今まで生きていて羽なんて生やしたことないのでピクリともうごかせ無い自身があります」


腕を組んで堂々と言い放ってやりました。


「はぁ、どうしてそんなに自信満々なんだあるじ様は」


「ふふん。私をなめ無いでください。

私は、基本その場のノリとテンションでいきています」


あれ?なんか呆れたような顔をされちゃってるよ。


「はあ、とりあえず、肩甲骨を動かすイメージです。翼があるという事を感じてもらうためにちょっと触りますね」


「はい。大丈夫です」


「いきますよ」


「ひゃんっっっ⁉︎」


「どうかしましたか?あるじ様?」


「な、なんでもないです」


なんだったんだ今の感覚は

なんとも形容しがたい、こう、ふわふわとしたような感覚


「では、もう一度いくぞ」


「ん……っ、ふぁ………っん、んん

あ、ありぁ……ちょっ…すとっ」


「あ、なんか楽しくなってきたのう!」


ちょっマジ待ってマジで


ヤバいなんか目覚めそう


◇◆数分後◆◇


「うぅ………なんか男としてのアイデンティティーが崩れた気がする」


しくしくしくしく


「す、すまんのう。途中からあるじ様の反応があまりにも可愛らしくてな。許してくれ」


「始めは私から頼んだことですし許しますよ。ほら、そんなにショボンとして無いで」


よし、とりあえず背中の羽が体の一部という実感は持てた。


一度羽ばたいてみる。


すると頭に


ピコーン


と、まの抜けた、というか気の抜けた、割と俺には馴染のある聞き慣れた効果音が響いた瞬間に目の前にウインドウのような半透明なものが表示された。



それはそう…



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

スキル獲得


固有スキル

New『飛翔フライ



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




新しいスキルの獲得、つまり空を飛ぶ準備が整ったという情報でした。


そして成功した事に喜びを感じましたが、できた事により目的地に行けるあしができた事になりましたから早く素材を集めに行こうとは思うのですが…


「うむ、成功したようじゃな。なら、何か嫌な予感がしないでもないが…行くとするかの、あるじ様」


「そうですね…。一応用心しつつ行きましょうか、アリア」


そう、魔鉱石なんていうレア素材で構成された。まるでそびえ立つようにある崖


ゲーム脳にビンビン来てます。


余談だが


飛翔、という文字を英語で書きますと、飛行と同じflightという文字になります。


ですが、辞書などで調べてみますと飛行は、空中を行くこと、を意味していて、飛翔は空中を飛びかけることを意味しているとわかれるんですよね。


それに飛びかけるって空高く飛ぶっていう意味なのですが僕的にはは空高く飛ぶっていうからにはまずそれなりの高度に飛び上がってから安定して空中を移動できるようになる気がするんですよね。



まあ、つまり何を言いたいかと言いますと…



「きゃゃゃあぁぁ!?と、とまってくださぃぃ!」


俺の想像イメージで形成されている翼なのですからもちろん飛翔しようと思えばそれなりの高度になるまで止まらない感じに設定してしまったらしいです


きゃあとかまるっきり女の子な悲鳴あげてますけど生身だけで心の準備もせずに、時速数十キロの速さを体感したらそんな悲鳴もでてしまうというものでしょう!


と、泣きながら心の中で言い訳のようなものを告げていると、少し下からアリアが


「お、落ち着け!あるじ様。

多分だが、形成時に何か失敗したのだろうが、兎も角、落ち着かなければ停止させる事もできない!」


「そ、そんなこと言われましても!制御がきかないんですよぉ!」


そう、実際のところそうなのです


この、固有スキル飛翔を選択してからのところ今のところまだ、全然制御できる気がしないのです…!


「なかなか困った状況じゃ

少々怖いかも知れないが、我慢してくれ、あるじ様!『風の揺籠!」


と、僕が泣きながらパニックに陥っているとアリアが何らかの魔法を行使しました。


なんて言いますか。まるで私を包み込むように風がふいています。それによってなのかゆっくりと減速し、私を押していた風が霧散していくのを感じました。

てぇ、風がないってことは


「いやぁぁ!落ちるぅぅ!怖いです!怖すぎますよぉぉ!?って…え⁉︎」


つまりまっ逆さまに落ちる…ところだったのですがアリアに抱き止められました。


なんていうか…少々怖い程度じゃないのですが


ていうかまっ逆さまに落ちている人を抱き止めるってなんていう神業ですか…?


流石アリア


と、どうでもいい事を泣きながら落ち着くために思っているとまたクリムゾンに頭を撫でられて…


「よしよし…泣くな、あるじ様。…流石に私も飛行をぶっつけ本番でできるとは思っておらんかったがこうなるとはな…。何を想像した結果なんじゃ?」


と、慰められつつ何故か撫でられている事で落ち着いてきたので質問(というか独り言のようでしたが…)に答えます。


「ぐすっ…。えっと翼を羽ばたかせて飛ぶやり方がよくわからなかったので…風を制御して飛ぶように想像したんですよアリア。そ、そしたらぁぁ……。ぐすっ…」


すると心当りでもあったのかクリムゾンが苦笑しながら


「ああ、なるほどそういう事か…。

その方法での飛行は無理だな。まず、制御に問題がありすぎるし。

というかそういう事なら今のスキル名は飛翔になっているのか?」


と、言われたので少し驚いてしまいました。


「え、ええ…そうですね。飛翔になっています。あれ?どうしてわかったんですか?」


「なに、誰にだって失敗はあるってことじゃな」


と少しバツの悪そうな顔をしながら話してくれました。


触れ無いであげましょう。


このまま抱き締められたまま行くのは、今はまだ落ち着いてないので恥ずかしいよりは、安心感の方が優勢されていますが落ち着いたら大変なことになりそうです。


そう!確かに背中に感じる発展途上の柔らかさとかでね。


「うむ、それならな。

私が想像を補填するためにいろいろ教えようではないか。ああ、何も心配する事はないぞ?あるじ様ならすぐ飛行を使えるようになるじゃろうからな」


それはありがたいですけど…いいんですかね?迷惑かけっぱなしの気が。


「む?なんじゃ?なぁーに心配するでない。今は、ちゅーとりあるというやつなのじゃいくらでも迷惑をかけるがいい」


「そうなのですか?ありがとうございます、アリア。でもいいのですか?」


「ん?何がだ?」


「何がって…。最初、それを教えてくれなかったのは何かわけがあるのかと思ったのですけど」


そう、何がと問われたらこの解しかないのです。


今日だけでアリアが私にかなり過保護な感じなのは感じていたので、そういうのがあるなら最初から教えてくれていると思ったのですが…


「ああ、何だそういう事か…。実はのあるじ様あるいは、もしかしたらできるのか、と思ったのと、ぶっちゃけて忘れてたのじゃ」


あはははは、っと笑い始めました。


「アリアぁ!」


「ああ、すまなかった」


「わかりましたからやり方を教えてくれますか?」


「あ、ああ、悪るかったのう。それではまずな……」

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