第11話
「どうした? 蛭女さん……?」
おっといけない。
突然“キング”と叫びだしたわたしに、黒蹄先輩が戸惑っている。
思わず、だった。反射的に、だった。
「先輩、“キング”は今から何かする気ですよ! 解説、お願いしますよ!」
わたしは黒蹄先輩の立ち位置をしっかりと口にして、先輩に認識させる。
思い込ませる。そう、貴方は解説役なのだ。この場において。
「むむ」
わたしにそう言われた先輩も、まんまと観戦に力が入る。集中して“キング”の試合を観ようとしている。
ああ、これはまさに“キング”だ。“キング”が“キング”だった頃の“キング”してる。
何かするように見せかけて、本当に何かするのだ。
そして、必ずわたし達の様な愚民を導いてくれるのだ。
そして、この“キング”から湧き上がる可能性の息吹を感じ取ったのか、
「おはよう“キング”……。さあ試合をしよう」
と、仁君は再開の言葉をかける。
「オメーに“キング”って言われても嬉しかねえよ」
「“キングゥー!!”“キング”“キングゥ――!!”」
呼んであげる!
わたしは何度も叫んだ!
「え? いや~、タハハ。うーっす、うーっす、“キング”でーす」
“キング”が少し照れる。大丈夫だ。意外と冷静だ。
「よし、いいね! やろう! さあ、レシーブポジションについて!」
興奮を我慢できない様子の仁君が、急かす様に言う。
「ああ? 何言ってんだ?」
“キング”はラケットを構える。
「俺がお前のサーブを受けるのは、ここだあああ!」
と、言った“キング”の立ち位置は、コートを後ろから見た場合の、左右で言えば右側でまあ普通。
しかし前後で言うと自分のコートの真ん中辺り、つまり、サービスラインの上だ。
かなり前進している。普通のレシーブに比べて。
普通、威力の高いサーブを待ち構える時は、出来るだけ威力の落ちた時に打つために下がる。
ついでに言うと、バウンドの丁度いい高さで打ちたい。
でもってサーブはサービスコートに打つのがルールだから、やっぱり下がりに下がって、ベースライン、つまりコートの一番後ろまで下がる。
これが定石。常識。これに関しては、全国区の試合から地区大会まで共通のレシーブ作法であると言っていい。
だからこそ仁君も、“キング”がレシーブポジションに着いていないと思ったのだろう。
では何故、“キング”は真ん中という、前進にも程がある位置に出たのか。
超強力な仁君のサーブに対して、何故、威力も高く、しかも跳ね上がるバウンドの来る所で待ち構えているのか。
「さあ、先輩、解説してください」
「んなもん簡単だ。謎でも何でもない」
おお!
「凄嵯乃は身の程をわきまえたんだ。
恐らく、今までの、中学までの凄嵯乃ならば、例え愛仁のサーブを相手にしても、走って、体勢が崩れてでもギリギリで追いつき、腕の力だけで強力なレシーブを打っていたに違いない」
それはその通りだ。中学までの“キング”は走らされて、汚いフォームになっても何だかんだでキレイに打ち返していた。
それは結局、あの右腕だから出来たことなのだろう。
「凄嵯乃はそれを諦めたんだ。諦めるのは遅いくらいだがな。
今の凄嵯乃では走って追いついても、腕力や操作性の関係で『打ち返す』のではなく、精々『跳ね返す』がやっと。
その現状を認め『打ち返す』方法を模索した。
そして、走らされないように考えたんだ。その結果が、コレ、ということだ」
「どうして走らされたくないからって前に出るんですか?」
「おいおい、そこにも解説がいるのか。まあ、つい最近まで中学生だった女子には無理もないかね」
「むっか~」
と、怒りがこみ上げたが、黒蹄先輩の言葉を聞いてビクッとしている次二郎君と邪先輩の姿を見て落ち着いた。
この二人もわからなかったんだ。男子のクセに。
「レシーブの時走らなければならない範囲は、扇形の円弧の長さを求める式で計算出来る」
「 l = 2πr × θ/360 ……ですか?」
「そうだ。この『l』がレシーブ側の走らされる範囲だ。これを小さくする必要がある」
「はぁ」
「ここでの『θ』は愛仁が左右に打ち分けられる角度だ。片側のサービスコートに行けなければいけないというルールの関係上、かなり制限はできるが、それ以上はコチラから変えることの出来ない数字だ。
殆どサーブ側の、愛仁の自由自在。
今、凄嵯乃が変えることの出来る数字、それは、『r』だ。では、『r』つまり半径とは何だ?」
「二人の……、距離?」
「そうだ。『二人の距離』。
この距離を狭めることによって、円弧『l』の長さを短くした。つまり左右に走らされる範囲も狭くなる」
「左右……、横の範囲だけでいいんですか?」
「元々、サーブは縦に来るからな。横さえ追いつけば、後は勝手に自分の所に来てくれる。
待ち構えるだけでいい。ていうか、だから円弧でいいんだよ」
「じゃあ、もうどこにどんな鋭いサーブを打たれても“キング”は走らずに、体勢を崩さずに追いつけるわけですね!?」
「ああ!」
黒蹄先輩が誇らしげに言う。
「ただ……」
そう思いきや、その直後に汗をにじませ始めた。
「全国区の愛仁のサーブをこの距離で、それも跳ね際を叩くことなど可能なハズがない。ありえない。
それとも凄嵯乃の反射神経はそこまでのものなのか……? それこそ、中途半端に触るだけでは『打ち返す』ではなく『跳ね返す』が関の山だぞ」
結局そこに行き着くのか。
モヤモヤとした私達の気持ちを余所に、コートの中では時が流れる。
「いいねえ! ワタクシ、ここまで傷つけられたのは初めてだ」
と、仁君は嬉しそうに言う。
どうやら、前にでた“キング”の行為が安い挑発にも見えたらしい。
確かに、超強烈なサーブを相手に前に出ることは十分挑発的な行為だ。
でも、多分、仁君はそれが単なる安い挑発に留まらないことはわかっているのだろう。
「はぁぁあああ!」
だから、ムキになるわけでもなく、いつも通りのサーブを打つ。
“キング”の出方を見るように。
ただ、そのいつも通りのサーブですら200キロを超える超速球であるわけで……。
バカッというラケットとボールが衝突する音がした時、私の認識ではそのほぼ同時にコートへボールが突き刺さる。
その真ん前に“キング”はいて、またほぼ同時にボールがラケットに当たった時の音がした。
再び聞こえた、ボールとラケットの衝突音。
つまり、“キング”は、
「当てた!!」
と考えたことと同じ内容の声を誰かが上げる。さすがだ。“キング”はあの威力のサーブを、あの距離で反応したのだ。
さあ、肝心の打球はどこに行った?
「あっ!!」
見つけた。
打球は遥か上空を遊泳していた。ごくわずかだが前には進んでいるから、かろうじて仁君側のコートには入るだろう。
でも……、これは、完全に、失敗だ。
コートのネット際、つまり『浅い位置』にボールが落ちようとしている。ゆっくりと。
そして、ボールは高く上がった分だけ高く弾む。だから、きっと、この球のバウンドは相当なものになるだろう。
もう仁君は駆け寄っていて、最高の絶好球を、無慈悲に打ち返す準備をしている。
ネットより高いバウンドでネットに近いから、もうほとんど叩きつけるように打つだけで“キング”側のコートへは強烈に入る。
やっぱりダメだったのか。
全然、『打ち返した』とは言えない、『跳ね返した』だけ。
走らされてフォームが崩されるからと前に出たところで、反射能力的には無理があったのか。
もちろん、“キング”の反射能力はかなり高くて、あのサーブであっても奇跡的に返すことが出来た。
そう、返すだけでも奇跡レベルの事なのだ。しかしそれが限界。
この球もあっけなく処理されようとしている。
所詮は返せただけ。
これまでと何ら変わらない、『跳ね返せた』だけ。
いや、むしろ高くて浅い分、悪化している。
「フハハハ! 残念だったね! この点もワタクシが頂くよ!」
この結果に“キング”は何を思っているのだろう?
そんな疑問から、私は今までボールに向けていた目線を“キング”の方をへ向ける。
アレ!? いない!?
私は、今“キング”がいるであろうと思った、コートの後方を見た。
何故なら、仁君が超強烈な球を打とうとしているのが明白だからだ。
だから、普通は身構えるように後ろに行くだろう。そう思ったのだ。
……違う!
バカか、私は。
今、何を見ていたというのだろう。
強いサーブが来る時に、走りたくないからと前に出たのが“キング”なのだ。
強いストロークやショットが来る時のみ、わざわざ下がる道理などない。
まったく同じ円弧の理屈。
私は、すぐにコートの前方、ネット際へ視線を切り替える。
「来いやああああ!」
そこには、キラキラした笑顔の“キング”がいて、ネットへ貼り付くように立っていた。
ボレー勝負だ。
仁君の最強のストロークを直近で抑え伏せるつもりなのだ。
「同じ手! はっはっは! なるほど! ワタクシがバカだった!
こんな同じような手、すら想像が出来ていなかった! 素晴らしい! ならば全力で行くよ!」
気づいた仁君も目を見開いて、でも嬉しそうに力を込める。
「確かに通常のボレーならば、ストロークよりもスキルを要求されない。利き腕に対してのハンデは少ない!」
と、黒蹄先輩は歯を食いしばり唸る。
「って、こんなの可能なんですか!?」
「理屈の上ではさっきのレシーブと一緒だ」
私の素っ頓狂な声に黒蹄先輩は早口で答える。
「それに、レシーブの時よりネットに近いから、捉えた後は目の前に落とすだけでいい。
大きく返す必要がない。それに、相手は大振りのストローク。スイング後にはスキが出来る。
例え、生きた球、と言えなくても、そして目の前に落とされたとしても、拾うことは、難しい」
「あ、でも、上に打ち上げられたら……?」
「だから! 横じゃなくても同じ。高さでも理屈は一緒だ」
興奮している時に、自分ではもうわかりきってることを聞かれたら、イラッとするよね。
黒蹄先輩の気持ちはわかるよ。
でも私にはわからんことだからしょうがない。と、ちょっとイラついた。
「この場合は三角関数の方がわかりやすい。今求める高さは、打球が凄嵯乃の居るネット際に到達した時の高さだ。
これを今現在確定している数字から求める必要があるが、それは二人の距離だ。
そして二人の距離は僅か1.5メートル程しか離れていない。
この状態でロブを打つ為に打点を落とし、例えば地上50センチの高さで、45度の角度を付けて打ち上げたとしよう。
tan45°の比率は一だ。つまり、1.5メートル進むまでに1.5メートルしか上昇しない。
それに打点の高さ50センチを追加しても2メートルだ。
ラケット持って腕伸ばして軽く跳ねれば3メートルは届く。余裕だ」
まあ、要するに近いから“キング”の届かない高さまで昇りきらないってことだろう。
黒蹄先輩は続ける。
「かと言って、愛仁はこれ以上、打ち上げる角度を大きくすることは出来ない。大きくすればする程、球が前進する力が少なくなるから、ロブの着地点も浅いものになってしまう。凄嵯乃にあっさり追いつかれ、これ以上ない程の絶好球を与えることになってしまう」
“キング”のレシーブがついにコートと衝突した。跳ねる。ああ、やはり高い。
この高いバウンドは叩きつけて速球を繰り出すには最適だ。
「よって、愛仁が取るべき最良の一手は、凄嵯乃の反射神経を超える速球を全力で打ち抜くこと、ただそれのみ!」
「ッラアア!!」
行った!
仁君は身体を軽やかに回転させ、しかし全てを飲み込んでしまうかのような重厚なスイングをボールにぶつける!
周囲の喧騒を掻き消す程の発砲音と共に、私はボールを見失う!
本当に、放ったのか、あるいは飲み込んだのか、素人の私では区別がつかない程の威力と勢いだ!
そして、それは来た。
まだ仁君が発したインパクト音が耳の奥で暴れまわっている内に、それに応えるようにして発せられたもう一つの音。
“キング”は、この距離であの球を打ち返したのだ!
「おお!!」
音による驚きと、それを返したという事実が混ざり、思わずといった歓声が湧き上がる。
そして、私がすっかり見失っていたボール。
そのボールも、仁君の左足元を跳ねる形で突如として視界に現れた! そのまま仁君の横を駆け抜ける!
「おおおおおおおおおお!!」
そう! “キング”は遂に、当てるだけでなく、押し込み、落とし、鋭く、攻めの一手を放ったのだ!
さらなる歓声が湧き上がる。
「ははっ」
凄すぎて笑ってしまう。
何が凄いって、“キング”のボレー方法だ。私は球の動きを完全に見失っていたが、“キング”の動きは見えていた。
で、その“キング”のボレーの仕方が、もう上手い人が普段するような、ラケットを伸ばしてボールを捉えて弾くような綺麗なボレー、とは全然違って、ただラケットの面を自分の前に突き出して、ボールに当たりに行く、という磨かれた技術も繊細な反射神経も一切用いない豪快なものだったのだ。
迫りくるボールと自分の間にラケット挟んだだけ。
簡単にボールがよけられるなら当たりに行くのも簡単だ、とでも思ったのだろうか。
ボール怖くないのかよ。どんなガッツだよ。どんなけテニス好きなんだよ。
良かったね。復活して。
だが、次の瞬間、全ての人間が目を疑った。
仁君が背面側から倒れこむ。いや、潜り込む、という表現が正しいのかもしれない。
身体を思いっきり伸ばして潜り込み打球の後ろに回って体勢を立て直してから一瞬停まって、つまり力を溜めて、腕を振った。
打球は再び“キング”へと向かう。
「打ち返したのか!? あの状況で!?」
信じられないことだった。確かに“キング”のボレーは一回弾んで、仁君の左横を過ぎていったのだ。
それなのに、仁君は、『打球より早いスピード』で後ろへ飛び、追いつき、腕の力だけで返したのだ。
人間の動きなのか疑ってしまうほどだ。
ちょっとボレーで返しただけでは倒せない。
「次二郎、邪、しっかり見ておけ。これが、かつて全国を席巻した二人の男による、本当のテニスだ……!」
黒蹄先輩が部長としての言葉を漏らす。
まるで、それを皮切りにするかのように“キング”と“神”の至近距離ボレー対決が始まった。
まず“キング”が迫る来る球を、一瞬は油断したとはいえ難なく返す!
左腕であってもスイングを抑えたボレーは何とか形になっている。
一方、体勢を立て直しつつあった仁君は、しかしこの距離でも反応し、身体を伸ばして打ち返す!
後は、もうビュッ! とか バシッ! とかいう音が沢山して、そのリズムに合わせて二人が踊っているような殴り合っているような姿に見えるだけ。
ああそうだ。私はもう、何が起こっているのか認識が出来ないでいる。
球がどこにあるのか見えないし、二人がどんな駆け引きをしているのかなんて想像もつかない。
黒蹄先輩が外野からのアドバイスがルール上、出来ないといった。
外野の方が見えるものが多いからだと。
でも、私にはもう外野であってもわからない。でも“キング”はあそこで戦ってるんだ。
もうテニスなんて辞めようとしていた“キング”が。
「あ!!」
“キング”はボレーを取りこぼし、打球はネットを越えることが出来なかった。“キング”のミス。失点。
くやしそうだ。ボールとラケットを交互に睨んでいる。
今日、一番くやしそうだ。
多分、惜しい、という感覚と感情があったのだろう。
明確な理由があるわけではなく、いずれ終わるものが終わったに過ぎない。
だからこそ今のラリーは仁君の失点になる場合も十分にあった。正に、点と点の削り合い。
自分はそういう土俵に立っている。
きっと、そんな感覚が今の“キング”にはあるのだろう。だから、余計にくやしいに違いない。
本当はちょっと嬉しいんだろうけど。
「おらおら、はっはっは~! どうだ! 全国最強クラスの“神”ともあろう人がこの片腕スクラップポンコツプレイヤー相手にバタバタしてんじゃねえよ!」
と、“キング”。うむ、興奮で少しテンションが高い。
「ふん、こんなのは奇襲じゃないか。長くは続かないよ」
仁君は挑発に乗るようにして、しかし、もっともなことを言った。
その通りだ。
中学時代、“キング”はストロークの練習を特に頑張っていた。
何故かと言えば、ストロークを制する者が試合を制すると考えていたからだ。
いいボレーもいいスマッシュも、いいストロークによって構築されたラリーの中で生まれる。
圧倒的なストロークで相手を崩し、ボレーやスマッシュで点を決める。
これが“キング”のプレイスタイルであり、王道だった。
しかし、今“キング”がやろうとしているのは、いいストロークなしでのボレー対決。
でも、”キング”だってそんなことは知っているようで、だからこう答える。
「確かに、終始この戦法で試合が可能とは思っていない。
一試合に何度も出来ることじゃない。ましてやこれで勝ち上がってインターハイに行けるとも思っていない。
いずれ対策されたり、俺が持たなくて破られるのは目に見えている。
だから俺は始め、お前にストロークで勝とうとしたんだ。
お前とストロークでやり合えるなら、今後も安定した試合運びが望めるしな。
中堅クラスが相手なら勝てるようになるのかもしれない。
でも、そんな長期計画こそが、俺の驕りだったんだ。
今の俺はまだその域に達していない。
だから俺は奇襲をする。そもそも、ストロークで戦えないと試合に勝てないという発想の貧困さに原因があった。
でも、そんなことはないのかも知れない。一点一点を悩みに悩んで奇襲を仕掛けて、踏ん張って取る、そんなことが可能なのかもしれない。
4ポイント×6ゲーム。
最低24回必要な得点を俺は全て奇襲でとることが可能かもしれない」
全ての点で実力を覆す必要がある“キング”。ならば、当然、その必要があるかもしれない。しかし、なんたるメンドくさいことを宣言したのだろう。私なら試合がイヤになってしまいそうだ。
そう言う“キング”に皆が呆気にとられ、ただ見守る。
そしてラケットを左手に持ちながら、全てを受け入れるように両手を広げ、
「宣言しよう! 今後、俺はこの実力から抜け出せない限り、全ての点を奇襲で取ってやる!」
挑戦状を叩きつけた。
続く
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