エピソード24 「色々あって僕と美少女達はバラバラになる」

野原のっぱらの真ん中に突然出現した巨大なテント。

直径は50m以上ありそうで、其の形状はサーカスのテントに似ていない事も無い。

ただ、色はくすんだグレー一色で、どこから見ても楽しげな雰囲気とは無縁に見える。



翔五:「あの中に、芽衣が捕まっているの?」

瑞穂:「そうよ、だから来たんじゃない。 忘れたの?」

エマ:「……、」


僕達は草原に腹這はらばいになって身を隠し、およそ400mほどの距離からそのテントを眺めていた。 テントの周囲には、攻撃用ヘリコプターAH-64Dアパッチが2機、ヴィーゼル空挺戦闘車2台、其の他軍用っぽいトラックが数台と、救急車一台、それに黒塗りの高級リムジンが一台並んでいた。


トラックからはコンテナが積み降ろされて、何人もの兵士たちが忙しそうに機材っぽい何かを巨大テントの中へと運び入れている。 兵士達の制服ユニフォームも様々で、どうやら彼方此方あちこちの国の軍隊から構成された多国籍チームの様に見える。



翔五:「奴ら、一体何をやってるんだ?」

瑞穂:「「聖霊」を捕獲する実験を行うつもりなのよ。」

翔五:「「聖霊」を捕獲? 何でそんな事をするんだ?」


瑞穂:「えっ? もしかして本気で言ってるの?」

瑞穂:「そんなの「聖霊」の力が手に入れば、強力な軍事力になるからに決まってるじゃない。」


濡烏の髪の美女は、むっとした表情のまま、さっきからずっと外方そっぽを向いて、…僕の事を見ようとしない。



翔五:「まだ、怒ってんの?」

瑞穂:「別にぃ。」


翔五;「いい加減機嫌直してよ、謝るからさ。」

瑞穂:「だから、怒ってないって言ってるでしょ! しつこいわね、」


怒ってんじゃん…



瑞穂、これ見よがしな感じの溜息をひとつ、



瑞穂:「そんなんで、本当にこの先大丈夫なのかな、…凄く不安。」


何故に、そんなに、いやみっぽい…




翔五:「芽衣を連れてったって言う事は、奴ら、芽衣が「聖霊使い」だって事に気付いてるって事なのかな?」


瑞穂:「そうじゃないの、どうでも良いけど。」


エマ、欠伸あくびする



翔五:「それで、これからどうするの?」


僕の語気は、だんだん小さくなって行く…



瑞穂:「エマの力を使えば、あのテントごと全部凍結させる事が出来るわ。 それで、中から芽衣だけ回収すれば以上終了よ。。」


翔五:「なんだ、思ったより簡単なんだな。」

瑞穂:「ただ、上手く凍らせないと、細胞内の水の体積膨張で細胞壁が破損するから、融けた時に肉汁が漏れ出して、…気色悪いことになるけどね。」


翔五:「何だか肉の瞬間冷凍みたいなモノ?」


瑞穂:「まあ、尊い犠牲って言うことで、さっさとやっちゃうわよ。」




エマ、翔五の服のすそを引っ張る。



翔五:「どうしたの?」

エマ:「おしっこ。」


エマ、ブルッと身震い。


そうは言っても、あたりに身を隠す様な場所は無いし、



瑞穂:「手っ取り早くあのテントを乗っ取って、仮設トイレを借りましょ。」


白衣を着た学者っぽいおじさんが、巨大テントの脇に設置された仮設トイレから出てくる。



翔五:「仕方ない、やるか。」







エマ、立ち上がり、ゆっくりと深呼吸して、全身のチャクラに気を周天させる。


身体中の毛細血管から全ての「古い気」を吸い集めて、「深く」「長く」息を吐き 。 全身の皮膚から「新しい気」を取り込む様に、「ゆっくり」「少しずつ」息を吸う。


やがてザワザワと髪の毛を逆立て鳥肌の立つ様な ぬめりを帯びた「気」が姿を現すと、「会陰」から「陰部」「腹」「胸」「喉」と脊柱を周天めぐって「頭頂」に至り、今度はとろけたバターの様に「額」を伝って再び「会陰」へとみ降りる。


エマの身体から仄昏ほのくら影炎かげろうが立ち昇った。



兵士の一人が血塗ちまみれのネグリジェに身を包んだ金髪の美少女に気付いて、…

こっちに向かって近づいてくる!



やがてエマが正面に向かって伸ばした右掌の先に、…

空中でくるくる回転する魔方陣?の様なものが出現し、


ゆっくりと其の手を空に向かって差し上げるのに合わせて、…

魔方陣はどんどん大きくなりながら…上空高くへと昇っていく…


そしてとうとう、其の大きさは巨大テントをすっぽりと包み込む直径100mほどの巨大な円となって、テントの真上に位置を定めて まるで円盤の様にゆっくりと水平回転を始めた。


次の瞬間!

一気に振り下ろしたエマの腕の動きに従って…

テント向かって急速降下する!!

魔方陣!!!



ところが!…テントの上空すれすれで…

魔方陣が砕け散った!!




エマ:「あーーっ!」

瑞穂:「何?」


エマの「聖霊」の力が発動しない?


いよいよ10mの距離迄近づいて来た二人の兵士が、…

僕達に向かってL85A1(アサルトライフル)を構えて威嚇する。



兵士:「Freeze!(動くな!)」


瑞穂:「何か、…変だわ。」


テントの上をすっぽりと覆うように、…

揺らめく巨大な陽炎が出現していた。



翔五:「何かいる? …もしかして「聖霊」?」


何かが、確かに光った。


テントの上空、発生した朧げな陽炎の周りに、…

「キラキラ」光るガラス板?のようなものが出現して、…


その一辺2m程の正六角形のプレパラートは、独楽こまの様に回転しながら超音速で飛来、…


そして、エマの胴体と交錯する!



エマ:「ありゃ…」


血塗ちまみれのネグリジェが、…

へそのすぐ上辺りから切れて、パサリと脱げ落ちる。


あらわになった真っ白なエマの下半身に、…

横一文字に、うっすらと血が滲み、…


神経回路を切断されたエマの下半身は、立ち姿勢のバランスを維持できなくなって、…無様に転ぶ!


一方エマの上半身は、お臍の直ぐ上辺りからすっぱり下半身と切り離されて、…


1m前方の地面に、…落下した!



翔五:「エマ!」


翔五、エマの上半身に駆け寄る。

まるでCTスキャンの様な切断面から、じわじわと体液がこぼれ始めている。



エマ:「ショウゴ、、」


「キラキラ」光る六角形のプレパラートは、…

遥か彼方でブーメランの様に旋回して、…

今度は、翔五に目掛けて襲いかかる!



瑞穂:「伏せて!」


瑞穂が翔五に覆いかぶさって、

すれすれの上空をプレパラートが行き過ぎる!



翔五:「瑞穂! エマは、エマは死なないんだよな!」

瑞穂:「こんな風に切られたことなんて無いんだから、わかんないわよ。 それにこれは普通の兵器じゃない。」


見ると、二人いた兵士のうち一人が、巻き添えを食って…

不意に地面に倒れこむ。

切断された兵士の首が、ころころと地面を転がってくる。



翔五:「あれは、「敵」なのか?」

瑞穂:「分からない、あんな大きな聖霊がいるなんて聞いたこと無いわよ。」


それは、すっぽりと巨大テントを覆いかぶさる、超巨大な…ザトウムシ。


しかもさっきは一つだけだった「キラキラ」のプレパラートが、いつの間にか無数に増えている。


超巨大ザトウムシの周りをきらきらくるくる回りながら、

気まぐれに、あちらこちらを飛翔・旋回して、…

触れるもの全てを、…

切断する。







エマは、真っ二つに両断されながらも生きていた。

切断面を、氷の膜が保護しているらしい。



瑞穂:「参ったわね、」

翔五:「かく、あの「キラキラ」したものに触らなきゃ良いんだろ。」


振り子かブーメランの様に飛翔する「キラキラ」は、比較的飛行進路を予測しやすくて、注意して避けようと思えば…避けれなくも無い。



エマ:「漏らしちゃった、」


今にも息絶えそうな上半身だけの美少女が、頬を染めている。



翔五:「気にすんな。」


僕は、今にも泣き出したくなる様な苦虫を、…噛み潰す。




瑞穂:「そうね、かえってチャンスかも知れないわね。」

翔五:「この騒ぎにまぎれて芽衣を取り戻す、…そんで、さっさと退散するぞ。」


瑞穂と僕は立ち上がり、



翔五:「エマ、ちょっと待ってろよ。」


巨大テントに向かってダッシュする!



今や、20を超える「キラキラ」が、無秩序にそこら中を飛び回っていた。


異変に気付いた兵士たちがテントから飛び出してきては、…

ばっさばっさ無残に切断される。



小銃をぶっ放すも、超巨大ザトウムシの本体は滅茶苦茶硬いらしく、銃弾を全く受け付けない。 傷一つ付く様子も無い。


一方「キラキラ」の方は、側面に弾が命中すれば煙の様に消滅するらしいのだが、…余りにもスピードが速くて銃弾で撃ち落とすのは、至難の業に見える。


それにザトウムシの本体からは、次から次へと新しい「キラキラ」があぶくの様に発生し続けていたから、…正直なところ、撃ち落としても撃ち落としてもらちがあかない。







僕達は、百mほどダッシュして、…

軍用ジープの陰に隠れて、一旦息をつく、



翔五:「ちょっと、…待って、息が、…続かない…。」


気持ちと身体は、別モノだと改めて納得する。

思った通りには、身体は動いてくれないものなのだな…



翔五:「こんなはずじゃ、…無いのにな、…」

瑞穂:「もう少し運動したら?」



二人組みの兵士がスティンガー・ミサイルを持ち出してきた。

テキパキと発射準備を整え、射軸を、超巨大ザトウムシの本体に照準する!


直ちに、ミサイル発射!

自動追尾でミサイルがザトウムシに、…直撃!



爆発:「「「「!!!大音響!!!」」」」


爆圧で、…さしもの超巨大ザトウムシも、…

体勢を崩して地面に、…

倒れた。



翔五:「やったか?」

瑞穂:「今の内よ!」


倒れた超巨大ザトウムシの長い脚の直ぐそばを駆け抜けて、…

僕達は何とかテントに到達する。


テントの中は、とっくにパニック状態だった。


大勢の兵士、…

科学者らしき人、…

無数の観測機械、…

右往左往にとっ散らかっている。



突然の侵入者に気付いた兵士の一人が、

間髪いれず銃を向ける!



瑞穂:「翔五、伏せて!」


僕達のすれすれの頭上を、

「キラキラ」のプレパラートが飛翔する!


今やテントの中にまで進入した「キラキラ」プレパラートは、中にあるものを辺りかまわずに、…斬りまくった!



兵士達の足が、腕が、

バラバラになって、崩れ落ちる。


科学者の首が、胴体が、

体液をほとばしらせながら、転がり落ちる。




翔五:「何なんだ、あの「キラキラ」した奴は?」

瑞穂:「…あっ、」


気がつくと、…覆いかぶさった瑞穂の胸を、僕の掌がしっかりと握り締めていた。



翔五:「不可抗力だって! わざとじゃないってば!」


翔五、真っ青になって、…瑞穂から大急ぎで離れる、



瑞穂:「…そんなに、ビクビクしなくっても、…良いのに、」


瑞穂、赤くなって、…何だか急にシオラシクなる。




翔五:「芽衣は? 何処だ?」


見回すと、…

そこら中、無残に切り下ろされた兵士やら、科学者たちの死体が転がっている。

生き残った連中はテントの外に逃げ出したらしい。



テントの中心部には、…

巨石が環状に並べられている。



翔五:「これって、何処かで見た事ある…」


その中央部に、…

芽衣がいた。


目隠しをされ、口を塞がれて、手足を鎖でつながれている!



翔五:「これって、…もしかしてストーンヘンジ?」



巨大テントは、ストーンヘンジをすっぽりと覆い隠す様に設営されていた。



再び、「キラキラ」が旋回、…芽衣に向かって襲いかかる!



翔五:「芽衣! 危ない!」


芽衣の鎖を括りつけていた金属の支柱がバッサリ切断される!


僕はダッシュして芽衣に飛びつき、…

間一髪で、芽衣を「キラキラ」の飛行軌道から引き離す!



翔五:「芽衣! 大丈夫か!」


僕は、芽衣の猿轡(さるぐつわ)を外そうとして…

奇妙な感覚に囚われた。



見ると…右手の、手首の下、前腕の半分から先が…無い。



翔五:「へっ?」


さっきの「キラキラ」とすれ違った時に、…切断された?

突然すぎて、…事態に理解が追いつかない。。。。


前腕を斜めに割った切断面から、

ぴゅーぴゅーと血液が噴き出してくる。。

もにょもにょと筋肉が、縮こまっていく。。



翔五:「なんじゃ、こりゃぁ!」


不思議なことに、直ぐには痛みが訪れないらしい、

余りにもすっぱりと切れた切断面は、やがてピリピリとした痒みに襲われ始める。


そうは言っても、腕の切断面からの出血は酷く、

放って置けば、ものの数分で失血性のショック死に陥ってしまうに違いない。



瑞穂:「脇を押さえて!」


僕は瑞穂の指示のままに脇の下の大動脈を強く抑え、


瑞穂は、行成いきなり僕の肩の上に馬乗りになって、二の腕を股間に押し付け、…

太股(ふともも)で万力の様に、締め上げる!



瑞穂:「ちょっと痛いかも知れないけど、我慢しなさい!」


そして、手際良く自分のブラウスの端を噛み切って紐を作ると、


それから、…

おもむろに僕の腕の切断面に指を突っ込んで、…

無理やり橈骨動脈とうこつどうみゃくを引っ張り出した!



翔五:「いいいっ! うぐxxぅががxxxあああっふぐうxxxぅぅ…」


何だ、この痛みは?????…

そうだ、歯医者で歯を削られてる時に神経に響く、…

あれ×4倍くらい…


僕は、これまでに経験した事が無い程、

ブルブルと全身の筋肉を痙攣させる!


多分、…失禁してる…?



瑞穂:「大人しくして! 男でしょ!」


いや、男とか、そういう問題は、通り越している…



瑞穂は断続的に血を噴出し続ける僕の血管の切れ端を、先っぽで折り曲げると、…急ごしらえの紐でぐるぐるに縛る。


続いて、尺骨動脈しゃっこつどうみゃくにも同様の処置を施しているらしいが、

既に僕は、半分気を失いかけていた。


兎に角、血は、止まった。…




それから瑞穂は自分のブラウスを脱ぐと、僕の上腕の切断面に覆い被せ、スキニージーンズからベルトを解いて、…それで、上からグルグルのギュウギュウ巻きつけて、…固定する。



瑞穂:「いい! 勝手に「転生」って「約束」反故ほごにしたら怒るよ!」


瑞穂は、僕の残った方の掌を自分の乳房に押し付けて、…

まるで噛み付くみたいに、激しいキスをした、…



僕は、ぎりぎりのところで正気を保つ。


血の味が、…唾液に溶け込んでいく。







今やテントの天幕はボロボロの端切はぎれと化して、…

曇った空が見え隠れしていた。



ローターの轟音を立てて、…ヘリコプターが、離陸を開始する。

AH-64Dアパッチは離陸しながら超巨大ザトウムシ目掛けて回頭し、AGM-114ヘルファイヤ(空対地ミサイル)を発射! あっけなく直撃!


炸裂:「「「「!!!大音響!!!」」」」


何だか諸々の破片が降り注ぐ…



超巨大ザトウムシは爆発音と共に数十メートル程 吹っ飛ばされるが、…

しかし、その本体には、全く傷が付く様子は無い。



アパッチは141kt(ノット)(=1.852×141km/h =大体260km/h)で体勢を立て直し!


二発目のヘルファイヤを発射!


超巨大ザトウムシ、ひっくり返ったまま「キラキラ」を発生!

「キラキラ」、アパッチ目掛けて強襲!!



ニ発目のヘルファイヤは空中で一刀両断にされて、…

そのまま、「キラキラ」はアパッチに到達! 上下半分に一刀両断する!


何の抵抗も無くすっぱりと解体される、軍用攻撃ヘリ、

あっという間に飛行能力を失って…草原に、…

墜落。



むくりと起き上がる超巨大ザトウムシ!


生き残った兵士達がミニミ軽機関銃を乱射、応戦するも、…

毎秒12発で直撃する数百発の5.56×45mm NATO弾は、全弾あっさりと跳ね返される!


再び飛翔した「キラキラ」に、無残にも両断される兵士達、…







瑞穂が、芽衣の拘束具を取り外す。



瑞穂:「大丈夫?!」


よだれを垂れ流しガン泣きした芽衣が、僕に気付き、…

半ば放心状態で、何か叫んでいるが…全く言葉になってない。



芽衣:「翔五ぉ!!!」


そして、僕に抱きついてきて、

ジンジンし始めた腕の切断面に思いっきり、…触れる。



翔五:「がぁああxxx!!! ううxxxぅ…」

芽衣:「あっ!…ごめん、大丈夫?!!」


いや、多分駄目…



瑞穂:「翔五、走れる?」

翔五;「……。」


何だか、ふらふらする。…

血を失いすぎた?


瑞穂が僕に肩を貸し、…



無情にもその目の前に、出現する、超巨大ザトウムシの本体!

どうやら、時間稼ぎの兵隊達は、既に全滅か、退却したらしい、、


巨大で無機質な複眼が、僕を睨みつける!!



瑞穂:「こいつ!」


次の瞬間!

「キラキラ」が、瑞穂を強襲した!!


弾かれて、…

吹き飛ばされる、…

瑞穂!



翔五:「み、ずほ!」


間髪置かず、ブーメランの様に旋回して戻ってくる「キラキラ」!


今度は芽衣が、翔五をかばう!



翔五:「芽衣、来るな! …」



むなしくも、声は届かず。

僕の盾となった芽衣の左側頭部が「キラキラ」と交錯する、…


芽衣は、そのまま僕の上に覆いかぶさるように倒れこみ、…



芽衣:「翔五?」


僕を覗き込んだ芽衣の顔に、…

うっすらと、血の筋が滲み出す。



芽衣:「あ、れ?」


頭頂部から、左顎関節にかけて、…ずるりと、芽衣の顔が、、

滑り落ちる。



翔五:「芽衣?」


僕はとっさに手を伸ばして芽衣の顔を拾おうとするのだが、…

僕の右手は、既に失われていて…



芽衣の顔の、

綺麗な切断面から、…

芽衣の、暖かい血液と、脳漿と、…

おそらく…涙が、ぽたぽたと僕の胸の上に、…


溢れ出す。



翔五:「めぃぃ…」




そして、身動きの取れない僕の上空に、超巨大ザトウムシの本体が覆いかぶさる。


並んだ複眼が、まるで観察するミタイに、じっと僕の事を見つめている。


やがて、その針金の様に細い触角が、…


僕の頚動脈の直ぐ横から、…



僕の体内へと侵入する、…

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