第一章・にゃんだーわーるど

だい2にゃ・舞い降りる変態

「こ、ここは!?」


 僕が今居る場所は、ピラミット型の祭壇の頂上。

 頂上はとがっていない、まっ平らで、その上に僕の布団と僕自身が移動してきていた。


「どうなってるんだ?」


 布団から出て立ち上がる。寝る前に一戦したから全裸だったが、今は気にする余裕はなかった。


「小さくなってる……?」


 そして、僕の体は小さくなっていた。そしてなによりも――


息子ジョン!?!?」


 僕の下半身についている息子スティーブ息子すてぃーぶになっていた。


「そ、そんな……」


 僕は戦慄した、あんなに愛情を込めて、可愛がって育てていたポークビッツぐらいの息子ボブが、枝豆ぐらいの息子まいけるになっていたのだから。


「う……うぅ!」


 僕は四つん這いになりながらうな垂れる。


「――にゃんにゃぁ?」


 下からかかる甘ったるい声。


「ん? なんだあばばばばばばばばば!!」


 ピラミットの下へ降りるための階段に、一人のネコ耳少女が居たのだ――


 ――ほぼ全裸で!!


 僕は「カッッ!!」っと目が裂けそうなほどに見開いて見詰める。


 黒くて長い髪に大きくうるんだ濃茶の瞳。

 ぷくっと吸い付きたくなるような唇に、なめらかでつるつるのプル肌。

 なにより目を引くのは、頭から生えている滑らかな猫耳に、小さくてぷっりっぷりなお尻から伸びているもふもふでふさふさな美味しそうな尻尾。

 そしてつつましくも主張する二つの御椀。大事な部分を薄い布で巻いているだけの魅力的で、官能的な姿。


 ――猫耳に尻尾ときて、ただの布きれ一枚の薄着だと!? しかも黒猫美少女だとぉぉ!?!?


「おおぉぉぉぉおおぉおおおおぉおおぉおおぉおぉぉおぉおおお!!!!!」


 とうとう僕の夢が叶ったんだ! 猫耳少女とラブラブチュッペロする夢が!!


 僕は鼻血を噴き出しながら紳士的に接する。


「ぐっふぉっふぉぉおお! お、おじょうたん! ここはどこですかあぁぁ!?」

「にゃー。にゃにゅにゃぁ?」


「……」

「……にゃ?」


 黒猫美少女に鼻血を布で拭かれながら、よく考えてもう一度質問する。


「ココ、ドコ?」

「にゃー。にゃにゅ」


「……」

「……にゃにあ?」


「……」


 僕は異世界生活を満喫する前に、言葉の壁にぶち当たったようです。


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