新たなる未知へ

その店で働き数年経過。

アルバイトでリーダーという職を任される。

忙しくても身体が慣れてしまって、平気になった。

そこで社員というものを考えてしまう。


バイトで出世して時給1150円×7時間×25日出勤=201250円の月収。

福利厚生一切なし。


社員は月5回の休みがあって、月収約24万円。そこに社会保険厚生年金引かれても20万以上は残る。

そこに、ボーナス、有給、って考えると、

社員の方が圧倒的に得やんけ!


そこにまた求人誌の記事が飛び込んでくる。

「新店オープン!社員もスタッフも大募集!みんな同じスタートなので、煩わしい上下関係もなし!」

そうか!新しい店ならみんな同じ時期の入社なので、横一列からのスタートというわけなのだな。

ここで社員ならやっていけるかも!

自分には繁忙店で働いていた経験もあるし。

忙しさには耐える自信があるし!


何しろ給料をどう考えたって、社員の方がええやん。


原田おさむ。まだ20代前半。

浅はかな考えを起こす。

そしてこれは、パチンコ業界ではよくある話。


とんでもないトラップなのである。

そのトラップに見事引っかっているのである。


僕は数年間働いた駅前の繁忙店をすんなり辞めて、新店に行く事となる。

さらに同じ求人誌を読んだそのお店のバイトの男も1人、辞めて僕に引っ付いてきた。

僕らは自分たちの中では、「引き抜き」のような気分だった。


世の中には待遇の良いお店があるのに、何でこんなとこでみんな働き続けるんだい?アホちゃうか?

なんて、そんな気分だった。


それこそが地獄の入り口。

もう遅い。

そんな過ちを犯すパチンコ業界の甘ったれ。

腐るほどおる。

僕もその1人だった。


そしてそのトラップに飲み込まれていく。

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