だい48にゃ・防衛準備

「メロンお姉ちゃ~ん」(だき)

「にゃんにゃん」(ぺろん)


「ちゅっぱちゅっぱ! おいちぃー! ちゅっぱちゅっぱ!」


 僕が気持ち良く『ちゅぱ』っている時に、下から僕の足を引っ張ってくる感触があった。

 何だろうと思って視線を下げると、既に目がハートになっているエルフ少女が見詰めていた。


「どったの?」

「あ、あの……マジックゴーレムしゃんが呼んでます」


 と言って指をさした。

 指をさされた方向を見ると、猫耳少女たちに群がられているマジックゴーレムが、僕に向かって手を振っていた。

 僕はメロンお姉ちゃんに連れられてマジックゴーレムに近づいてから互いに手を合わせる。

 色々調整してたら『ゴォー』としか喋れなくなったので、手を合わせて意思疎通できるようにしておいた。

 勿論、簡単な意思疎通だけしか出来ないけどね。


「ごぉー」

「ゴォー」


『トオクノ、ウミ、ニ。テキキタ』

『え。どのくらい?』


『スコシダケ。カエッタ』

『わかったよ。ありがとね』


 久しぶりに偵察が来たな、また侵略しに来るんだろうか?

 エルフ少女から……あぁ、そういえば名前言ってたな、ラ……なんだけ? 

 まぁいいか、エルフ少女から攻めてきているのは黄金族ハイエルフだっていうのは聞いている。

 何でも北にある大陸の中で一番大きくて繁栄している帝国みたい。

 誰が来ようと、うちの激カワ子猫ちゃんたちと長耳ちゃん虐めたらシバクけどね♪


「さてと、飛んでくか」

「にゃん!」

「ニャン!」

「ニャァ~ン」

「あの、おともしましゅ」


 む? 結構大人数だな。ってか二人の猫耳戦士が付いてきたいって言われても、男のハイエルフの監視どうするんだよ。


「キヲツケテ、イ、ッテコイヨ」

「はい、おとうしゃん」


 何か親子の爽やかな笑顔を見ちゃったし、監視はいいや。

 この前どういう関係か聞いてみたら、養父と養女って話だったし好きにさせておこう。

 首輪も付けっぱなしだしね。


「スカイウィング・改」


 付いてきたい皆に空飛ぶ魔法を掛ける。

 前までは羽の表現までしていたけど、その分魔力も消費する事が分かったから外しておいた。

 僕たちは仲良く手を繋いで空を飛んでいく。



=☆=★


 

 到着してからは延々と防衛の準備を始める。

 やってる事といえば、えっこらえっこら砂掘ってマジックゴーレム埋めたり、海中に浮遊魚雷を繋げたりしているだけなんだけどね。

 横を見ると、モモちゃんとミーナちゃんが仲良く穴掘りをしている。

 僕も肩に子猫メイドを乗せながら魔法を展開して穴掘り中だ。

 さっき名前を思い出したんだけど、ハイエルフ少女のララノアは海を眺めていた。

 魔法で穴を掘り続けながらララノアに近づく。


「ハイエルフのテイコクは、けっしてこのシマをあきらめないとおもいます」


 ララノアは海を眺めながら、静かに口にした。


「今回のも退けても?」


 まだ、斥候が来ただけで、軍隊が来るかどうかすらも分からない。


「はい。ハイエルフが、たたかいにまけたとなれば、かならず、なんどでもきます」

「そいつは厄介だね~……」


 プライドが高い種族みたいだから、他種族に負けたら意地になるんだろうな。

 そうなると、どうやって戦いを止めさせればいいんだろうか?

 何度も来られると、コッチもそのうち被害が出てくるだろうし……。


 僕が指で鼻を押しながら考え込むと、ララノアが微笑んだ。


「……わたしがいうべきでは、ないとおもいますが。

 コウテイをたおさないとおわりません」

「……それって後々大変なことにならない?」


 ハイエルフの少女が再び海へ視線を向けながら、ゆっくりと答え始めた。


「あなたなら、だいじょうぶです。

 そのいだいなまほうのちからで、コウテイをたおせば、ハイエルフのみなが、あなたをみとめます。ぜったいに」


 少女の力強い言葉に、何か確証でもあるんだろうか? と思いながら、軽く答えておいた。


「まぁ、そうなってくれれば楽ちんだね~」

「かんがえておいてください。

 そうしないと、おわらないかもしれませんから」


 僕はララノアの顔を見ながら首を傾げる。


「にゃぁ~ん」

「にゃ! にゃ!」


 モモちゃんとミーナちゃんが僕に抱きついて『にゃんにゃん』言い始めた。

 後ろを見ると、簡単な準備は終わったみたいだ。

 今日一日じゃ終わらないから、また来ないといけない。

 僕は二人の頭を撫でながら、他の子が集まってくるのを待った。


「さて、出来れば来ないでくれると嬉しいんだけどね。

 たぶん来るかな~……?」


 僕は海を眺めながらつぶやいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る