新たなる希望編④
その店はうちの店と同じ会社の系列店で、いわば姉妹店だった。
だけど良い噂を聞かなかった。
お客さんもうちより入っていなかったし、そこのスタッフも、挨拶してくる人がいなかった。
ある日、店長から呼ばれる。
「隣の店に、行ってくれへんか?」
はい?耳を疑った。
聞くと、そこの社員が突然辞めてしまって、究極に人手不足なのだという。
僕に期待をかけて転勤を決めたのだという。
急遽転勤が決まり、最後の日に店長がまたご飯に連れて行ってくれた。
本当にこの人は僕に期待をしてくれてるのがよくわかった。
でもね。店長がいたから、この店に来たんですよ。
あの女性スタッフたちや、話の順序のおかしい主任も、みんな家族みたいに仲が良かった。ずっと働いていたかった。
それは胸に秘めて言えなかった。
なんでだろう。いつもこうなる。
突然辞める奴とかに、足を引っ張られて、奈落の底へ突き落とされる。
真面目に働いているのに。
やっと見つけた働きがいのある店も、こんな理由で引き離される。
これで次は、6軒目のパチンコ屋。
すでに妻と結婚したばかり。
もう、選んでいる余裕などない。
でも、すでに感じていた。
僕の経験が、僕の全てが、
何かを否定する。
・・・あそこの店は、あそこの店に行ったら、
・・・もう一度、地獄をくぐらなければならぬと。
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