第12話 デート
朝は比較的さわやかな日だったがさすがに9時を回ると暑さがにじみ出る。朝はいつも通り夫を送り出し、テレビをつけ、高校野球にチャンネルを合わせてから片づけをしたり洗濯物を干したりした。家事を終わらせ真知子は出かける準備を始める。
若い男性とのデートという事で、着ていく物に困る。夏の外出に重宝するあの紺と白のワンピースは初めて会った時に着ていたし、何より智の母親が同じものを持っていたというので、着ていくわけにはいかない。いろいろ組み合わせて薄い黄色のサマーセーターとカーキのパンツで出かけることにした。ロングネックレスを付けたり外したり何度もして 結局つけないことにした。
息子の朝食も昼食も冷蔵庫の中に用意できている。ついているだけでちっとも目にも耳にもとまらなかったテレビを消して、真知子は車でモールに向かった。
スタバは先日、良子に見られた。やはりあのモールは知り合いに会う確率が高い。今日は智に主導権を取らせるつもりだったが、もし、モールにずっといるんだったら、どこか違うところに行こうと誘ってみよう。
モールの駐車場に着いてスタバの出入り口付近に車を止める。休日はいっぱいになる駐車場も平日のこの時間は止め放題だ。出入り口に立っているのは智・・・?
車を降りようとすると、智が近づいてきた。
「おはようございます。」
暑さを感じさせないさわやかな笑顔。
「えっと、図々しいんですが、車、貸してもらえれば、今日は違うところ行きません?」
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