第6話「会長と副会長のお茶会」

此処は副会長の部屋、少女かのじょは窓から見れば一生懸命、生徒会の仕事をする為に電子書紙データシートに目を通して居るように見える。さて、彼女は本当は何をしているか見てみよう。

 電子書紙データシートの間に隠されて居るのは何何、<鈍感な彼を振り返らせる><男と言う生き物><機械を愛した男>という感じの恋愛本から恋愛小説が挟まれている。彼女の良い点はコツコツと努力を行う所に有るがどうやら相当自分に興味を会長(かれ》が抱いていない事が悔しいと思えるが、実際は会長かれは段々彼女に興味を持ち始めているという事を少女かのじょは知らない、知らない事は幸せでも有り不幸でも有る…。


「どれも、役に立たないわ、男は取り敢えずゲームソフトを上げれば喜ぶとか、露出の多めの服を着て腕を胸で挟んだり耳元で褒めて上げれば男は上も下も元気に成るとか!そもそも、此等の本の前提は男が女性の事を憎からず思って居るというのが前提な訳で会長あいつは筋金入の人間に興味を持っていないタイプには役に立たないわ後は…」


 少女は自分の制服の胸の所を見てみるが、残念ながら少女の胸は北海道で見る風景の山も何も無い地平線のフラットである。寄せても寄せる肉が無く、露出の多い服と言っても少女は学校とペンタゴンの間を往復するだけの生活で使うのは制服だけ、学校の制服は其々の生徒の自由に応じてカスタムは自由で有るが生徒会は学校の顔という認識で居る真面目な彼女は、カスタムせずピシッとセーラブレザーを着ている。

 通常の男子生徒からはそういったピシッとした姿は美しく人気が有り、女子生徒からも凛とした美しさが有るとファンが多数居る。

 そして、家の服は執事とメイド長が勝手に補充し、フリフリ、キラキラが付いたパジャマやネグリジェの局部以外を隠しただけのスケスケの寝間着が置いてある。少女は未だに少しフリフリの付いたパジャマを着て居るだけだが、因みにネグリジェと使用用途を見た瞬間の彼女の顔は(゜д゜》ファで有った。

 それ等の恥ずかしい物はクローゼットの一番奥に何時も隠しているがメイド長の九重乃那ここのえのなが日々彼女に気づかれ無い様に前に少しずつ出している事を少女かのじょは未だ知らない。


 少女かのじょが此等の電子書紙データシートを読んでいるとトントンと扉を叩く音が有り、銀髪に蒼い瞳の書記の先輩が顔を見せ


「ナナちゃん、美味しそうなケーキが有るよ、一旦仕事終えて、コッチに追いでよ」


 先輩に言われ少女は急ぎ承認が必要な資料を目を通して、承認し最終承認者の会長かれ当てに電子書紙データシートを転送すると席を立った。


 ***


  どうしてこうなったのだろう?2人しか居ないハズの生徒会のテラスには追加で2mの身長に金髪ロングに黒目のムキムキのボティのスカートを履いた人物が居る。その人物は、生徒会長かれ


「私が作った、超純プロテインチーズケーキよ召し上がれ」


 フォークで取ったケーキを少年かいちょうの口へ押し込みながら言っている。因みに彼女かれかのじょで有り、女装と女性的な趣味を持つ筋肉男で頭は金髪ロングのカツラを被る為にスキンヘッドにしている。その姿は、220年前の錬金術師の兄弟が出てくるアニメ好きなら思わずアームストロング少佐と口走っているだろうが此処は2230年、そんな昔のアニメを知っている人間は残念ながらこの世に居ない。

 今の状況は傍からしてみれば、ムキムキのスキンヘッドが筋肉を鳴らしながら会長しょうねんにケーキを食べされているという異常な風景で有りその横では、マッチョの行為を恋愛小説れんあいしなんしょに書いて有った通りに少年かれにしようとした少女かのじょが怒りの炎を秘め始め、持って居たフォークが赤くなり溶け始めている。


  其れは遡る事20分前、書記の彼女が


「今日はいい天気だし、テラスでケーキ食べよう」


  提案した事がきっかけで有り、テラスで準備を行い4人でさあ、食べようとした時に、書記の彼女が指輪型情報端末を見て会計の銭馬快治ぜにばかいじと共に書記の彼女は急ぎ部屋から出て行った、どうやら不幸●●にも3年生限定の呼び出しが掛り、其処には大量のケーキと紅茶と二人の会長かれ副会長かのじょが残された。此れは恐らく、書記の彼女が張り巡らした二人きりにする為の謀略(プラン》の一部だろうが彼女は如何せん、男を知らない箱入り娘ふくかいちょう人間に興味を持たない●●●●●●●会長かれという水と油の様に混じり合わない二人を置くとどうなるかと言う事への想像力が足りなかった様だ。では二人の会話を聞いてみよう


「このケーキ美味しいね」


「そうだね、沢山買ってきたから食べてね」


「貴方が買ってきたなんて珍しい、どういう風の吹き回しから」


「うーん、書記さんに買って来てって頼まれて買ってきたんだけど、居なくなっちゃったんだよね」


「ふーん、先輩がね…」


「所で、このケーキの凄い所は通常は機械で自動製造じゃなくてね、職人が一個一個丁寧に生産しているだよ!この頃のケーキは何でも機械で造れるし材料次第では魚で出来たケーキも出来るんだ。そして、其れの試作品プロトタイプを見せて貰ったんだ!ケーキというか寧ろ蒲鉾だろうって電子書紙データシートでデータを出して提案したら、次の週には洋菓子部門から健康増進食品部門にそれが異動に成っていたよ。どうやら健康に気を使いたいけどケーキを食べたい女性向けに健康的な蒲鉾ケーキとして売り出す事に成ったみたい」


「そういうのも有るのね…」


 片や熱心に機械に付いて説明し片や冷めて聞いている、少女かのじょがもう少し男に知っていたら少年かれの作った機械に付いて質問をして、彼にこういった物に興味を持っているとアピールしながら自分に興味というベクトルを更に向けさせて居ただろうが少女かのじょはその思考に


「あら、美味しそうな匂いがしてると思ったら、お邪魔しますわ」


 その声により達する事が出来なかった。声のかれはこの高校の団体戦メンバーだった一人で名前は吉良大和きらやまと・三年生・校内序列4位、女装癖と女性的に演じる事と筋肉が好きな筋肉漢かのじょはどうやら置かれた大量のケーキの匂いに惹かれてやって来た様だ。

 そして、何時の間にか少女かのじょ会長かれの間にかのじょは入り込み、持って居たバスケットの中からチーズケーキの様な物を出し


「此れは、全てがプロテイン●●●●●●●●●で出来たケーキよ!卵は鶏に毎日プロテイン入の餌を食べさせて産ませて、小麦粉・砂糖・檸檬にも毎日プロテイン水をあげて自家栽培して、牛にも餌にプロテインを飲ませて乳を出させ私の実家から送られた来た超純プロテイン使用の材料で作ったプロテインチーズケーキ」


 切り分けながら説明すると会長かれ少女かのじょの皿に取り分けかのじょは大きく自分の分を切ると口の中に放り込みむせながら置いて有った紅茶のティーポット毎飲み干し。会長かれの口にプロテインチーズケーキをかのじょがフォークで取ったケーキを口の中へ押し込み少女かのじょが嫉妬の炎で自分のフォークを解かしている今の状況に陥っている。


 さて、会長かれ少女かのじょかのじょ3人の様子を監視している人達はどうしているのか見てみよう。


 ***


 此処は警視庁公安部の建物地下の対策室暗闇の中で


「おい、[ライター] [マネー]は何をしている!![ミスター・プロテイン]が乱入しているぞ!!」


「[タブルエッジ]の体温が急上昇中、摂氏1000度まで上昇中、[タブルエッジ]が持っている銀のフォークが溶けています!!」


「[タブルエッジ]溶けたフォークを見て体温を下げた模様、37度まで急落、[タブルエッジ]フォークを変えMの方向へ移動中」


「[タブルエッジ]、新規のケーキを切り取り、Mの口へ挿入開始、体温再び急上昇摂氏500度まで急上昇!!持って居た皿とケーキが溶けました!」


 衛星通信画像から送られくる情報を元に報告が飛び交っている。その間にも中継されているフォログラムには顔を赤くしながら会長かれの口の中へフォークを使って入れている少女かのじょの姿が映っている。

 ムキムキマッチョのかのじょ少女しょうじょに何やら耳打ちをすると少女かのじょは耳まで顔を赤くさせながら会長かれの頬に付いたケーキの粕をテーブルナプキンで取って上げたと思いきや後ろののめりに成り少女かのじょの姿が消え会長かれかのじょ少女かのじょが倒れた方向を見ながら椅子から立った。


「[ライター]と連絡が付きました、[ライター]は状況を確認、此の儘観察を続けよとの事です!」


「何だと!此の儘だと[ミスター・プロテイン]にMの興味対象が移る可能性が有るのだぞ!アレは男はだぞ!!」


 対策室内では怒鳴り合いをしているが、その間にも映像の中では会長かれが倒れた少女しょうじょをお姫様抱っこし部屋の中のソファーに置きに行くのをかのじょは其れを見ながらブラケットの中に置かれて居たケーキを入れると会長かれに投げキッスをすると5回建ての生徒会室から其の儘飛び降り姿を消した。

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