あやかしの森で ~薬師の少女は鴉とともに~

加賀見 文

第1話 そう思っていた

  私が住む小さな村。

  この村のすぐ隣にはあやかしの巣窟となっている森がある。

  暗く、深い森。

  入った者は二度と帰って来ないといわれている。実際に森へ行って行方不明になった人がいたし、村人達は皆「あやかしに食われた」と言っていた。


 そんな近くにあやかしの森があっても私はあやかしを見た事など一度もなかった。森はおろか、村の中さえ歩き回ったりなどしなかったから。


 だからあやかしなんてお目にかかる事などこれからもありはしない。


  そう思っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る