noise
銀礫
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私は
あの人からの命令で、この世を乱す異端者達を、その存在が知られる前に、ただ速やかに消し去るのみ。
世界は平和に包まれている。
それは、私が、平和を崩しかねない者を、非常に無情に殺すから。
私に命令するあの人は、民衆の前では笑顔を振り撒く。
だけど、私は知っている。
あの人の笑顔は作り物。
体よく
そして、一方的な思想を押し付け、作られた平和を実現させる。
まるで、一昔前の宗教のようだ。
でも、そんなことはどうでもいい。私はあの人に従うだけ。それ以外の何も、知らないのだから。
しかし確かに存在するのは、この刃の錆にもなれなかった者達。
それは、私が葬った数多くの異端者。
しかし、彼らには相手に対する意思があった。
反論や主張、あるいは単なる殺意であれど。
私には、抹消相手に意見などない。
ただ命令に従い、有無を言わせず消し去るのみだ。
「やった……殺ってやったぞ………領主様に、とうとう制裁を下してやったぞおお!!」
いつも通りの定例集会。全国に中継されるその会場で、あの人は一発の凶弾に倒れた。
私は、何もできなかった。
『守れ』なんて、命令されていなかったから。
「どうだ、死ぬって感覚は!今までお前も散々殺しまくってきたんだろう?」
静まり返った集会場で、ただ一人、拳銃を持つ男だけ狂い騒いでいた。
おかしい。
実行したのは、私。
殺しまくってきたのは、私。
なら、私が殺されるべきではないのか?
なぜあの人が殺されなければならなかったのか?
私は、男に問う。
「この男の命令だからだ」
ならばお前にも命令したやつがいるのか?
「俺は単独犯だが、強いて言うなら、この世界の全ての人間だろうな!」
ざわめき出す会場。そんな群衆に、男は問いかける。
「だって、お前らもそうだろう?こいつの、独裁じみた圧政は、皆嫌だっただろう?」
群衆は、困惑していた。
それもそうだろう。そんな思想を持つものは、際限なく排除してきたのだから。
しかし、彼女は、静まり返る会場から、何かを察することはできなかった。
それもそうだろう。彼女はただ、指定された人を殺していっただけなのだから。
あの人に仇なす異端者を、殺していっただけなのだから。
そうして、彼女は判断する。
「ならば、人類すべてが、異端者だ」
肩に担いでいた刃を振りかざし、群衆に向け走り出す。
それは、
そして、そこから湧き出てくるのは、相手に対する復讐心。
彼女は、
noise 銀礫 @ginleki
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