第9話「ガールズ・アンド・ボーイ・ナイト」

 多数のライトが煌めく中で打撲の患部へ湿布を張る音と空気を抜く時のパチンと音がする


「イタッ!もう少し優しく貼れないのかな副会長ナナさん?」


「闘技場を破壊した人には是位、お仕置きが必要なのです!」


「ンーンッツ!ンン!」


 声の唸る声がするのは少年かれ少女かのじょの脚元に縛られ猿轡を噛まされ、額に[黒幕]と書かれた紙が貼られた白髪と碧眼の雪の女王の姿をした少女からだ。どうやら、雪子書記は悪役が正義の味方に捕まる如くお縄に掛かった様だ。


「三人を倒して雪の女王にひん剥かれて、下着一枚で鎖に縛られた君を救いだしたのだけどお礼の一つ位あっても良いと思うのだが?」


「ほぅ、何時の時代から魔王が正義気取りをする様に成ったのだ!あんな鎖、動揺してなければ直ぐにメンタル・ギアを展開して逃げてたわ!今回は、偶々色々な驚くべき事が多数有った為にメンタル・ギアを展開するのが遅れただけで有る!で、この惨状をどうするのかな会長あなたは?まだ、貴方と戦って居た3人は大穴の中に居る三人は見つかっていないのだぞ!」


「さぁ、後は専門家に任せるよ!取り敢えず、家に帰ろうか?奈々ちゃん、ヘリが来たみたいだよ」


「誰が、奈々ちゃんだ!」


少年かれが迎のヘリに手を振るのを見ながら少女かのじょは消えるような声で意を決して


「有難う、マサヒロ君…」


「何か言った?」


残念!彼女の感謝の声はヘリの音で聞こえなかった様だ


「何、何でも無い!!行くぞ!!今日は特別に風呂上がりに湿布を貼ってやろう!!感謝してくれてもよいぞ!!」


 少年かれ少女かのじょ雪子女史ゆきのじょおうを置いてヘリに乗ると護衛機と共に飛び上がっていった。そして、大穴の中の三人はどうしているだろう、彼等の様子を見てみよう。


***


「全く、会長と居ると楽しいわ、久しぶりに筋肉が昂ぶったわ…」


「筋肉が無い私は分からないが、同じく同意だ…」


「何時か、殺す…」


 賢者きんにく騎士かめん魔法使いボマーの三人組は大穴の一番底で地面に大の字に仰向けに傷だらけでボロボロに成り埋もれて身動きが取れなく成って居る。

 何故、こうなったか?会長かれと彼等が暫く戦い流石の三体一では彼等の方に分が有ったかの様に思われ暫くの間彼等も攻撃を与えられたが、会長かれが三人の上を取ると柄を取り鞘から抜くと彼等の前に巨大な炎が生まれ彼等は炎からの防御姿勢を取ったが、間髪入れず巨大な力の嵐が彼等を襲い気が付いたらこうなっていたのだ。


「会長の刀、抜いたの初めて見たけど見えた?私は見えなかっわ、でも筋肉マッスル以外の大きなパワーを感じたわ」


「私にも見えなかった、でも一つ言えるのはパワーというよりアレは殺気の塊かな?」


「違うな、杜明日菜もりあすな、殺気は殺気でも無邪気な殺気だ、子供が虫を殺す様な興味本位からの殺意の一撃だ…会長あのひとは我々が生き残るか興味を持ったのだよ、我々を殺しても罪に成らないからねあの人は!」


三人で先程の戦闘の反省会を行っていると光が下りて来ながら


「おーい!誰かー居るかー生きているか!!返事をしてくれー」


 彼等の探す声がし彼等はその光に向けて声を上げ、彼等の姿を確認した自動機械オートマタからの情報を元に救助隊員が送り込まれたが埋まった状態からの救助に時間が掛り、彼等が大穴から救助されたのは、次の日の日付に成ってからで有った。

尚、[黒幕]と額に張られた雪の女王の彼女書記は現場に来た同業者こうあんによって何処かに運ばれて行った、後日彼女は教育ちょうきょうされて真人間常識人に成って戻って来る。


 さて、三人の安否が確認出来た所で、自宅ペンタゴンに戻って来た少年かれ彼女かのじょの様子を見てみよう。


***


此処は自宅ペンタゴン少年かれの部屋、猫耳少女メタネコ少女かのじょ


「私が我があるじの為に貼るのが相応しいニャ!」


「イヤイヤ、私がヤルと此奴かれに事前に宣言していたのだかヤラせなさい!」


「その、羅紗バサミは何だニャ、まさか我があるじをヤルとは殺るという事か!!ハサミを渡すニャ!!」


 ベッドの上でハサミを取り合いながら喧嘩をしているが、少年かれは暫く其れを見た後に机のスイッチを押すと橙色の瞳と同じ色のメイド服を着た端正な顔の少女が空いた扉から入り礼をするとしょうねんと言葉を交わし鍛えられた躰の彼方此方あちこちに湿布を貼った。

そして、少年かれは何事かを言いながら、棚の中から先日ケーキ屋で買ったクッキーの大袋を渡すとメイド服の少女は深々と礼をしながら空いてた扉へ姿を消し扉が閉じられた。


其れを見ていた猫耳少女メタネコ少女かのじょは互いに


「貴女が邪魔したせいで、お礼が出来なかったでしょう!!」


「白状しただにゃ!!お礼参りおれいまいりするきだったとは、我があるじへ害を成すつもりだったにゃ!!」


また喧嘩をし始めたがパンパンと手を叩く少年かれの方を向き


「二人共、喧嘩をやめて、もう夜、遅いし、明日も学校だし、早めに寝ようね!!」


一匹はあるじの言葉に従い、一人は少年かれの言葉に明日も学校という言葉にハッとし、思考を一巡した後に


「いいわ!明日、お昼にお礼してやるわ、屋上に来なさい!!逃げたら許さないんだから!!」


 言葉を残して少年かれの部屋から少年かれに粉をかける様に良い匂いを残して出ていたが、飼い猫メタネコが急ぎ消臭剤を巻き始め彼は少女かのじょが残したベッドの温もりに誘わる様に夢の世界へ船を漕ぎ始めた。


***


 此方はメイド達の寝室


「ご主人様、ありがとうございます!」


「流石は碁客五和ごかくいつわちゃん、ナイス」


「お褒め頂き光栄です、有難う御座います」


「でも、ご主人様が私達に食べ物お土産でくれる何て珍しいね」


「イヤ、始めてですね、ご主人様がこんなお菓子くれるなんて」


「何時もは、新しい試作用汎用メンタル・ギア・スーツだもんね」


「という事は、我らあるじをあの泥棒女どうせいしゃは変えたのね、妬ましい、妬ましい」


其々、大きな袋に入ったクッキーを出しながらパジャマパーティをしている、一人の少女が疑問を上げる


「でも、不思議ですよね、あの人、企業の社長令嬢という割には低姿勢だし実直ですよねー?でも変に主人あるじと距離取ってますよね?」


「そりゃね、体は企業の社長令嬢だけど、倒産しそうな所を我が主人あるじの本社が買い取って持ち直しただけなんですわ」


「其れでどうして、倒産しそうな会社の社長令嬢ナナ主人あるじと同棲するハメに成ったんです?」


「もう一人のこのペンタゴンあるじのお兄様が、人とは通常の会話が出来とても優秀だけど人に興味を示さないマサヒロ様に業を煮やして人間に興味を持つツールとして、誰か一人でも良いから選べと言われたのが始まりでマサヒロ様がくだんの社長令嬢を選んだ結果なのです。

 その結果、付焼連合ツケヤキコングロマリットの総力を上げて他企業に合併吸収の計画を潰し社長令嬢ナナをマサヒロ様と同棲する事を条件として大規模な支援と人員整理等をせず吸収したのです。他企業と合併の場合はその企業の御曹司と彼女の婚約に大規模な人員整理が条件で有り、社員思いで知られる諸刃重工の社長としては付焼連合の人を切らない条件は渡りに船だったのよ。付焼連合ツケヤキコングロマリットとしても技術者や人間を其の儘有効活用出来たし互いにwinwinだったみたいで、今は諸刃重工は以前よりかなり経営状況が良くなっているわ。

 後、マサヒロ様と彼女の距離が変に有るのは彼女ナナは現実を知っている箱入り娘だけど、如何せん男を知らない為に適正な距離を取るのが分からず変な距離なのよ!マサヒロ様に付けば直ぐに付けるけど、嫌われて自分を傷つくのが怖いという両刃の剣状態だわね名前の様に…」


 彼女達は紅茶とクッキー片手に情報交換を進める、彼女達の飼い主スポンサーへ報告し自分の好感度を上げ周りのメイド達ライバルを蹴落とし勝つために…少女達は一方通行の恋アクセラレータ・ラブ正妻戦争ワーラブでは手段を選べないのだから…

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