第16話 内戦勃発

 ヒゲの警備隊責任者に司令室のようなところに案内された。

 司令室といってもファンタジーの世界だからレーダーとかモニター類とかが並んでいる訳ではない。部屋の中央に陣取る大きなテーブルに巨大な地図が広げられている事と壁際に戦闘服が整然とぶら下がっているぐらいのものだ。

 警備隊責任者改め『ヒゲの隊長』は簡単にこのあたりの勢力図について解説してくれた。

「このハーン川が州境になっておりまして、ここを挟んで我々バーグ州とビフライ州は睨み合っている状態であります。ビフライ州は昔から共和党の勢力が強く、政府も手を焼いておりました。それが前政権の時に強硬派のリーダーが就任してからは、再三バーグにちょっかいを出すようになってきたのでございます」

『具体的にはどんなことを?』

「はい。はじめは州境の村や町にチンピラを送り込んで暴れさせるといった程度だったのですが、それがやがてビフライの意向を受けた人間が次々と送り込まれ、村長や町議会を取り込むようになってきました。さらには州境に移動砲台を次々に設置して我々バーグを恫喝するようになってきたのです」

『移動砲台? 州の権限で勝手に軍備を増強できるのか?』

「はい……実はそれがこの国の法律の盲点なのでございます。国防法では「大砲及びこれに準ずる大型火器の設置を行う場合は国防省の許可を要する」となっておりますがビフライは「移動できるものだから設置ではない」と言い張ってこれを作り続けたのであります」

 なるほど良くある話だ。移動できるから設置ではないとかまったくの屁理屈だが。

〔移動砲台って戦車みたいなものか。けど、段々と巻き込まれそうな気がしてきたぞ……早くフィオナのところに行きたいんだけどなぁ〕

 そんなことを考えていると嫌な予感が的中した。司令室に「た、隊長!」と、警備兵が一人転がり込んできたのだ。

 それを見てヒゲの隊長が眉を顰める。

「騒がしいぞ。何事か?」 

「た、た、大変です! 隊長! ビフライの軍勢が境界線を越えてきました!」

 ヒゲの隊長はその報告を聞いて狼狽した。

「な、なんだと!? なぜだ! なぜ今なんだ! で、じょ、状況は?」

「ニーコミ村方面にドラゴンが30体、地上軍が200ほど迫っています!」

「に、200だと!? そんなバカな!」

 そう言ってヒゲの隊長は絶句した。

 一緒に報告を聞いていた白髪の警備兵が顔をしかめる。

「軍に内緒で兵を組織していたということでは? 明らかに条例違反です!」

 ヒゲの隊長はすぐさま部下に指示を出す。

「通信兵は軍に応援要請を! 大至急だ! メルデ軍曹は兵員をすべて召集、戦闘準備を整えろ! 交代要員も含めて全員だ!」

 にわかに砦が騒がしくなる。サイレンが鳴らされ人の動きが活発になる。兵士達が次々と部屋に入ってきては慌しく着替え、武器を手に出て行く。まるで火事の一報を受けた消防署内のようだ。

 その中で着替え終わったのに茫然と突っ立っている兵士が居たので身体が尋ねる。

『こちらの戦力は?』

「え? あ……ドラゴン兵が11体、警備兵が18人……」

『なるほど。なかなかのハンデだな』

「どうすりゃいいんだろ……嫌だな。死にたくないよ」

『そう落胆するな。必ず死ぬと決まったわけではない』

 そう言って身体はポンと兵士の背中を叩いた。そこにヒゲの隊長の怒鳴り声が響く。

「なぜだ! なぜ軍が動かない?」

 通信兵が首を竦める。

「そ、それが首都の警備で手一杯とか……これから再編成しないと部隊を派遣できないと」

「自力で何とかしろと? そんな無茶な! 何のための軍隊だ!」

 ヒゲの隊長はそう吐き捨てると絶望的なまなざしをこちらに向けた。

〔こっち見んな~!〕

 冗談じゃない。こんなところで戦いに巻き込まれるのはごめんだ。

 が、身体はゆっくりと立ち上がって言う。

『やむをえん。出るぞ』

「ダンクロフォード様! あ、ありがとうございます!」

 ヒゲの隊長の目が少女漫画みたくウルウルする。

『礼は後だ。ドラゴンを借りるぞ!』

「そ、それが生憎、予備のドラゴンがおりませんで」

『仕方が無い。じゃあアンタの後ろで我慢する』

「はっ! 申し訳ございませぬ」

 確かに出撃するのにカバドラゴンでは話にならない。なのでヒゲの隊長のドラゴンに相乗りする。途中でミーユが「ついていくミョ!」と食い下がったが足手まといなので置いていくことにした。


   *  *  *


 やはり2人乗っているせいかヒゲの隊長のドラゴンはスピードが上がらない。止む無く他のドラゴン達を先に行かせて後を追う。現場まではさほど時間は要しなかったが、我々が到着した時には既にドラゴン兵同士の戦いが始まっていた。

 見たところ味方10体に対して敵勢力は20ほど。最初の報告では約30と聞いていたので恐らく二手に分かれたのだろう。それにはヒゲの隊長もすぐ気付いたようだ。

「ムムッ……残りは地上軍と合流したか別な場所に向かったか?」

 周囲を見回すが他にドラゴンの姿は見えない。

『ここで我々を足止めするつもりのようだな』

 警備兵達と敵が入り乱れて剣や槍で交戦している。が、共にドラゴンに乗っているせいか遠目にはチマチマとやりあっているように見えてしまう。恐らくバランスが悪いのと距離の調整が出来ないからだろう。

 ヒゲの隊長がそれを観察しながら呟く。

「敵の兵は……民兵も混じっておるようです」

『にしては味方が随分苦戦しているな』

「相当訓練を積んだにしてもこれは……」

 そこへ敵のドラゴンが接近してきた。と同時にドラゴン兵が弓を射る仕草をみせた。

『魔的矢か……』

 身体はそう呟いてから背中の剣を抜いた。

〔おいおい! ドラゴンの背の上で長い剣を振り回すつもりか?〕

 敵の放った矢が『シュゴッ!』という轟音と共に目の前に飛来する。

『メマジカ』

 独り言のような具合で呪文を唱え、敵の矢を弾く。一寸、敵が驚いたように見える。が、次の瞬間、死角から猛スピードで突っ込んでくる影に気付いた。別なドラゴンが攻撃を仕掛けてきたのだ。

「ムオッ!」と、ヒゲの隊長が慌てて手綱を引く。

『フン』と、身体は剣で敵ドラゴンの爪を弾く。それも軽く一蹴するといった程度に。

 前足の爪を弾かれた敵ドラゴンは大きく体勢を崩す。それに乗っていた敵が「グワッ!」と、バランスを崩しながらも必死で剣を振り回す。身体はなおも余裕で剣を払う。『ガッ!』と剣同士がぶつかる音がして敵の剣が宙を舞った。飛ばされた剣はコマのようにクルクル回りながら落下していく。一寸置いて敵が「ウッ!」と、わき腹を押さえる。よく見るとそこから出血している。

『ツゥマジカス』

 すぐさま身体は次の呪文を唱える。それで発動した水の刃がいつの間にか死角から接近していた3本の矢を迎撃する。

〔連携攻撃かよ!? 危ねぇ。全然気付かなかった!〕

 水の刃は矢を放った敵兵をかすめて飛んでいった。ちょうど敵の右腕あたりをかすめたように見えたし、血も吹き出たような気がした。が、敵兵は構わず次の矢を準備する。

〔あれ? 今のはノーダメージ?〕

 そう思っていたら少し間を置いてから敵が「グッ!」と、弓矢を落として腕を押さえた。

〔反応、鈍っ!〕

 敵兵はなんだか時間差でダメージを食らっているような具合だ。

 そこで身体が呟く。

『妙だとは思ったが……やはりそうか』

「どうなさいました?」

『民兵にしては戦闘能力が高すぎる。おそらくはヒロン・エキスを投与されている』

「ヒロンですと!? ま、まさか! 禁止薬物ですぞ」

『間違いない。充血した目、紫に変色した唇、そして何より傷を受けてから痛みを自覚するまでに時間がかかりすぎている』

「な、信じられません。あれは人体に与えるダメージが大きすぎます」

『だが服用中は一時的に身体能力を高めることが出来る。その後は知らんがな』

〔つまりはドーピングの親玉みたいなものか〕

 ヒゲの隊長が青ざめる。

「薬物まで使用するとは……」

『そうなると長引かせる訳にはいかんな』

 身体はそう言ってからスッとドラゴンの背で立ち上がった。そしてゆっくりと周囲を見回して敵の位置をひとつひとつ確認していく。どうやら敵をロックオンしているようだ。

『デルグマジカ!』

 その呪文で剣から出たエネルギー弾のようなモノが飛んでいく。弾はホーミング機能を持っているみたいに敵を追尾して、敵に当たった瞬間に急激に膨らみ、敵ドラゴンをすっぽり包み込んだ。

〔水!? だよな?〕

 水の球体に包まれた敵ドラゴンは、まるで丸い水槽にぽつんと囚われた金魚のように見えた。それが同時に幾つも出来てすべての敵ドラゴンを捕らえている。そしてそれらが次々と森に落下していく。

『心配するな。死なせてはいない。ただ数日間は使い物にならんだろう』

 ヒゲの隊長が呆れたように呟く。

「まさかこれ程までとは……」

『先を急ぐぞ!』

「は、はいっ!」


   *  *  *


 ビフライ軍が迫っているというニーコミ村に向かう。

 村はこのあたりの観光名所である『バーグの大滝』に隣接しているらしい。しばらく飛んだところで前方に目的の大滝が見えた。

〔あれか! デカイな〕

 バーグの大滝はすぐに分かった。ここからでは滝の横側を臨む形になる。が、何しろ大きな川がいきなり行き場を失ってその足元に大量の水を落とし続けているのだ。その落差も数百メートルはあるだろう。この規模の滝といえばナイアガラの滝ぐらいしか思いつかないが実際に生で見たことがあるわけではないので比較のしようがない。

〔ここから見てこのスケールとか……どんだけデカイんだよ〕

 前から思っていたが、よくTVなどで『東京ドーム10個分の大きさ!」などというフレーズが出てくるが、まるで実感が出来ない例えなんか全く意味が無い。だいたい東京ドームの大きさを正確に把握している人間がどれだけいるというのか? そう考えると本当にその凄さを感じる為には現物を見るしかないのだろう。

「ダンクロフォード様。何とか村は無事なようですぞ! 良かった。間に合って!」

『いいや。安心するのはまだ早い。見ろ。上流の方だ』

「あっ! もうあんな所まで!」

 敵のビフライ軍は村のすぐ目の前に迫っていた。ニーコミ村は滝の際に数十軒の家が密集した集落だった。なので川の上流から攻められると逃げ場が無い。

〔なんでまたそんなギリギリの所に住むかなぁ……〕

「ダンクロフォード様! ニーコミ村の者は何の抵抗も出来ませぬ。何とかお救いくださりませんか……お願いします」

 ビフライ軍の総勢は200名強の歩兵、移動砲台が20弱、それにドラゴン兵が約10体だ。移動砲台というものは初めて見たが一言で評するなら砲台を乗せた台車といった感じだ。もっと戦車っぽいものを予想していたが、単に砲身が長めの大砲を台車で運搬しているだけのようだ。

 位置的にはここから正面左手にニーコミ村、さらにその左が大滝になっている。一方、右手の上流には敵部隊が展開している。こちらの接近に気付いたのか敵のドラゴン兵が向かってくる。それに構わずヒゲの隊長は村へ進路をとる。

『砲台がこちらを狙っているようだな』

「なんですと!?」

『撃ってくるぞ』

 確かに移動砲台のうち2台がこっちに向いている。

 そして予想通り『ドン!』『ドン!』と時間差で大砲がぶっ放される。が、まるで迫力が無い。弾は目視できるぐらい遅かったし、明らかにここまでは届くまいという勢いだ。

〔しょぼ~ 何だそりゃ〕

 しかし意外にも弾が伸びてくる。まるで風にでも乗ったかのように。

〔あれ? 何かこっちを追ってきてる?〕

 気のせいだろうか? 弾にホーミング機能があるような気がした。

「ムッ! これはまさか!」

 ヒゲの隊長がそう言ったと同時に二発の弾が迫ってくる。そして前方で爆発!

「ムホッ!」という隊長の叫びと『バシュバシュ!』という弾の破裂音が被った。

『メマジカ!』 

 身体が反応しなければ多分やられていた。ほんの数十メートル先で2つの弾が放射状に広がり爆発を起こしたのだ。ちょうど扇形に広がる花火みたいに。

 連続する爆発もまるで花火のようだった。へなちょこな弾道だと思っていたのでちょっと驚いた。

〔なんだよそれ……ただの大砲じゃねぇのかよ〕

 大砲の弾に何か細工されているのかもしれない。それにしても広がって個々に爆発した勢いは結構な爆風と熱風をもたらした。メマジカで水の盾を作ったにもかかわらずその威力が伝わってきた。

 ドラゴンの首にしがみついていたヒゲの隊長が恐る恐る顔を上げた。

「ま、魔砲弾とは……」

〔魔法弾? なんだそりゃ?〕

 さっきの矢といい今度の砲撃といい、この世界の武器は魔法によって威力が増すということか……。

『おおかた砲弾に術式を施しているのだろう』

 身体は悠長にそんなことを言うがあんなのが直撃したらとんでもないダメージを負ってしまうだろう。

「ダンクロフォード様! 残りの砲台が村を!」

 ヒゲの隊長が指差すまでもなく移動砲台が発射角度を調整しながら砲撃体制に入るのが目に入った。

〔さっきのがあんな小さな村に……〕

 他人事ながら心配になってきた。

「ああ! 村人が避難していれば良いのですが」

『さすがにこれはマズイな』

 身体が再び剣を抜いて構える。そして目を閉じて集中したかと思うとカッと目を開いて呪文を唱えた。

『イル・デ・ゲスマジカス!』

 身体が呪文を口にしたと同時に敵の移動砲台が一斉に火を吹いた。相変わらずその弾道はのんびりしているように見えたが砲弾は放物線を描きながら確実に村に迫る。が、その時『ズオッ!』と、地響きのような音がどこからともなく発生した。

〔な、なんだ? この音?〕

 そう思っていると村の向こう側に流れる川から大量の水が巨大津波のように浮き上がってくるのが目に入った。

〔津波!? いや。違う!〕

 津波のように見えた水の固まりは村全体を覆ったかと思うとその場に留まった。つまり、川から上がってきた大量の水が巨大なカーテンのように村を覆い隠したのだ。

 ヒゲの隊長が叫ぶ。

「こ、これは!」

 遠目には村がすっぽり半球に飲み込まれたように見える。まるで水のドーム天井だ。

〔メマジカの巨大化バージョンか!?〕

 恐らくそうに違いない。身体がいつもやっている水の防御がスケールアップしたものなのだろう。

 ヒゲの隊長は絶賛する。

「す、凄い! 凄すぎます! さすがダンクロフォード様!」

 村を狙った敵の砲弾は分厚い水のカーテンに次々に飲み込まれていく。そして爆発はまったく起きない。まるでプールに向かってBB弾を打ち込んだみたいだ。

 剣を前方に突き出していた身体は『ハッ!』と、掛け声をかけて剣を右に振った。すると次の瞬間、村を覆っていた水のカーテンが『ズズッ!』と大きな音を立てて右に移動したかと思うと今度は鉄砲水になって敵の軍勢に襲い掛かった!

〔す、凄ぇ……なんなんだこれは!〕

 敵は逃げる間もなく大量の水に押し流されてしまった。それは一瞬の出来事で水が流れ去った後には、移動砲台も敵兵の姿も皆無だった。

 ヒゲの隊長はもはや呆れるしかないといった風に呻いた。

「滝の水を止めてしまうとは……」

 なるほど滝の流れが止まっている。ということは先ほどの大技は川の水を自在に操ったということなのだろう。いやはや呆れるしかない。カッパ野郎のところで一皮向けただけでどれだけパワーアップしたというのか!

〔ちょっとこれはチート過ぎないか? てか、戦闘力のバランス崩れちゃうんじゃねえか?〕

 余計な心配かもしれないがこのキャラの成長は作者の『やりすぎ』のような気がしないでもない。この調子ではこの後のバトルが化け物同士の戦いになってしまうのではないだろうか? 

 ヒゲの隊長が急にドラゴンの手綱を引く。

「ダンクロフォード様! まだ敵のドラゴンが!」

 そうだった。てっきり村の方に気をとられていて敵ドラゴンが迫っているのを忘れていた。敵はもう数十メートルのところまで接近している。

『案ずるな。残りはザコだ』

 そう言って身体は元気一杯ドラゴンの背から飛び降りた!

〔うぉおおい! 落ちるだろっ!〕

 金玉が縮こまってビー玉ぐらいになるほどの恐怖! それぐらいビビった。いや、この高さから飛び降りたら誰だってそうなるだろう。だが、身体は驚異的なジャンプ力で敵ドラゴンに接近すると剣でそれをなぎ払った。

『グギャア!』と、敵兵だか敵ドラゴンだかが悲鳴をあげて先頭の一体が大きくバランスを崩す。身体はすかさず敵ドラゴンを踏みつけ、それを足場にしてさらにジャンプ! 次のドラゴンに向かって飛ぶ、斬る、そしてまたジャンプ!

 身体は切り捨てた竜を足蹴にして次から次へと敵を撃破していく。竜から竜へ。切っては捨て切っては捨ての繰り返し。ここが空中だということはまるで関係ない。恐らく誌面では格好良く描かれているのだろうが、こっちは目が回るわ、上下左右が分からなくなるわで気を失わないように精神を保つので精一杯だ。

『うぉおおお!』

 身体は最後の一体に向かって飛ぶ。が、さすがにこれは遠かった。明らかに飛距離が足りない! 

〔無理だ! 届かない!〕

 今更のように宙に浮いたような感覚に気付く。足元には何も存在しない。支えるものは何も無い。圧倒的な重力の束縛にジャンプの勢いが削ぎ落とされる。そこで身体がチラリと下を見たのだが、その高さに気が狂いそうになった。

〔お、落ちたら死ぬ!〕

 まさに死の覚悟がよぎった。そこで身体が『ジル・サマジカ!』と、また聞き慣れない言葉を発する。すると視界に何かがムクムクと入ってきた。下の方から突如現れたそれは噴水のように見える。

〔水!? 水柱? まさかそれを足場にするつもりとか!〕

 果たして身体は左足を伸ばして水柱のてっぺんを思い切り踏みつけた。と同時に、ぶわっと浮き上がる感覚が生じる。水の勢いなのかジャンプ力なのかは分からない。だがどちらにせよ再び推進力を得た身体は大きく高度を上げ、そして豪快に最後の敵ドラゴンを上から切りつける。

『グギャア!』と、やっぱり同じように敵が悲鳴をあげて墜落する。

 ついにすべてのドラゴンを倒した。

〔ま、まじかよ……〕

 もはや呆れるしかない。段々この身体のスペックが分からなくなってきた。それと同時に派手に敵を一掃してしまったことに不安を覚えた。これでは否が応でもこの国の内戦に巻き込まれてしまう!

〔……嫌な予感しかしないんだけど〕 

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