第2章 WANDER FOR WONDER
2章-1 居酒屋にて
ゾード=ラグナ。
この村の産業である林業は樹は高級品として知られるほど栄えている他に、街道からも近く、交通の要衝としても機能しているそのでここを訪れる商人や旅人も多い。
なので、そんな村の夕暮れ時になればこの村の居酒屋は仕事上がりの一杯を求める客達の喧騒でごった返している。
メインストリートから離れた奥まった裏通りに位置している小さな食堂も決して例外ではない。
「……………」
「……………」
そんな中。
周囲とは明らかに違う出で立ちとにぎやかな周囲とは反比例するかのようにしんみりとした雰囲気の違う2人組がいた。
片や周囲の空気に押され緊張のあまり食を進めてない黒い少年。
片やそんな彼に全く介せずただ黙々と食べ続けている白い少女。
どちらも浅黒い肌に金髪が多いこの辺りの人間らすればかなり珍しい容貌である。
なのでその場にいる老若男女問わずあらゆる種類の視線がその2人に突き刺さるのも仕方ないといえよう。
「うう……。すごく食べづらい……。」
しかしながらその好奇の視線に対し黒い少年……御陵磯城にとっては非常にいたたまれないものだった。
「あ、あの……シャノア……さん。」
「……(モグモグ)。」
シャノアの様子を見ると当のシャノアはそんな視線はどこ吹く風だと言わんばかりに皿の上の料理を口に運んでいる。そんな彼女を見ると一切を気にせずに黙々と食べるこの少女よりも自分の法がおかしいのかと本気で思ってしまう。
「………。」
『坊ちゃま。我慢です。我慢ですよ。』
「うっ………分かった。」
この時磯城の精神状態は色々なこと(1回死にかけた&現状糸の切れた凧状態)があったためかなりピリピリしていたので思わず周りにいる人達を追い払いたくなったが、アガサの小声の讒言によっても思いとどまった。
確かに現状周囲に喚き散らしたところで事態が好転するなど全く思えない。
現状を打破するためには周囲の人間の協力が必要不可欠なのだ。
それでもなお、磯城は頭を抱えてこう呟かずにはいられなかった。
「な、何でこんなことに……?」
なぜこんなことになってしまったのか?
それを知るためには30分ほど遡る必要がある。
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