赤の大捜査線編⑪

持ち込み犯は捕まり、取り調べのうえ、身体に約6000玉の玉を巻きつけていた。

さらに車で来店しており、車のトランクよりさらに大量のパチンコ玉が見つかった。


その男をほっておいたら、どえらい赤の誤差玉になった事であろう。


持ち込み犯を教えてくれたお客さんを事務所に通し、店長と僕ら社員全員でお礼を言った。

「本当にありがとうございます。」

するとお客さんが、僕らに言った言葉。

それが、今回のお話で言いたかった事。


「だって、そんな不正をする人がいるから、僕ら一般客に出す事ができないんですよね?」


そうだ。

パチンコ屋がお客さんを呼ぶには、出すこと。

しかし全国のパチンコ屋で常に赤字を垂れ流している店などない。


限られた予算で機械を買い、人件費を削り、節電や節水に努め、

どうすれば、利益のうちの少しでもお客さんに出せるか、四苦八苦しているのだ。

巷の中小企業と同じ。


それをパチンコ屋だからと、お金の匂いを嗅ぎつけ、不正をする奴らに、お店の利益を抜かれて、

どうして優良で善良な一般客に出せようか?


不正で傷付くのは、まわりまわって、善良な一般客なのである。


パチンコ屋は、お金の無限に出てくる場所ではないのだ。

利益がなければ、僕らの給料も出ない。


お客さんに出すこともできないのだ。


不正は敵。

僕らホールマンもそう。

そして、一般のお客さんにとっても敵なのです。


そして、今回はお客さんの貴重なたれ込みにより、持ち込み犯を確保できた。


そんなお店とお客さんの関係が理想の形なんですけどね。

負けて当たられるのは僕らホールマン。

それも仕事の一環なのですが。


僕らも不正は大嫌いです。


だからお客さんも、不正は嫌いでも。


僕らホールマンの事は、嫌いにならないでください!


おしまい。

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