第14話「幕間:弟・妹達&図書委員のお仕事」

 

「父さん、奈々姉さんは!?」


姉と同じ高校への合格のメールを見せながら少年おとうとは空に成った部屋に居る父に問う


五十六いそろくか!奈々なら、売ったよ」


「売った!?どういう事だよ!」


父親の胸ぐらを掴みながら少年は問うた


「破産寸前の我社を建て直す為にね、良い商売ができたよ!!」


「ねぇさんは、世界三位なんだぞ!こんな事してなくても姉さんは生きてけるじゃないか!何の権利が有って姉さんを売ったんだよ!父さん!」


「我社と合併する焼連合企業ツケヤキコングロマリットの御曹司、現世界一位が奈々を求めたのだ。我社は多数の社員が居る!彼等と彼等の家族の人生を守るために!生きる為に仕方が無かったのだ、奈々も重々承知しているよ」


 父は電子書紙データシートを見せて来た、其処には焼連合企業ツケヤキコングロマリットのとの契約が書かれており姉を御曹司せかいいちいと同棲させる代わりに大規模な支援の約束の文章が有り。最後に、姉が死んだり壊れて戻って来たとしても御曹司せかいいちい責任を問われない治外法権というのが書かれていた。


 そんな最悪な夢の中と同期リンクし少年は涙を流しながら朝を迎え何時もの様にベッドをメイクし二段ベッドの上から降りると時計型情報端末ウォッチを見て日々のニュースを確認する。


 ニュースの一面を見ると姉が載っており見出しは姉が非情な人間の様な人間で有るかの様に書かれている。優しかった姉さんが御曹司あいつのせいで変わってしまったと毒づくきながら少年おとうとは学校指定の体操着に着替えて一年生の男子寮から出ると一人近くの練習場の中で特訓を始めた。

  何時もは木刀だが今日からはメンタル・ギアを展開し両手に収まるのはククリナイフだ。そして、少年おとうとは模擬戦用のプログラムを作動させると多数の自動人形オートマタ少年おとうとに襲い掛かりククリナイフを抜くと間合いを詰めると一体目の自動人形オートマタの首が朝露が葉から落ちるように飛んだ。


 ***


 同時刻、少女いもうとも女子寮傍の演習上で細いレイピア片手に自動人形オートマタ相手に朝練をしている、一瞬の気の緩みが彼女の鳩尾に痛烈な一撃を入れ彼女いもうとへの朝の覚醒モーニングコールを誘う。


「お兄様の苦しみに比べたらこんな物、対した事有りませんわ!」


 吐き出しかけた胃の物を入れ直し唇を体操着で拭いながら言うと自動人形オートマタの懐へ飛び込んでいく、蹴られても殴られても少女いもうとは兄のかたきを取るためにその身を犠牲にして…

 そういった雑念が入ったのだろうか?華奢な躰に自動人形オートマタの棍棒がめり込み少女いもうとは胃の中の物を戻しリーバスしながらそらに投げ出され記憶も走馬灯の様に流れリーバスしたた。それは、昨年のメンタル・ギア夏の全国大会準決勝で少女の兄は対戦相手の会長かれとの試合中に自慢のメンタル・ギアレイピアを一撃の元で破壊され未だに病室で一人寂しく虚ろな瞳でベッドの上の天井を見ている。


  病室で泣いていた父と母と自分の姿を…そしてその日誓った復讐の気持ちを少女いもうとは思い頭の中で何かが弾けたのを感じ少女いもうとうつつに戻り投げ出されたそらで回転すると地面に着地した。

そして、手に持っていたレイピアを見ると銀色の細かった獲物ぶきが黒く太く成っていた。しかし、重さは変わらずたいした疑問を持たず少女いもうとは先程とは明らかに違う速度で自動人形オートマタに飛び掛ると真っ二つにした。


 ***


 黒い長い髪に瞳に眼鏡を掛け病的に白い肌に眼鏡を掛けたザ・図書員という感じの翠色のリボンを付けた少女は朝から図書館で仕事をしている。昨晩に、海外●●からコンテナで届いた大量の本を本棚に入れているが不思議な事にこの本は背表紙がない。

 2230年に成り書籍の電子化は進み殆んど全員がフォログラムで投影される文字を見る様に成っている。だが、電子データの悪い所は時代時代の世論や方向性によって改変されて行く傾向が強く成りその中で元の作者うみのおやがどういった思考で推敲したか分から無く成っていく書籍が多数有る。

 そんな中で、古今東西の原書オリジナルを国会図書館並に全てを揃えているのがこの東京メンタル・ギア・スーツ・スクール総合図書館である。で、少女が持っているのは持ち出し禁止の特別管理棟の本棚の本であり少女は其処に居る


「今日も良い品が入りましたわ」


 少女は背表紙●●●が無い本を頬ずりしながら最後の一冊を手元に置き、一息付くと指輪型端末リングを開きながらニュースを見て


「あら、あの四人予定通りくたばってくれましたか?ライ麦大麻畑を育てて利益を上げた所を世直し●●●させられました。此れで適切な市価●●に戻って需要と供給の関係が一致し買えない人間には買えなくなる。

 そして、彼等が自動機械オートマタに全てを任せて居たから気が付かれずに、操作しあの生き物達をおくことが出来た。後は、何より売る側の彼らも使って居たから不幸にも●●●●一般人には無害な毒入りクッキー●●●を食べただけでアナフィラキシーショックで死ぬことに成るのですよ。此れで、あのお方●●●●も地域の喜んで下さり受けた恩に報いられる」


 背表紙●●●が無い本をうっとりとした顔で開きながら呟くと本の中には袋に密封された白い粉が見える。少女の名前は奈楼小雪なろうこゆき、耽美で癖に成る恋愛小説ラブストーリーをネットの小説サイトに投稿する傍ら小遣い稼ぎに日々の仕事に疲れた人達に海外直輸入の夢の異世界ファンタジー転生トリップ出来る異世界系小説おくすりを売っている。彼女のコードネームは[蝶々てふてふ]、彼女が撒く鱗粉しろいこな超媒体創造者ハイパーメディアクリエータとして多くの人々を癒す。

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