第9話本当の幸せ

「朱莉」は、社会の為に頑張っていた。

「朱莉」は、日本の為に頑張っていた。

「朱莉」には、家族が見えなかった。

「朱莉」は、家族は、応援してくれているはず、大丈夫と思い込んでいた。

「朱莉」は、家族に、甘え過ぎた。


「光記」は、「朱莉」の仕事の補佐で忙しかった。

二人の娘たちは、お手伝いさんと教育係さんに、任せきりになっていた。

「有華」と「百華」は、月に一度両親に会えれば、いい方だった。

「有華」と「百華」は、両親に会えても嬉しくはなかった。

会えても、会社関係のパーティの席だった。

「有華」と「百華」は、着飾って大人しくニコニコしなければならなかった。

両親との会話は、あまりできなかった。

「光記」と「朱莉」は、「ごめんね」と言っていた。

でも、状況が変わることは、無かった。


「有華」と「百華」が、小学生になる頃「朱莉」は倒れた。

疲労が蓄積して気を失った。

そのまま病院で一週間眠り続けた。

「光記」は、ずっと「朱莉」に寄り添っていた。

二人がいなくても会社は大丈夫だった。

「朱莉」は、自分がいなければ会社がダメになると、思い込んでいた。

「朱莉」が選んだ従業員たちは、みんな「朱莉」を尊敬していた。


「朱莉」は「光記」に言った。

「会社の事は、社員に任せて少し休みましょ」

「光記」は「そうだね」と微笑んだ。


仕事に余裕ができて、半年だ過ぎた頃、「朱莉」は、妊娠した。

「有華」と「百華」は、兄弟ができることを喜んだ。

「朱莉」は、「マタニティスクール」に通った。

懐かしく、くすぐったく、嬉しい気持ちになった。


「朱莉」と「光記」に、男の子が生まれた。

「匠真」と名付けた。

「朱莉」は、会社に「ベビーコーナー」と「キッズコーナー」を作った。

女性社員の多い部署の全てに設置した。

「朱莉」は「匠真」を連れて出社した。


「有華」と「百華」は、中学を卒業した。

「朱莉」と同じ様に、高校・大学をカナダで過ごす事になった。

その頃「朱莉」は、カナダにシェアハウスを建てた。

留学生の為の大型シェアハウス。

隣りに学生の為の格安ショップモールまで建ててしまった。

「光記」は「朱莉」の親バカぶりを笑って許していた。


「朱莉」の会社は、次々新しい事業を拡げた。

犬の為の「ドックパーク」。

ショプ・ドックラン・ウォークパーク・トリミング・クリニック・ホテル・

里親探し・しつけスクール・老犬ホーム・斎場・墓地・仏閣・・・。

必要と思われるものすべて揃えた。

猫の為の「キャットパーク」。

大体、犬同様。


「朱莉」の会社では、社員の発案も、次々と形にした。

乳幼児の為だけの遊園地「キッズパーク」。

ミニ動物園・ミニ水族館・ミニ遊園地・ショッピング街・レストラン街・

お昼寝ハウス・託児所・お野菜収穫体験・各クリニック・室内運動場・・・。

女子の為だけの「ガールズパーク」。

ショッピング街・レストラン街・カラオケハウス・ネットカフェ・各エステ・

スポーツジム・カルチャー教室・各クリニック・ファンシーハウス・・・。

男子の為だけの「ボーイズパーク」。

ショッピング街・レストラン街・カラオケハウス・ネットカフェ・格闘技館・

スポーツジム・カルチャー教室・各クリニック・アドベンチャー島・・・。

デートの為の「ロマンスパーク」。

ショッピング街・レストラン街・カラオケハウス・遊園地・映画館・遊歩道・

屋内プール・美術館・植物園・各種博物館・・・。


「朱莉」の会社の事業は、全てが大成功だった。

「朱莉」の会社では、社員全てが満足していた。

「朱莉」は、怖いくらいに、順風満帆だった。












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