赤の大捜査線編④

バイトの報告を受け、その黒っぽい玉を交換した客の、防犯カメラの録画を巻き戻してみてみる。


まず、1人の男が店内に入ってくる。

手には小さな巾着袋を1つ。

それを、左右誰も座ってない台の空のドル箱に乗せる。


僕は、思わず

「あっ!」

と、叫んだ。


ドル箱に乗せた巾着袋の紐をひくと、一瞬でドル箱に玉がバサッと乗っかる!

一瞬にして、勝ち盛りの玉の入ったドル箱が1つ出来上がった!


プッチンプリンを逆さまにして、容器の突起物を折って皿に移すように、いや、それよりも早く玉入りのドル箱が出来上がった!


すると、その巾着袋の男はすぐさま退店。


さらに、違う別の男が店内に入ってきて、玉の入ったドル箱の台の呼び出しランプを押す。

そして従業員が駆けつける。

そして、交換する。


全てほんの数分の出来事。

玉をドル箱に移すのにいたっては、数秒!

こんな手口でやっていたのか!


ネットを見てみたら、パチンコの玉なんてすぐ手に入る。

中古のパチンコ台を購入したら、一万玉無料でついてくる。

さらに全国の閉店したパチンコ屋が、パチンコの玉をネットに売りに出す。


その黒っぽい玉も、どこかの閉店したパチンコ屋からかっぱらった、無料同然で仕入れた玉に違いない。


その手口を店長に報告した。

「なに、逃がしとんねん!」


「すいません。でも、手口はわかりました。」


「あほか!今からお前がせなあかん事は、何かわかるか?」


「防犯の徹底ですか?」


「あほか!」


「????」


「その交換された、黒っぽい玉は、今どうなってるんや?」


「他の玉と混ざって、店内の島を循環してますが?」


「その黒っぽい玉を店内から排除しないかぎり、次にその玉を持ち込まれても、いや店の台から出てきたんです。って言われたらおしまいやろ!!」


「!!!!」


「今すぐ店内の玉を全て抜き切って、その黒い玉を一発残らず排除するんや!」


「そんな!!」


「それをしない限り、再犯の防止もクソもないぞ!!」


パチンコ屋のパチンコ玉の総数なんて、誰が知ろうか?

何億、いや、何兆玉あるぞ!


そこから、せめて、今日交換された黒っぽい玉を全て排除しない限り、


また、やられる!

やられても、わからない!!


僕は閉店後、店内の全てのパチンコ玉を抜き、選別しなくてはならなかった。


その作業、


その労力、


・・・・まさに、人殺しだった・・・・

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