DAY1-1 


 こちらはWSA、世界安全保障軍です。WSAでは現在、全世界にて展開しております。世界は、すべてWSAの管理下に置かせてもらいます。すべてはあの侵略者を撃退するため。皆様にはご不便をかけることもあるかと思いますが、何分、ご容赦ください。皆様協力して、忌々しき敵を滅ぼし、この地球を守り切りましょう! またWSAでは隊員を全世界より随時募集しています! 来たれ、地球を守りし戦士たち! 以上WSA、世界安全保障軍でした。


○○○


 世界は変わった。

 20年前、二〇七九年。3つの大きな事件があった。

 一つ目は太陽発電の完成である。生活のため、産業のため、安定大量のエネルギーを供給することは人類の大きな課題であった。そしてその解として太陽発電が提案されたのである。太陽光でも太陽熱発電でもない。地球で間接的に太陽の恩恵を受けるのではなく、太陽という恒星で、その太陽で常日頃より行われている膨大なエネルギーを有する核反応を、まさに直接に利用して発電するのである。

 太陽での発電そのものに関しては問題はなかった。発電機の設計はできていた。しかし問題はいかに太陽で発電したエネルギーを地球に運ぶかにあった。さすがに太陽から地球まで電線を引くわけにもいかない。

 そこで注目されたのがテスラコイルである。無線による電送。太陽発電のプロジェクトチームは主として、この開発に追われたのであった。そして二〇七九年、テスラコイルが完成し、無事電送ができるようになり、太陽発電が現実のものとなったのだ。

 二つ目はワープ装置の開発である。太陽発電の完成により高出力エネルギーの安定供給が可能となった。これを背景にエネルギーを一点に集中して大量放出させる実験が行われ、空間を歪めることに成功したのである。これにより瞬間的な空間移動、ワープが可能となったのである。

 ここまではエネルギー革命、交通革命と喜ばしい世紀の大発明であった。しかし何の気まぐれか、歴史はハッピーエンドをお望みではなかったようである。

 三つ目、最後の出来事は、“J.D.”の出現であった。

 


敵は宇宙から来た。

二〇七九年以前より、宇宙人の存在の可能性は、たびたび示唆されていたがそれは結局オカルト止まりであった。しかし彼らは実際に存在していたのである。二〇七九年、あの時、彼は明白に出現した。彼らは我々で言う人型戦闘ロボットに乗って襲って来た。地球に攻撃を仕掛けてきたのである。そして数日のうちに地球の大半は焦土と化し、世界は崩壊したのである。

宇宙からの敵、“J.D.”を受け、世界は結託した。国連を基にW.S.A.《世界安全保障軍》が組織され、J.D.から地球を守るため地球全土に展開された。また、襲撃してきたJ.D.の人型戦闘ロボットの鹵獲に成功。これを元に地球でも対J.D.用の人型戦闘ロボットburdenを製作したのである。これらにより一方的に蹂躙されていた戦況は一転し、現在、地球とJ.D.とは均衡状態を保っているのである。


 

 二〇九九年。私、猪狩怜美は、W.S.A.の本部に立つ。選ばれたのだ。彼らと直接戦う精鋭に。



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