第36話 決着!?
変身したリーベンは目つきの鋭さは相変わらずだったが、いかんせん全身タイツが良くない。間抜けとまではいわないがイマイチその力量が測りかねる。頭のてっぺんからつま先まで、のっぺりとした表面には凹凸が無く、ボディ・ラインがくっきり現れている。見た感じは白銀っぽくてシャボン玉の表面にできるような虹色が全身を覆っている。
〔……なんでツルツルなんだよ?〕
てっきり角とか爪とか突起物とかがゴテゴテ装着された姿になると想像していた。それとは間逆だ。しかもリーベンは長身なので余計に違和感がある。
〔この姿は作者の狙いすぎだろ……多分スベってる〕
しかしリーベンは外国人紳士のように大げさに嘆いてみせる。
「やれやれ。まさか闇帝様以外にこの姿を見せることになろうとはな……」
闇帝というのは奴ら四天王のボスということか。まあ、この漫画にとってはラスボスになるのだろうから強いのは分かる。
リーベンの様子を黙って見守っていた身体がぽつりと口を開く。
『もう済んだのか? あんまり待たせるな』
それを聞いてリーベンの口元が歪む。
「ほほう。まだ分かっていないようだな。いいだろう。これを見て絶望するがいい!」
そう言って奴は拳を握り締め、踏ん張りながら「はぁぁぁ……」と、力を溜めるようなポーズを取った。すると、まるでそれに呼応するかのように『ゴゴゴ……』という地鳴りが突き上げてきた。さらにリーベンの周りには最初の変身でみせた時のように黒い人魂が幾つも出来上がって、メラメラと燃え始める。何だか怒りだとか怨念だとかが渦巻いているような描写だ。
〔キモっ……ていうかヤバっ!〕
ゾクっとした。見ているだけで寒気がする。激しい嫌悪感を伴う得体の知れない恐怖感……真の恐怖とはこういうものなのかと思った。それは身体も感じたようで、まるで金縛りにあったように動けない。
〔ヤバい……これは本格的にヤバい!〕
全身タイツの見た目に騙されてはいけない。大事なのは戦闘前のパフォーマンスだ。それはバトル漫画では常識だ。気合を入れるだけで大地が震え、空気が張り詰め、嵐を呼ぶ。少なくともこの描写は相当な強者の証だ。
しばらくパワーをチャージしていたリーベンが最後に「はぁーっ!」と、光りながら叫んだ。ついでに衝撃波みたいなのも出た。それに合わせて大地の振動は止み、不穏な空気は消え去り、辺りは正常化した。
力を溜め終わったリーベンは急にケロっとした顔つきでチラリとこちらを見た。そして次の瞬間、一歩前に踏み出すような動作をみせた。
〔来るっ!? え?〕
残像を残してふっと奴の姿が消えた。それと同時に気配を感じた。
『な!?』と、身体がその存在に気付いた!
と、同時に奴の手刀が左首筋に飛んできた。咄嗟に出た左腕のガードが間に合わない! ズンッと重い痛みが首筋に走り『グポッ!』と、ゲップみたいに空気の塊を強制的に吐かされた。そして視界が真っ赤な稲妻に支配される。
〔ギ、ギ……!!〕
痛いなんてもんじゃない。首が千切れたかと思った。
〔く、首が折れた!〕
そう思ったのも束の間、間髪入れずに今度は腹部にズシン!!
腹部に生じた痛みが背中まで突き抜ける。あまりの衝撃に内蔵が沸騰してしまったように感じた。
『ぐはっ!』
下からの衝撃で上に吹き飛ばされた。それは強い加速力と浮遊感で分かる。が、首と腹部の痛みが競い合うように意識を食い散らかそうとしている。
『ガゴッ!!』
さらに、頭頂部に強烈な衝撃が加わる。痛みの出所は頭なのに股間から下にまで痛みが走り抜ける。上から叩きつけられたと分かったのはその後だった。
――これは何なんだ?
何が起こったのかさっぱり理解できなかった。痛みが発生する過程と身の回りに起こった出来事がまるでリンクしない。時の流れがスローに感じられたのは感覚だけで自分が何をされているのかを知覚することが出来なかった。
〔痛……地獄だ〕
いっそのこと意識が失われてしまった方がどんなに楽なことか…。
『クッ……グヌゥ』と、身体は必死で痛みに耐えようとする。
今のシーンが誌面上どういう風に描かれたのかを想像する。恐らくリーベンが圧倒的なスピードで接近、手刀でこの身体の首を刈り、前方に回りこんで腹に膝蹴り。で上空に吹っ飛ばしつつ、空中で先回りして上から脳天に肘か踵を振り下ろしたのだろう。
―― コマ数にしたらほんの数コマ。
恐らく『バキッ!』『ドスッ!』『ズガッ!』という擬音の連発で簡単に描写されたに違いない。傍から見ればよくあるバトルシーンだ。けど、それを喰らった当事者にしてみればまさに地獄…。
身体がフラフラになりながら立ち上がる。
『なるほど……スピード、パワーともに段違いにアップしたということか』
それを聞いてリーベンが勝利宣言する。
「その通り! 実力の差を思い知ったか? これで貴様は終わりだ!」
そう勝ち誇るリーベンが「ん!?」と、何かに気付いて足元を見る。いつの間にか発生した白い煙が奴の足元に絡み付いている。
「なんだ!? これは」と、リーベンが訝しがる。
霧は後から後から押し寄せてきて、あっという間にその領域を広げていった。やがてリーベンの姿も見えなくなる。
姿は見えないが奴の声が聞こえてくる。
「これは貴様の技だな? 何をするつもりかしらんが無駄、無駄、無駄ぁ!!」
その叫びと同時に『ドドドド!』と、音がして霧の中から何かが飛び出してきた! それが容赦なく体じゅうに突き刺さる。
『グァァ!』
チラリと見たがこれは奴が最初に使っていた鞭のようだ。それが枝分かれして同時に攻撃してきたのだ。
身体が倒れそうになりながら左に移動する。が、鞭はさらに追尾してくる。
『メマジカ!』で水の盾を作りながら痛む足を引き摺り、必死に回避を試みるが何発かは喰らってしまう。ここまで痛みが慢性化してくると、ちょっと位『おかわり』したところで大差はない。だが、限界に近付いている。
そこでいったん鞭の攻撃が止んだ。
〔やっと凌いだ……〕
濃い霧によって視界は完全に遮られている。相手の様子が見れないので不気味だ。
〔ちょっ……この霧は逆効果じゃね?〕
リーベンはこの霧がこちらの作戦だと思っているようだ。けど、こんなに視界が悪いと余計に攻撃を避けられないのでは?
霧に隠れたリーベンが言い放った。
「最後のあがきか? だが、これで終わりだ!」
マズい! 奴はフィニッシュにもっていくつもりのようだ。が、どういう攻撃なのか皆目検討がつかない。そんな中で『ギョィィ……ン』という電気ノコギリのような音が聞こえてきた。それがどんどん高音になってやがて聞こえなくなる。
〔超嫌な予感……〕
まるでお化け屋敷の真ん中で立ちすくみながら全方位を警戒しているような状況だ。必ず来るのは分かっているのに、それがどこから出てくるのか分からない。すると次の瞬間『ムッ!』と身体が右に身体を傾けた。その反応で初めて何かが突っ込んできたのに気付く。身体の左方向からモロに風圧を受ける。
〔よ、避けた!?〕
でもギリギリだった。ほんの一瞬だがバランスボールみたいな球が飛んできたように見えた。それが地面を『ジャリッ!』と抉って跳ねる。と同時に霧の中に消えていく。
〔ボール!?〕
身体は音をたてぬように静かに横に移動する。が、再び『クッ!』と無理な姿勢をとる。そこにボールが飛んできて身体を掠めるように去っていく。
ホッとする間もなく第3波、第4波と同じような攻撃が数秒おきに続く。
〔危ねぇ! てか、こんなのいつまで避けられるか……〕
例えるなら目隠しされた状態でドッジボールの的にされているようなものだ。四方八方からランダムに投じられる球を紙一重で交わさなくてはならない。そう考えると身体の回避はまさに神業だった。
突然、回避行動に専念していた身体がすっと剣を構えた。そして何も無い空間に向かって『せいっ!』と、剣を横に振った。剣先は霧に隠れて見えない。が、剣先に『ガッ!』と、手応えがあった!
『フンッ!』と、身体が剣を持つ手に力を送り込む。
重い。剣先が霧の中で何かに引っ掛かっている。そのせいで剣を振り切ることが出来ない。が、やがてその部分だけゆっくりと霧が晴れていき、剣先に触れるものが先ほどのボールであることが分かった。
銀色のボールは宙に浮いた状態で尚も回転を続けようと抵抗する。
〔凄え! カウンターで当てやがった!〕
何も見えない状況で身体は剣をふるって敵の動きを封じたのだ。
『ムムム……』
身体はさらに剣先をボールに押し込もうとするが『ガキン』と弾かれてしまった。その拍子にボールがぽとりと地面に落ち、すぐさま変形を始めた。ちょうど体を丸めていたアルマジロが防御体勢を解くような感じでボールが変形してリーベンの姿が現れた。
〔ちょっ、今のボールって本人かよ~!!〕
さすが漫画、というよりも漫画ならではのトンでもない攻撃だ。
変形を解除したリーベンが仁王立ちする。
「なぜこのスピードについてこれる? ま、まさか!?」
奴は何かに気付いたようだ。
〔どういうことだ?〕
不思議に思っているとリーベンがいまいましそうに言う。
「そうか……貴様は水使いだったな。霧を使ったのはそういう理由か。霧は水。つまり水の動きを読んでいたのだな?」
リーベンの問いに身体は否定も肯定もしない。その代わりに左手に溜めていた力をキープしたままリーベンに向かってダッシュする! リーベンは一寸、下がるような素振りを見せるが「なに!?」と、動きを止める。よく見ると奴の足元に水がまとわり着いている。
「あ、足が動かん! 貴様!」
奴のリアクションを見て気付いた。
〔これは水の粘着性!〕
動きを封じられたリーベンは意を決したのかノーガードだ。こちらの突進を正面から受けるつもりらしい。
『ウォォォッ!』
身体はリーベンに殴りかかるように左手に溜めていた力を目一杯リーベンの胸にぶつけた。ゴッという重い音が生じる。が、ダメージが通った形跡は認められない。
「無駄、無駄、無駄ァ!」と、リーベンが叫ぶ。と同時に奴の体じゅうから一斉にトゲが飛び出してきてこちらの体を貫いた。
『グアアッ!』と、身体が吹っ飛ばされる。
パンチ攻撃を一発、見舞った代償にハリネズミみたいなカウンターを喰らってしまった。これじゃ割に合わない。
リーベンは全身トゲトゲのまま笑う。
「ククッ! 何をするかと思いきや! そんな攻撃など、このヨロイの前では無意味」
だが身体は諦めない。直ぐに立ち上がるとまた同じように真正面から突っ込んでいく。
『ウォォォッ!』
身体は水の剣で突きを繰り出した。そして先ほどと同じ箇所に剣先をぶつける。
リーベンはやはり避けようともせず自信満々に胸で剣先を受け止める。『ガッ!』という音がした。そこで両者の動きが止まる。
『ウォォォッ!』
身体は尚も剣先を押す、押す、目一杯に押す!
「ククク、何度言えば分かる……グ!?」
突然、リーベンの表情が変わった。そして目を見開く。
「ば、ばか……な?」
そしてリーベンは剣先を手で払うと信じられないといった顔つきで自らの胸を見た。
〔え!? なんだ?〕
リーベンの胸のあたりに赤いものが見えた。そしてそれがジワっと広がっていく。
苦しそうなリーベンの口元から血が流れる。
「そ、そんなはずが……グフゥ!」
リーベンが吐血した!
〔効いてる!?〕
身体が何も言わないので訳が分からなかったが効果はあったらしい。
リーベンのトゲがシュッと引っ込む。するとヨロイの胸部分に傷があるのが分かった。奴はその傷から広がる血を凝視しながら「ん!?」と、何かに気付いた。
それを見て身体が口を開く。
『ようやく気付いたようだな』
リーベンは傷に触れながら驚愕する。
「こ、この冷たさは……?」
身体が静かに答える。
『絶対零度』
「な、なんだと?」
『絶対零度の前ではどんな物質も同等。硬度など意味を成さない』
どういうことだ? 絶対零度という単語は聞いたことがある。それが物質の硬度とどう関係するんだ?
ここからは身体の解説。
『すべての物質は原子によって構成されている。そして個々の原子はエネルギーを持ち、それが分子となり結合して形を成していく。物質の硬度とはその結合の力だ。その源であるエネルギーを奪われてしまうと結合は脆くなる。なのでたった一点。そこに冷気を集中した』
なんだか分かったような分からないような説明だ。そういえばバナナで釘を打ったり、薔薇を握りつぶしたりというCMを見たことがある。液体窒素を敵にぶっかけて打撃一発で粉々にするという映画もあった。なるほど、それと同じように身体は絶対零度に近い状態をリーベンのヨロイに作り出したということのようだ。
「もしや……先ほどの一撃がそれだったというのか!」
『それだけではない。この水の剣。これも冷気を帯びている。そしてこの霧』
「な、霧だと?」
『この霧は目隠しをする為でも粘着力で動きを封じる為でもない。本当の目的はお前のヨロイから熱エネルギーを奪うことだった』
「なに!?」と、リーベンが目を剥く。
なんと! そういう意図があったなら最初から言って欲しかった。
〔凄え! 一石三鳥じゃねえか!〕
そういえばやたらと寒い。戦っている時には気付かなかったが相当、気温が下がっている。
身体はすっと剣を下ろして言う。
『これで終わりだ』
だが、リーベンは顔を歪めながら食い下がる。
「まだだ! この程度の傷をつけたぐらいで勝った気になるなっ!」
『本当にそう思うか?』
身体の冷静な返しにリーベンの顔色が変わる。
「どういう意味だ?」
『同じ説明を二度する趣味は無いが教えてやる。この剣は冷気を帯びている。絶対零度を作り出す為にな』
「それがどうした? そんな、も、の……グアッ!」
『それを直接、生身の体に受けて只で済むはずがない』
「か、はっ……」
リーベンは胸のあたりを押さえながら地面に跪いた。恐ろしい形相でこちらを見上げるがその顔は蒼白で苦悶の表情を浮かべている。
それを見下ろしながら身体は冷徹に告げる。
『超低温によって血流は完全に止まり、筋組織の壊死が確実に広がっていく。外側のヨロイは強固でも生身までは守れなかったようだな』
「何のこれしき……ヴ、ウグッ!」と、リーベンの口元から只ならぬ吐血が飛び散った。
『無駄だ。お前は既に死んでいる』
身体はそんな捨て台詞を吐きながらクルリと背を向けた。それと同時に後ろでバタリと奴が倒れる音がした。
〔ちょっ! 止めを刺しといた方が良いんじゃ……〕
リーベンの最後を見届けたかったが、それを見る前に身体は背を向けてしまった。演出的にはこの方がクールなんだろう。だが、確認しておかないと本当に倒したのか心配になってしまう。しかし、身体はもうリーベンには興味が無いようだ。
『さて、こっちは片付いたが……』
身体が入口方面を見たところでふっと体の力が抜けた。
「あれ? 戻った?」
あっさりとコントロールが戻ってきたところをみると、やはり決着はついたのだろう。ということは誌面上では次の場面に移行したに違いない。
(ひえぇ……何とか倒したけどヤバかったよなぁ。ん!?)
そこで痛みがぶり返してきた。
「痛でで……」
あまりの痛みに思わず座り込んでしまった。ただ、我慢できない程ではない。戦っている最中はもっと酷くやられたはずなのだが、いつの間にか傷は随分と減っているし痛みもピークは過ぎている。どんなに傷ついても戦いが終わった後にはいつの間にか回復しているなんてことは良くある話だ。その辺りは漫画の良いところだ。
「あ、そうだ。あの野郎の死体を確認しておくか!」
体が動くなら先にそれをやっておこうと思った。数メートル先でうつ伏せに倒れているリーベンを見てゴクリと唾を飲む。
(けど……死体、なんだよな?)
改めて死体をじっくり観察するのも気が引ける。漫画なんだからグロくはないと自分に言い聞かせるがやっぱり…。
そうこうしている内にリーベンの死体が動いたように見えた!
「ひゃっ!」
思わず乙女チックな悲鳴をあげてしまった。
「ま、ま、まさか……」
死んでないとなると大変だ。止めを刺さないとならない。が、良く見ると動いているのはリーベンそのものではなくてヨロイの方だった。そこでリーベンとの会話を思い出す。
(あのヨロイ……金属がまとわりついているんだったよな? それも生きてる金属だとか)
ここからだとヨロイが溶けているように見える。まるでオーブンの中でチーズがトーストから溢れているみたいだ。デローンと垂れ下がった金属は地面に溜まっていく。やがてそれはアメーバのような塊になり、ついにはウネウネと動き出した。
(ちょい待ち! 確かあの金属は人間の生体エネルギーを……ヤバい!)
「こっち来んなーっ!」
全速力で逃げた。あんなのに捕まったらどうなることやら!
「ミーユ!」
ついミーユに助けを求めてしまった。この際、格好悪いとか言ってられない。
「どうしたミョ~」
頭上の方から呑気なミーユの声。ミーユは水ドラゴンに乗ってこっちに向かってくる。
「早く脱出すんぞ!」
水ドラゴンが近付いてきたのを待ちきれずに大ジャンプしてしまった。そしてジャンプの頂点で水ドラゴンに拾ってもらう。
「どうしたミョ? 戦いは終わったミョ?」
ミーユはきょとんとしているがこっちは息が切れそうだ。
「はぁ、はぁ……お前、どこに居たんだよ?」
「ミョ~ 危ないから避難してたミュ」
「てめえ、人が命がけで戦っている間に!」
「ミョミョ~」と、ミーユがおっぱいを隠す。
「な、なんでそこを隠す!?」
別に罰としておっぱいを揉むなんて一言も言っていないのに…。
「でもダンはさすがだミョ。四天王をひとりでやっつけちゃったミョ」
「そ、そうか? いやあ、まあ実力だな」
おだてられてるとは思ったが、美人になったミーユにそう言われると何だか妙に良い気分になってしまう。
「ところでディノ達はどこ行ったミョ?」
「そうだ。忘れてた。なんかもう一人四天王が居てさ。皆そいつを追いかけていった」
「じゃあみんなを追いかけるミョ?」
「そうだな。ここはもういいだろ……」
上空から先ほどまで戦っていたフィールドを見下ろす。水浸しになった神殿の最上層は、所々に穴が空いていたり割れ目が出来たりしている。その片隅にうつ伏せになってお尻丸出しのリーベンの亡骸がぽつんと放置されている。そこからちょっと離れたところに虹色のスライムが一体、何かを探し回っているようにモゾモゾ動いていた。
「危ねえ……あいつ、やっぱり自力で動けるんだ」
「ん? どうかしたミョ?」
「いいや。何でもない。さっさと行こうぜ」
取りあえずリーベンは倒した。だが、因縁の対決とはいえ長い戦いだった。恐らく、この後に出てくる敵はリーベン以上に手強い相手となるだろう。
(ホント、楽には勝たしてもらえないよな……)
地底湖をあとにしながら次なる戦いに思いを馳せた。
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