赤の大捜査線編⑩

男の後を追っかけた僕は、すぐ出たところの商店街で男に追いついた。

そして、後ろから腰にガッチリ手を回した。


ジャリッ!


?!?!?


こいつ!パチンコ玉の入った、腹巻きをしてやがる!

この腹巻きから玉を取り出し、持ち込み玉で打っていたのか!


「離せや!」


男が暴れる。

次は男の肩を掴む。


ジャリッ!


こいつ!肩にまで玉を仕込んでやがる!

全身パチンコ玉だ!怪人玉男だ!


あとを追っかけてきた、数人の社員と僕で男を取り押さえる。

暴れれば暴れるほど、男の身体からパチンコ玉がポロポロこぼれおちる!


「わかった。わかった。もう逃げへんから。」

と、男は言った。

しかし、それはこちらを油断させるためで、また暴れて僕の手を逃れて逃げようとした。


ツルッと、自分のこぼした玉に引っかかって、こけそうになった。


そして、また僕らに捕まる。

さらに、自分が身につけた玉の重さのせいで、身体が迅速に動かない。


商店街はそいつのせいで、玉が散らばる。

通行人の女性が自分の携帯から警察に電話をしてくれて、男を取り押さえてる僕の耳に携帯をあててくれた。


「パチンコ屋の○●です!表で男を取り押さえてます!来てください!」


「どんな男ですか?」


「玉です!全身パチンコ玉の男です!」


端から見たら、なんと滑稽な連中だろうか。


だけど僕らは必死だった。

こんな男!

逃がしてなるものか!

1人は男のベルトを掴み、僕はずっと両肩を抑え、もう1人は男の足を掴んだ。


そして、約15分後、

お巡りさんがきて、男は御用となった。


僕らは男が商店街に散らかした、証拠品の玉を拾った。


なんやねんな!

この騒動!

後にも先にもこんな騒動を経験した事はない・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る