赤の大捜査線編③

誤差玉のマイナスがついに、-12000!

しかも、一日正常に戻ったのに、次の日またマイナス!

ということは、機械トラブルではない。

正常な時はきちんと正常な数字が出るからだ。

この店で確実に得体の知れない何かが、うごめいているのだ。


店長の怒りが極限になる。

「何が機械トラブルや!不正やないか!お前がグズグズしてるから、どんどんマイナスが大きくなるやんけ!」


「・・・はい。」


「お前、自分の財布から毎日何万も、金抜き取られたら、怒るやろ?原因をとことん探るやろ!」


「・・・はい。それは。」


「じゃあ、原因を突き止めるまで、帰れると思うな!」


さんざん機械トラブルの要因を探ったのに空振り。

不正が行われていないか、全社員、全アルバイトにも朝終礼で通達する。


「誤差玉のマイナスが出てます。すごい金額です。何でもいいので、気付いたらすぐ報告してください!」


僕も朝から晩までホールで目をギラつかせて歩いた。

しかし原因の追求は困難な状況だった。


まず、お客さんの玉の移動、台の移動が自由のお店だったこと。

お客さんは好き放題台を移動する。

多い人は10台も20台も台移動する。

もし、台移動のできないお店なら、大当たり回数ゼロで持ち玉があるなら、それでおかしいとわかるのだが。


台移動玉移動自由であれば、そんな事も日常茶飯事だった。

さらには、ホールの人員不足、ホールが広い、死角が多い、忙しさでなかなかお客さんの顔を一人一人認識しにくい。

色んな要素がかみ合い、不正を看破しにくい状況だった。


そんな中、営業中にバイトの1人の男の子から話しかけられる。


「あのね。今、玉を交換したお客さん、少しおかしかったんですよ。」


「なんや?何がどうおかしかったんや!」


「玉の、玉の色が・・・・少し黒っぽかったんです。」


「なにーーー!!!」


すぐさまその客を追いかける。

すでにいなかった。


すぐさま事務所の防犯カメラの映像を確認しにあがる。


そのカメラの映像を見たとき、僕は腰を抜かした・・・・

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