知りすぎていた男編⑥

僕はNに、思っている事を全部ぶつけた。

「お前、パチンコやスロットした事あるんか?」


「もちろん、あります。」


「当たるか当たらんかわからんから、当たったら面白いんやろ?」


「そりゃまあ。」


「毎日パチンコ屋で働いてたらわかるやろ!なけなしの一万円や二万円握りしめて、当たるか当たらんかわからんから、必死になってる、おっちゃんやおばちゃん!そんな人ら見てきて、ようも自分の知り合いだけに、スロットの高設定台教えれるな!!」


「・・・・」


「自分の欲のために、出る可能性の高い台を、人に教えて、そいつらに感謝されるどころか、


教えてくれないなら、


店にチクるなんて、脅してくる連中のために、


これ以上、自分を売るんか!


そして、俺を巻き込むんか!」


「こうなるなんて、思いませんでしたから。」


「こうなるのが当たり前や!」


「だって、内緒にしてくれるって・・・」


「その言葉を信じた根拠はなんやねん?」


「友達だったんで。」


「本当の友達なら、そんな事してるお前を、死ぬ気で止めるのが!


本当の友達や!!」


ドラマみたいに臭いセリフがボロボロ出てきた。

僕がNの誘いに乗らず、ずーっと、心の中で葛藤してきたことだ。

やってはいけない事には、

やってはいけない事なりの、きちんとした理由がある。


例えば法律というものがあって、それに触れていなければ何をしてもいいという訳ではない。


毎日パチンコ当たるか当たらないか、わからず必死に台に手を合わせて打ってるお客さん見てきたら。


こんな事、決してしてはならないのだ。


「・・・・僕、店辞めるしかないですか?」


「話が広まるのも時間の問題やからな。後は自分と自分の家族の事考えて。自分でキチンと結論出すんや。

あと、もう一つだけ言っておく。」


「・・・・??」


「そいつらとは、友達やめろ。」


僕は言ってるうちに、自分が何様やねん?

と、突っ込みたくなったが。

とにかく僕も20代前半だったので・・・


熱い言葉がドンドン出てきた。

しかし、彼を友達だと思ったから、そう言ったのだ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る