エピソード23 「僕はつい意地悪して美少女を泣かせてしまう」

地平線が白み始めるM25(高速道路)を 黒のメガーヌ・ルノー・スポルトが疾走する。 ステアリングを握る瑞穂の横顔は、何時いつもと変わらずに涼しげだった。


瑠璃るり色がかった濡烏ぬれからすの長い髪、神の贔屓ひいきとしか思えない完璧な美貌、人心を蠱惑こわくする妖しい匂い。


手を伸ばせば触れられる程すぐそばに、この奇跡の様な魔性の化身が実在する。



瑞穂:「なあに?」


不自然な僕の視線を感じてか、…

瑞穂が、少し恥ずかしそうに声をかけて来た。



翔五:「何処に、…行ってたの?」


我ながら、まるで「置き去りにされた子供」が駄駄だだをこねるミタイな女女めめしい台詞せりふだ…と思う。



翔五:「昨日、瑞穂の美容室に行ったんだ、

誰も居なくって、…もぬけの殻で、…凄く、心配した。」



本当の所、…それは嘘だ、

本当は瑞穂の事が心配なんじゃなくて、…

僕が「置いてけぼり」にされたと思う事が、…怖かったのだ。


奇妙な事に、それは…ずっと昔に封印した筈の感情だった。




僕は、昔から「冷めた子供」だった。


僕は、誰かを「信用」する事をとっくの昔に見限っていた。

みんなが 結局は僕を「裏切る」事を身をもって知っていたからだ。


「信用」とは、自分勝手な「期待」を相手に押し付ける行為に他ならない。

他人は、そんなに都合よく僕の「期待」に応えられる程、上等に、高級に、強くは出来ていない。


だったら、最初から「期待」しなければ良い、「信用」しなければ良い、


最初から「独ぼっち」でいる事を自分で決めていれば、誰かが「僕」をまるで空気の様に扱ったとしても…少しも辛くは無い。


最初から「僕」が他人より上等なのだと信じていれば、彼らの弱さ故の愚行に腹を立てる事もなく…赦す事が出来る。


だから僕は、誰かに「期待」を押し付けて、勝手に傷つく事は二度としないと、深く心に刻んだ筈だった。



それなのに、…

どうして僕は、今また「置いてけぼり」にされる事に、これほど臆病になっているのだろう?


僕は、この女の事を一体「何」だと思っているのだろうか?







瑞穂:「ちょっと…ね、」


濡烏の髪の女は、そんな僕の「弱さ」を見透かすかの様に、穏やかに微笑んでみせる。


そして何時いつもミタイに、少し考えをまとめる様に間を置いてから、…

やがて、ゆっくりと、穏やかな口調で語りだす。



瑞穂:「翔五サン、貴方、ヒースローでディビッドと名乗るインテリに会ったのを覚えてる?」


翔五:「さあ、…どうだったかな、よく覚えてない。」


僕は人の顔と名前を覚える事が、コテンパンに苦手だった、



瑞穂:「食事しないかって日本語で話し掛けて来たイケメンよ。 忍ケ丘サンにくっ付いて来た。」


翔五;「ああ、…そう言えば。」


爽やかそうなイケメンが、芽衣と仲良く話するのを見て、一寸ちょっと嫌な気分になった事を思い出す。



瑞穂:「実は、あの男が…「ボスキャラ」なのよ。」

翔五:「ボスキャラ?」


ゲームの世界で、ステージ毎、最後に登場する「最強・最大の敵」…の事?



瑞穂:「そう、私達がこの先 立ち向かう事になる…最強の敵。」


敵?…って、僕は誰かと戦ってたんだっけ???

正直、全然実感が…湧かない。。。。




瑞穂:「アリアによれば、翔五サンは「前世」で3回「彼ら」と戦って、3回とも敗北している。 ギリギリの処で世界を滅ぼす「呪文」の発動だけは避けたみたいだけど…毎回、かなり手痛い目に遭って来たらしいわ。 かく今の私達じゃ到底歯が立たないミタイね。」


翔五:「そ、そうなの?」


僕は、改めて瑞穂の横顔を覗き込む。



翔五:「普通の人にしか見えなかったけど、ヤバかったのかな…もしかして?」


瑞穂:「彼らは何か重大事を起こす時は 必ずカルテット(4人組)で行動するらしいわ。 恐らく、昨日は単独行動だったから襲って来なかったのでしょう。 …挨拶代わりって処かしら。」


瑞穂は、少し照れた風に苦笑いしながら…目を逸らす。




瑞穂:「だから、…逃げるの。」

翔五:「逃げるって、何処へ?」







メガーヌは、スキール音を響かせながら、後輪をドラフトして、…西へと進路を変える。



瑞穂:「その話は後でしましょう、先ずはしのぶがお、…舌噛んじゃいそうね、」

瑞穂:「…先ずは、芽衣サンを助け出しましょう。」




後部座席:「ドタっ!」


行成いきなり、何だか後ろで大きな音がして、…

振り返ると、後部座席でエマが、…すやすやと穏やかな寝息を立てていた。


瑞穂の荒っぽい運転にもかかわらず、一向に目を覚ます気配が無い…



翔五:「エマ、…居たんだ。」

瑞穂:「ソノ子、車に乗ると、何時も直ぐに寝ちゃうのよ。」


僕は、アラレモ無くひっくり返った金髪の美少女の寝姿を見て、思わず苦笑いを漏らす、



翔五:「無事で、…良かった。」


そう言えば、…

僕は、不意に思い出す。…


あの時、兵士達は…きっと僕のフラット(アパート)を襲って来たに違いないのだ。

おそらく、目的は朋花ほのかを制裁する事と、僕を捕まえる事、

エマは、僕のベッドで眠っていた筈なのに、…姿が見えなかった。



翔五:「エマはどうやって助かったんだ?」

翔五:「それに、朋花さんが…」


僕は、…自己嫌悪する。

自分の不安ばっかりで頭がいっぱいになって、…

こんな大事な事を、今まで置き去りにしていただなんて。



瑞穂:「そんなに心配しないで、朋花なら大丈夫だから。」


濡烏の髪の女は、そんな僕の「弱さ」を見透かすかの様に、穏やかに微笑んでみせる。



翔五:「でも、朋花サン、銃で…撃たれたんだよ、何発も。…血が、いっぱい出てた。」

瑞穂:「分かってる。…でも、あの子は、それ位じゃ死なないわ。」


僕の脳裏には、

朋花が口から血の泡を吐き垂らし、ヒクヒクと痙攣する筋肉がやがて動かなくなる、その様が、…未だ鮮明に焼きついていた。


瑞穂がどんなに慰めを言ってくれたとしても、…

只で済む筈が無い事は、…明らかだった。







瑞穂:「そんなに心配なら、…エマの胸を見てみなさい。」

翔五:「えっ?」


僕には、どうして瑞穂が 突然そんな事を言い出したのか、…

全く見当がつかない。



瑞穂:「いいから。」


それでも促されるままに、…

僕は、シートを倒し、後部座席に移って、エマの胸元を、…確かめる。


ネグリジェの赤い模様だと思っていたものは…



翔五:「これは、…血?」


エマのネグリジェは、未だ湿り気を帯びた大量の血で、…

赤く染まっていた。



翔五:「穴!」


指先でまさぐると、…

其処には、恐らく銃弾で開けられたらしい3つの孔が開いている。



翔五:「エマも! 撃たれたの?」


なのに、眠るエマの顔は、…苦痛の色一つ見せる事無く、…

平和そのものだ。



瑞穂:「恐らく、眠っているところを問答無用で撃たれたのでしょうね。 もしも意識がはっきりしていれば、鉄砲の弾がエマに触れるなんて事は有り得ないもの。」


僕は、訳が分からずパニックに陥る。



翔五:「エマは、生きている…の? 大丈夫なのか?」

瑞穂:「勿論生きているわ。 死体袋に入れられていたのを、私が回収してきたのよ。」


3発の銃弾を撃ち込まれて、血塗ちまみれになりながらも、…

エマは何事も無かったかの様に、…すやすやと眠っていた。





瑞穂:「エマの服をめくって見てみて。」

翔五:「えっ?」


僕は、一瞬だけ躊躇ちゅうちょして、…

それから、恐る恐る、…エマのネグリジェを捲りあげる。


女の子の裸を見たいとか、一切そう言う感情は無く、…

それを確かめる事は、必然的に とても大事な事の様に思えたのだ。



そして、…

その、真っ白な素肌には、…

一筋の傷跡も、一点の染みすらも、…

付いていなかった。



エマ:「ぅ〜ん、…もう入んなぃ…」


一体、…

何の夢を見ているのやら、




諸々の事情の帰結として、…

僕の視線は、…

緩やかな膨らみの頂に位置する、とある二箇所の小さな薄桃色へと、…


釘付けになる、







瑞穂:「見過ぎ…。」


瑞穂、ぼそっと糾弾、

翔五、赤面しつつ、すごすごとネグリジェを元に戻して、助手席に戻る。

エマ、何事にも動じずに…爆睡中。



瑞穂:「翔五サンって、結構ムッツリなのね。」

翔五:「……、」


否定は、しない、…男として。



翔五:「でも、どうして? 撃たれたのに傷跡が無いの?」

瑞穂:「聖霊使いを、通常兵器で殺すのは…不可能なのよ。」


そしていつもの事ながら、…

瑞穂は、重大事をいとも あっさりと、…


暴露する。




瑞穂:「彼女達は、死なないの。」


翔五:「いや、…







…何、その設定?」


翔五、もう一度、後部座席のエマを振り返る。



エマ:「…それは、だめ…」


寝言は、…日本語なんだ、

何の夢見てんのか…知らないけど、




瑞穂:「彼女達はどんなに傷ついても、時間が経てば再生して、活動を再開する。」


アメーバ…? みたい??



瑞穂:「だから、大丈夫。」


翔五:「そっか、」


難しい事は分からない、…

けど、…



翔五:「…とにかく、無事で良かった。」


僕は、その事の意味すら想像出来ないままに、…

ほっと、胸を、…撫で下ろす。




瑞穂:「ただし、ある武器を使えば、簡単に「聖霊使い」を殺すことが出来るわ。」


瑞穂は、神妙な眼差しで話を続けた。



翔五:「それって、どんな武器なの?」


僕は、エマや朋花が無事で居ると知って、

少し余裕を取り戻して、瑞穂の「解説」に耳を傾ける。



瑞穂:「よくは分からない。 でも、これまでの「ボスキャラ」との戦いでは、その「聖霊殺し」の武器で私達は殺されてしまったらしいわ。」


瑞穂:「しかも、「世界」が変わる度にその「武器」は形態を変えているから、この「世界」でその「武器」がどんな姿をしているのかは分からないそうよ。」


まさに、…ロールプレイングゲームにちな、…

隠しチート武器? だな、、



翔五:「じゃあ、…どうするの?」


僕は、何時の間にか、瑞穂の横顔に見蕩れて、見つめ続けていた。


そう言えば、こんなに長時間、こんな至近距離で、殆ど50cmも無い距離で、この女の不思議な匂いを嗅ぎ続けていた事は、…これまで一度も無かった様に、…思う。



瑞穂:「勿論探すのよ。「彼ら」よりも先に手に入れなければ、この「世界」でも私達に勝ち目は無いわ。」


瑞穂は、少し困った様な、…それでも満更でも無い様な、…

神妙な表情で、…



瑞穂:「翔五サン…ジロジロ見過ぎ!」

翔五:「えっ? あっ、ゴメン。」


僕は、我に帰って、…姿勢を正す。







瑞穂:「それにしても、予定だと、「彼ら」が登場してくるのは、少なくとも後3年は先の筈だったのに。 計画が大きく狂っちゃったわね。」


翔五:「計画って?」


僕は、バックミラーに映ったエマに、神経を集中する。

エマ、相変わらず無防備な格好で…



瑞穂:「前にも言ったけど、アリアはコレから10年先の未来の記憶を持っているの。」

瑞穂:「私とアリアはその記憶に基づいて、出来るだけ「彼ら」に出会う迄の時間を稼げる「ルート」を探していたのよ。」


翔五:「ルート?… って」

瑞穂:「言ってみれば「世界」の「物語」のシナリオ…かな?」


知らず知らずの内に、僕の視線は再び、…

瑞穂に釘付けになっている。



瑞穂:「並行する「世界」はどれも同じ様でいて、少しずつ異なっているの。」

瑞穂:「翔五サンが時間を遡って「転生」する度に、微妙に「過去」に影響を及ぼして、「世界」の「ルート」をずらしてしまうらしいのよ。」


だんだん、…話がヤヤコシクなってくる。



瑞穂:「この性質を利用して、出来るだけ「彼ら」との遭遇が遅くなる様に、私達は「転生」による「ルート」の調整を行ったの。」


翔五:「「転生」による「ルート」の修正って?」

瑞穂:「簡単に言えば、丁度良い「ルート」になる迄、何度も貴方に「転生」を繰り返してもらったのよ。」


既に、…チンプンカンプン。



翔五:「???」

翔五:「何かしたっけ、…僕?」


瑞穂:「ほら、忘れちゃった?

…美容室で、26回「転生」を繰り返したじゃない。」



翔五:「26回「転生」?…」


翔五:「あっ! 瑞穂が26回 僕を殺した時か!!

あれってそう言う事だったの?」


僕の眉毛の上には、…

恐らく一生消えないだろうナイフの跡が残っている。



翔五:「確か、二択クイズ出して。「間違えたら殺す」って、今時ギャングでもやらない様な非道い仕打ちした、…あの時の事?」


瑞穂:「失礼ね!「私」じゃないわよ、別の「世界」の私だけど、

…それにしたって、止むを得ずだわ。 合意づくとも言えるわね。」







僕は、これ見よがしに不服そうな顔で憤慨する。



翔五:「いや、僕は合意した覚えは無いぞ。 と言うか、そんな説明受けてないもの。」

瑞穂:「あの時に、今の説明したって、どうせ貴方は信じなかったでしょ。」


何故だか、瑞穂が焦ってる?



瑞穂:「それに、アリアは合意してたんだから良いじゃない。貴方は殺したって死なないんだし。」

瑞穂:「…いや、死ぬけど「転生」するのか。」


何だか、珍しく瑞穂がうろたえている?



瑞穂:「兎に角、あんまり細かい事言ってると禿げちゃうわよ。」


いつもはクールな瑞穂が、何故だかムキになっている??

もしかしてウシロメタイとか? いや、まさか? 瑞穂に限って罪悪感なんて有り得ないだろう、、、



そう言えば、以前にも有ったけど、…

瑞穂って、結構馴れ馴れしくされるとタジタジになるっていうか、

何処か「押し」に弱い所があるらしい。


普段はクールな美人サイエンティストなのに、

一寸、可愛らしく思えてしまうこの瞬間的なギャップが、…

結構「萌え」だったり、…する。。。





翔五:「なんか、…有耶無耶うやむやにされた感があるなあ〜」


僕は、敢えて、馴れ馴れしく、…攻めてみる。



翔五:「いくら「転生」するって分かってたとしてもさあ、26回も殺された事は、事実なんだしさ。」


瑞穂:「なによぉ〜。…なんか文句ある訳?」


もしかして…ビンゴ! かも知れない。。。

瑞穂の目線が、心無しか泳いでる?

瑞穂の顔が、何故だか?赤い??




僕は人付き合いがカラッキシ苦手だった。

友達なんて居ないから、

他人に馴れ馴れしくされる事に慣れてないし、

他人に対して馴れ馴れしくするのは…もっと苦手だ。


つまり瑞穂のこの反応は、…

僕のそれと、…極めてよく、似ているのだ。


つまり瑞穂は、…

もしかして、仲間ボッチ???





翔五:「合意づくって言ってもな、命をとられるって、並大抵のストレスじゃないんだよね~」


と、まるで覚えてないくせに、適当言ってみる。

要するに台詞は何でも言い訳で、…

「友達」ミタイに接されるのが…

照れ臭いのだ。


って、かく言う僕自身も、

実は心臓が「ドキドキ」している。





瑞穂:「わ、悪かったわよ。…それじゃあ、お詫びに何かしてあげるわよ。…それで良いでしょ。」


瑞穂の顔は、既に、…真っ赤だった。

きっと、僕の顔も、…真っ赤に違いない。




翔五:「何か、って…何だよ。」


と、ちょっと柄の悪い弟っぽく、…更に馴れ馴れしく迫ってみる。



瑞穂:「しょうがないから、何でも、…一つだけ言う事聞いてあげるわ。」

翔五:「何でも?」


僕は、思わずの展開に、一瞬で!

我に帰る。。。。



瑞穂:「あっ…。」


二人の心臓が、…破裂しそうな位、…

収縮する!!





沈黙の26秒…



瑞穂:「ひ、ひとつだけ……だから。」


瑞穂が慌てて念押しする、




翔五:「何でもって言ってもなぁ~、「みずほ姉さん」の「なんでも」って、晩飯おごるとか、部屋の掃除手伝うとか、どうせそんな程度のもんなんだろ~」


僕は、照れ隠しに、…更に更に馴れ馴れしく誤魔化す。



瑞穂:「やだアンタ、一体 私に何させたい訳? もしかして、…

いやらしい事とか、想像してるんじゃ…ない…でしょう…ね?」


瑞穂、照れ隠しに、…更に更に馴れ馴れしく軽口かるくちを叩いて、…


墓穴を掘る。





沈黙の19秒…



瑞穂が、

口を一文字に結びながら、…

真っ赤な顔で、僕の事を見つめている。



何時の間にか、車は、…

人が歩くよりもノロノロのスピードになっていて、


やがて、…

道の端っこで、…



止まった。





瑞穂:「良いよ、…

キスでも、…え、エッチでも、…何でもやらせてあげる。」


瑞穂の、心臓の鼓動が、…聞こえる。



翔五:「いいって、そんな事しないって! …幾らなんでも。」

瑞穂:「今更何言ってんのよ! 女に此処迄言わせておいて、…ちゃんと責任取りなさいよね!」



瑞穂:「それとも、私とじゃ無理って、…そう言う事?」


姉さん…もしかして半泣き?

なんかヤケになってる??



翔五:「いえ、決してそう言う事では、…」



瑞穂:「じゃあ、10秒で決めなさい!」

瑞穂:「10、9、…」


…え、エッチ?

…いやいやいや有り得ないって!

…確かに26回も命を奪われた訳だから、それなりの価値は有るだろう。

…でも!



瑞穂:「8、7、…」


…じゃあキスか?

…でも、キスってそんな簡単にやっていい物なのか?

…もっと、特別な意味を持った恋人同士の触れ合いなんじゃ無いのか?



瑞穂:「6、5、…」


…じゃあ、どうする!

…何も選ばなかったら、それはそれで不味いって事なのか?

…ああ、一体、何を選べば良いんだ~

…10秒で選べなんて無理だよう。



瑞穂:「4、3、…」


エマ、ガバっ!…と起き上がる。


翔五:「え…(ま)、」

瑞穂:「え…(っち)?」


チラリと覗いた瑞穂の顔が、… 引きつっている!!





瑞穂:「…わかった…」

翔五:「へっ?」



見ると、瑞穂の顔が…

まるで、初心うぶな少女?ミタイに、…

まっか



翔五:「えっ、僕、何か言った? まだ何も言ってないよ。」



瑞穂:「駄目…なんだから。。。」


…何で、そんなにもじもじしながら真っ赤になってる訳…!

…何で、そんな潤んだ瞳で恥ずかしそうに上目遣いな訳…?

…誰?? この…可愛らしい子?



瑞穂:「い、今更、取り消しとか、…赦さないんだからねっ!!」


…いやいやいや、「ねっ!」って…姉さん! キャラ変わりすぎだって!!



エマ:「みずほ、まっか…」


エマ、訳も分からず、…ぼそりと呟く、

瑞穂、…更に赤面。




瑞穂:「う、うう、うるちゃいいいー!!!!!」


メガーヌ、ホイールスピン!

M3(高速道路)を時速160マイルで…疾走?……失踪!!!!!!



翔五:「ええええええええっ??」

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