第二章:賢者と羅針盤王子

第15話「転校生」

 中庭で二人の少女が刀を交えている、一人は茶色の髪に赤茶色の瞳のクリッとした目に両刃の刀を持ちもう片方はアクアブルー蒼きドナウ色の髪に碧眼のツリ目の美少女が蒼い刀を持っている


「やはり、貴女はそういう女だな!そう上手く行くとでも思ったか?」


「あら、貴女ナナの方こそエウロパ連邦欧州連合千年ミレニアム理想郷アルカディアの為に死んでくださる?」


 互いに口撃くち攻撃かたなで火花を散らし、せっかくの春の陽気に誘われて咲いた中庭の花々が命を散らして行く。此の理由を説明するには朝の事から説明をしよう。


 ***


  少女ななは何時もの時間に上履きに履き替える為に自分のロッカーに向かっていると左足の靴紐が緩んでいるのを見つけその場で座り締め直しているとバンと音がし爆発音が起こり火災報知機が成り少女ななの上に有ったスプリンクラーが水を撒き始めた。少女ななの服を濡らすことは無く寧ろ足元の水がジュワっと蒸発し始めた。


 ロッカーに歩を進める其処には無残にも焼け焦げた自分と同級生達の上履きを発見し周りを見て居るとスプリンクラーから出た水が一箇所に集まり始めやがてドラゴンの様な顔に成り少女ななに襲い掛かった。少女ななは両刃の刀を展開しどらごんを真っ二つにし更に刀を振ると辺り一面の水が無くなった。少女ななは刀を持ち周りを警戒しながら


「何だったんだ?今のは?」


 独り言を呟くが、消し炭に成った上靴以外誰も居ない昇降口の中に声が広がっただけだった。火災報知機が成る二分前、此処は校長室の中で白髪交じりの老人と一人の少女と話をしている


「貴女の様な美しく素晴らしい方が本校に転入していただけるとは、生徒達もますます励みに成るでしょう」


「イエイエ、私自身も素晴らしい環境の中で優れた人間に出会える事を何より楽しみにして居ります」


 ドンっと鈍い音がし火災報知機が成ると老人は少女に此処に居る様に言うと外に出て行き少女は目を瞑りながら


「ふふ、貴女が噂の奈々さんね!では、此れはどうかしら…一刀両断とは流石ですね」


 何かの光景を見ている様に髪の色と同じ1m程の長くて蒼い刀を撫でながら呟いた。


 ***


  さて、此処は2年生の教室の中では男子生徒達が集まり話をしている


「転校生が来るんだって」


「マジー」


「マジマジ、男?女?」


「女らしいよ、しかもスゲー美人らしいって噂」


 ガラッと扉が開き教師が入りながら席に座る様に注意をすると全員が席へ座りコホント咳をし息を整える


「今日は、皆さんに転入生を紹介します、ブラウさんお入りに成って下さい」


 スっと扉が開き其処に現れたのはアクアブルー蒼きドナウ色の髪に碧眼のツリ目の美少女が現れた。短いスカートから見える白雪の様な脚に男が喜びそうな巨大な双丘が制服からはちきれんばかりに見え男共は興奮し、女子生徒は羨ましがっている。

少女はそんな周囲の視線に臆する事無く教卓に立つと自己紹介を始めた


「私は、エウロパ連邦欧州連合第三王女のブラウ・フォン・エウロパと申します、ランクは[SS]です宜しくお願い致します」


 付け足す様に教師は


「ブラウさんは、エウロパ連邦欧州連合第三王女ですが日本ここでは会長世界一位副会長世界三位位と同じ様に一般人として接して上げて下さい」


 キラッと眼鏡を抑えながら注意をしている。つまり、どいういうことか?会長世界一位副会長世界三位と同じ様にというのはこの校での暗黙のルールで[一般的な高校生活以外の事は干渉するなよ!後、SPも常に見てるからな気を付けろよ死にたくないだろ?]という事で有る。


「其れでは、ブラウさんは匡央君の横の空いている席に座って貰おうかしら?」


 其れでは此処で、前日までの席の配置を230年前に流行った家をリフォームする番組的に説明しよう


 昨日ビフォア


 [生徒][会長マサヒロ][奈々][空き]


 今日アフター


 [空き] [会長マサヒロ][奈々][生徒]


 何という事でしょう!今までは左側に男が居ましたが何者かの手により会長まさひろの席は転校生ブラウ副会長ななに寄って挟まれ、会長かれの両手に花という状態に成り依頼主校長も満足そうな顔です。彼女ブラウ会長かれの隣の椅子に座ると教師は


「ブラウさんには、此れからオリエーテーションをして戴き校内をよく理解して貰いたいと思っています。同じ女性として副会長ななさんお願いしますね」


 ジト目で彼女ブラウを見ていた少女ななは教師に快諾をし彼女ブラウを連れて教室から出て行ったが、互いに恐ろしいまでの目が笑っていない笑顔で有った。


 ***


 そして、最初の刃を交える直前に戻る。少女なな彼女ブラウを連れ校内の様々な所を紹介し最後に中庭を紹介し、質問が無いかと聞くと背後に殺気を感じ身を交わすと蒼い刀を持った彼女ブラウが立っていた。


「何をするよの!?」


「イヤー、貴女の実力が測りたくてヤって見たんですよ。素晴らしい!今日の回避能力も素晴らしいし、一太刀も素晴らしい物でした…」


「やっぱり、貴女が犯人だったのね!雰囲気が合っている気がしたのよ!」


「取り敢えず、貴女を倒せば殺せば会長かれは私に興味を持ってくれるわよね!という訳で死ぬが良いのです!」


 蒼い刀が光らせ少女ななに斬りかかると両刃の刀を展開し斬り合いを始めた。


 カキン、カキンと刃がぶつかり合う音がし時に巨大な炎の渦と巨大な水の渦が生まれ互いにぶつかり打ち消し合い合い殴る蹴るといった暴力的な事も勿論しており制服はボロボロ髪の毛もボサボサに成って居る。

因みに、此れの余波は校舎の窓ガラスが割れたり屋根が燃えたりしており教師人が3人ほど何事かと見に来て二人の争いを止めようとしたが水と炎の渦が衝突した際の爆発に巻き込まれ何処かに飛んでいってしまった。其れを見ていた生徒達はただ、殺気と威力にカタカタと震えながら


「フツーの授業させてーな」


「おかちゃーん、死になたくなーい」


「丹精込めて育てた、中庭が焼き畑に…ウチも焼かれて大地に返るんだ…」


 部屋の隅に居り、元凶の二人は中庭で凶暴な笑みを浮かびながら


「次で決めるわ」


「私も決めるわ」


 刀を其々のスタイルで構え斬りかかったその瞬間、チュドーンバキバキと大地を震わせる様な音がし校舎の窓ガラスがピキピキと音を立て日々が入り中庭付近には大きな土煙が発生した。


 生徒達が恐る恐る窓際に行くと其処には大きなクレータで出来、中では二人の少女が倒れ会長かれと煙の中に3人の人物が立っていた。会長かれは二人の少女達を両肩に其々載せると何処かに歩いて行き、煙が晴れると会長かれ副会長かのじょ以外のファイブスターの濃いメンツが戦隊物らしきポーズを取っており、窓際に立っていた誰かが拍手を始めると校舎全体から拍手が生まれた。


三人の会話は


「中々、危なかったわね!でも二人が上を見てなかったお陰で会心の一撃を撃てたわ」


「その一撃の合間に二人の刀の間を縫いながら鳩尾に一撃を入れるのは流石に三倍速でも辛かった、紅き彗星状態モードレッドで良かった…」


「会長は其の儘、結果を見たかったみたいだな…どちらが生き残るかを…そんな奴は、何時か殺す…」


 こんな感じで有った。


 やがて、彼女ブラウ少女ななは事ある事に良きライバルとしてぶつかり[蒼き嵐ブルーテンペスト]と[紅き嵐レッドテンペスト]と呼ばれる様に成るのは後に成ってからである。

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