知りすぎていた男編②

当時僕は二十代前半。とあるパチンコ屋の一般社員で働いていて、同じく一般社員の同僚のNという男がいた。


Nとは同年代で話も合い、仕事でも良きライバルとして仕事していた。


その店は週に一回スロットのイベントがあり、その日だけはスロットを出していた。


そのイベントの前日、閉店作業でNはスロットの清掃をしていた。


翌日の朝、僕は早番で出勤してみると、朝の8時から先頭に並んでいる男がいた。

僕とNの共通の友人でOという男だ。


Oはそのパチンコ屋から五つも離れた駅に住んでおり、とてもOがフラッと打ちにくるような店の距離ではなかった。


「なにしてんねん!?」

と、聞いても、


「いや、スロットイベントやから。」

と、言うだけ。


そして、朝の10時に店が開店すると、Oは少しも台を選ぶことなく、ある一つの台へ向かってまっすぐ走っていった。

そして、打ち始めた。


僕は違和感しか感じなかった。

こんなに朝早く並んで、迷うことなく、あの台に座る。こんな行動ありうるのか?


そして、Nに聞いてみた。

「今日、先頭にOが並んでたんやで。」


「でしょうね。」


「?????」


「昨日店長が設定打ち変えた台を、教えましたからね。」


「!!!!!」


あれよあれよと、Oは昼までにスロットの大当たりを引き続け、ドル箱2つ勝ち盛りにした。

さらに出続ける。


「あとで、Oからタバコを1カートンもらう約束になってます。」


僕は、たまらず叫んだ。


「そんな、そんな事していいの?」


「何がいけないんですか?」


「だって、」


「お店はお客さんが増えるし、僕の友達は喜ぶし、僕はタバコを1カートンもらえる。それの何がいけないんですか?」


違和感。

壮絶な違和感しか

感じなかった・・・・


本当に、こんな事して、いいのだろうか?

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