冒険者登録

 さて、ギルドのトビラを開けて中に入るとするか。

 ガチャ、金属できたドアノブを回して入る。

 中をのぞいてみると、ゲームか何かで見たことがあるような、酒場風の冒険者ギルドだった。

 思ったよりも人がいない。昼間だからかみんなクエストに行くなりしているのだろう。

 一部の人は飲んだくれているが。


 冒険者登録は、どこでやるのだろうか、場所がわからない。

 きょろきょろ、辺りを見渡して受付を探していると、手招きしている人が見えた。

 あそこが、きっと受付なのだろう。

 綺麗な女性の方だった。きっと、俺がきょろきょろしていたので、初心者冒険者だと察して呼んでくれたと思われる。


「すみません。今日から冒険者になりたいんですが新規冒険者登録はここであってますか。」


「ここで、あってますよ。登録料500ゴル掛りますがかまいませんか。」


 500ルドって事は、所持金の半分がここで飛ぶのか。

 まぁ仕事をする上で、絶対に掛る必要なコストなので手が振るえながらも、支払った。

 まぁ、初めから登録料と今日の宿代しか貰ってなかったんだ。

 今日中にお金を使い切るのはしかたない。

 あと、お金の単位がゴルで、宿代は500ゴルだということはわかった。

 

「では、ここに名前をお願いします。」


 名前を書く、一回も書いたことのない異世界語を書けるのかが不思議な気分だが便利なので気にしないでおく。


 キムラ ユウリ


 漢字は、この世界にはないのでこんな漢字の表記になる。


「はい、ユウリさんですね。こちら注意事項ですので後で読んでおいてください。」


 注意事項の書かれてた紙を流し読みをする限り、殺人の禁止、窃盗の禁止、誘拐禁止など、現代日本でやってはいけない事と、同じだった。

 俺は、こんなことをしないので関係ないが破った場合指名手配されるとのことだ。

 指名手配犯は裁判の後、重たい処罰を受けることだ。一様気をつけておかねば。


「では次に、あなたのおよその能力を確認します。この水晶にかざしてください。」


 そういいつつ、ギルドの受付の人はサッカーボールサイズの青い水晶を挿してきた。

 ただ、なんか水晶の中になんか幾何学的な模様が浮かび上がっているのが見える。

 

「はい、わかりました。」


 ざわ・・・ざわ・・・。

 きっと俺は能力が低いような気がする。

 そんなに運動神経が良かったわけではない。

 かといって勉強ができたわけでもない。

 誰かに成績表を見られるような恥ずかしさを感じながら俺をかざした。


 ぷわ~ん。


 そんな、擬音がしたような感じがした後、何か文字が出てきた。

 だが、俺のほうから見ると反転しているので読みにくい。

 ただ、ギルドの人は変な顔をしているような気がする。


「・・・あなた、そこそこの年齢の人ですよね。」


 あれ、なんか言い方が冷たいぞ。

 そこまで、能力値が低かったのだろうか。


 「16歳です。」

 

 恥ずかしかったので小声で返した。


「いや、あなたレベル1なんですけど、その齢でレベル1って今までどの様な生活してたんですか。」


 え、この世界レベルとかある世界なんだ。

 俺レベル1・・・やだ、私のレベル低すぎ。きっと、その辺のコボルトにも負るれべるじゃあないか。

 取り合えず、適当に誤魔化すしかないんだが、レベルを上げる方法がわからないので、レベル1な理由をどう誤魔化すべきか・・・。


「まぁ、いろいろあったんです。」


 特に思い付かなかった。


「はぁ、そうですか。」


 何その目、なんか悲しい感じのそんな目で私を見ないでください。

 

「あ、でもなんか、よくわからないスキルありますし、レベル1の人のステータスは見たこと無いけど、多分そこまで低くありません。

 しばらくの期間、ソロでレベルを上げればパーティに入れてもらえるはずですよ。」


 なんか、やさしそうな言葉を掛けられた。

 よくわからないスキルは多分

 オンラインゲームならレベル1の人でも、優しい人がひらってくれたりするものだ。

 しかし、ここは現実の世界で、本物の命と生活をかけてモンスターを討伐しているのだ。

 弱い奴とパーティを組みたくないと言うのは当然か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る