第4話不思議な占い
「光記」は、警察に行き、これまでの経緯を説明し相談した。
思いのほか早く解決した。
彼は、大型ショッピングモールで警備員のバイトに着いた。
駐車場での車の案内が主な仕事だった。
しばらくは何もなく時が過ぎて行った。
ある日「光記」は、品のある高齢の婦人に声を掛けられた。
車を止めた場所を忘れたらしい。
厄介な事にナンバーも車種も解らない。
白い軽自動車で助手席に黒いコートを置いてあるとの事。
そう簡単には見つからない。
ココの駐車場は、かなりの面積がある。
30分ほど掛かって、それらしい車を見つけた。
婦人は礼を言うと彼の手を取り、じっと見つめた。
そしてメモを出すと「漢字で名前を書いて」と言った。
「門坂光記」と書き、メモを渡した。
婦人は、メモを見ながら指を動かし、ブツブツ言っていた。
字画を数えている様だ(姓名判断・・・?)。
しばらくすると、にっこり笑って喋り出した。
「あなた素晴らしいわ、思い道理になるわ、自分を信じなさい」
そう言って、婦人は帰って行った。
美容整形を希望する人は、思いの外、大勢いる。
「朱莉」の務めるクリニックは、いつも大盛況。
最近、若い患者さんが目立つ。
整っているのに必要ないのに、メスを入れたがる。
心の病なのではないか・・・「朱莉」は思った。
「朱莉」は、心の病を持つ女性たちを助けたいと思った。
美容整形のクリニックを辞めた。
女性専門のメンタルクリニックを開いた。
患者さんたちは自分の病気を否定した。
心の病だとほとんどの患者さんが認めなかった。
何度も何度も説明して、解ってもらうしかない。
心に刺さった複数の棘をゆっくり丁寧に抜いていく。
ある日、かわいらしい女の子が高齢の女性とやって来た。
お祖母ちゃんと、孫娘だと思われた。
が、高齢の女性は、母親だと言った。
出産で命を落とした娘に代わり、母親として育てているらしい。
女の子は、登校拒否でひきこもりだった。
母親(祖母)とは、何年も口を聴いていなかった。
母親(祖母)は、何も話してくれないと嘆いていた。
大体察しはつく。
問題があるのは、母親(祖母)の方だ。
女の子は、母親(祖母)を傷付けたくないので話さない。
女の子は、母親(祖母)の事で、イジメに合っていた。
問題はすぐに解決した。
祖母は祖母に戻った。
女の子は、泣きながら笑った。
祖母は、絶対、母親が必要だと思い込んでいた。
女の子は、祖母は祖母のままで、いて欲しかった。
2人の心の病は消えた。
帰り際、女の子が「朱莉」」の生年月日と名前を聞いた。
メモに書いて渡すと、女の子はメモを祖母に渡した。
後日、お礼の文章と共に占いの結果を書いた手紙が届いたた。
あまりに良い事ばかりが書いてあった。
馬鹿馬鹿しいと思いながらも、悪い気はしない。
彼女は、手紙をバックにしまった。
(先日は、大変お世話になりました。
孫も私も救われました。
本当にありがとうございました。
私、仕事で占い師をしております。
お礼と言ってはなんですが、先生の事を少し占いました。
あまりにも、良い結果でしたので、お知らせいたします。
先生は、近い将来、最良の伴侶となる方と再会されます。
その方は、とても優しく、先生の手助けになられます。
先生が考えている事が、全て良い結果を生みます。
人の為に頑張る先生には、沢山の見方がいます。
何があっても大丈夫です。
どんどん前に進んで下さい。
日本の為、地球の為に、頑張って下さい。)
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