にゃんこの世界へようこそ!

海鴨

にゃんこ編

だい1にゃ・ワイフな生活

「ぐっふふ、ぐふふふふふ……」


 僕は引き籠り歴20年と少し。

 高校を卒業してから引き籠りになっていた。


 原因は簡単だ。


 アニメ、ゲーム、フィギィア、人形にはまってしまったからだ。

 ずっぽりしこしこと。


 特に人形は素晴らしい。


 等身大の人形は、老けることもなければ、文句も言わない。

 サラサラの髪に、硝子ガラスで出来た綺麗な瞳、そしてぷっくりと盛り上がる二つの山に、


 ネコミミとシッポ。


 これがあって初めて完成するネコミミの少女。


 猫耳少女。――あぁ、なんと甘美かんびな響きなのだろうか?


 それを全裸で抱きしめながら、今日も右手で仕事をする。

 このお人形さんはホールを着けられないから……。


「っうう!! うぅ~……ふぅ」


 何かか飛び出すときの快感を感じながら、お人形さんにぶっかける。

 今日も愛し合った後に、お休みの『ちゅっぺろ』をする。


 『ちゅっぺろ』は、ただ単に接吻をするのではない、接吻をした後に『ペロ』っと口周りを舐めるんだ!


 この技を教えてくれた芸術作品は今も手元にある。

 禿げて太った中年のおっさんが『ちゅっぺろ』をしながら女の子をプレスアタックしている同人誌を見つけた時には衝撃が走った。


「こ、こいつ! 天才かあぁぁ!?!?」っと。


 まぁいい、そんなことよりも、賢者になった今の僕は眠くてしょうがないんだ。


「もう寝よう」


 ベトベトのギトギトになっているお人形さんをテッシュで拭くついでに、ベロンベロンしてから一緒の布団で眠りにつく。


「おやすみ。シャオたん」


 今日も熱い日が終わった。

 きっと明日も熱いだろう。

 僕の熱き血潮が冷めることは無い。

 猫耳と尻尾があれば、真っ白なご飯一合はイケル。


 でも、出来れば本物の猫耳ちゃんと『ちゅっぺろ』がしたいな……。

 叶わないと分かっている願いを思い描きながら、僕は目を閉じた。


「Zzzz……」




「にゃんにゃん!」


「にゃー、にゃんにゃ?」


「にゃん? にゃにゃにゃ~」


 ムクリ。


 目をこする。


 眠い。なんなんだこんな夜中に……。

 うちの近くに猫でもいるのか?

 でも、やけに近くから聞こえるような……?


 僕は様子を見ようと、ゆっくりと目を開けると、


「…………え? ええ!?」


 そこはネコの国だった。


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