この世界は五秒前に作られた

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起 赤い空を見上げる天使より

プロローグ

プロローグ

 赤い空。

 赤黒い地面。

 死に絶える人々。

 周りには鉄の臭いが立ち込め、悲鳴が轟く。

「君……名前は?」

 フラフラと近づいた俺は、倒れていた見知らぬ女性を抱き抱え、声を掛ける。

 その女性には片足がなく、断面からおびただしい血が流れ出している。だが、辛うじて息があった。

「……ユ……キ」

 彼女は、倒れながらもゆっくりと空へ手を伸ばす。

「彼処に……行かな……く」

 やがて、その手も糸の切れた人形の様に崩れる。辺りは時が止まったかのように静まり、沈黙が流れる。

 ついに、俺一人になってしまった。

 どうして、こんなことになってしまったのだろうか。

「どうして……こんなことに……」

 俺は彼女を抱きしめ、空へ叫ぶ。

 こんな理不尽を作り出した神に……

 救いを創らなかった神に……

 クソッタレな神に……

 ……

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