第2話
「えっと......ヘッドギアを装着して......と」
あれからしばらく、一樹にVRゲームのいろはを教え込まれ、現在はその指示に従って、VOSの設定を行おうとしているところだ。
「これで、後はログインするだけかな」
一通りの準備を終え、ベッドに横たわる。頭には『ヘッドギア』と呼ばれるVRゲームをするために必須な機械を装着。かなり重いので寝ながらでないと付けられない......。
「え、えっと『ダイブスタート』!」
私の言葉に反応して、ヘッドギアが起動する。体が水面に浮かんでるような感覚に襲われた後、私の意識は遠ざかっていった。
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気が付くと、真っ白な世界の中に立っていた。ここが、キャラメイクの場所らしい。その場にじっと佇んでいると、目の前に小さな少女が現れた。背中には二対の翅があり、その体長は30cm程だ。恐らく『妖精』と呼ばれる種族なのだろう。
「初めまして、キャラメイクのサポートナビ<A-42>と申します。宜しくお願い致します」
「よ、よろしくお願いします」
「正式版の稼働まで時間はありますが、キャラメイクをなさいますか?」
A-42さんの言葉と同時に目の前に半透明のディスプレイが表れる。
<キャラメイクを始めますか? Y/N>
YはYesでNはNoの略だろう。Yを押す。
「それでは、キャラメイクを開始します。まずは【種族】を選択してください」
【種族】
・
種族スキル【適応】
どんな地形でも地形ダメージを受けない
・エルフ
種族スキル【精霊魔法】
精霊魔法が使えるようになる
・ドワーフ
種族スキル【力任せ】
物理攻撃に補正がかかる
・
種族スキル【獣化】
一定時間完全な獣の姿になる。獣化時、
ステータスに大幅な補正がかかる
・
種族スキル【耐撃壁】
ありとあらゆる攻撃のダメージを減少させ
る
・ランダム
ランダムに種族を決定します。上位種族、
レア種族、もしくはネタ種族が当たります
さて、どれがいいかな?やっぱりゲームなのだから、現実にはない『魔法』を使ってみたいから一番はエルフかな?
とはいえ、ランダムというのもどこか心踊る物があるなぁ。ランダムとはいえそこまで、酷いのは出ないだろうしここはランダムを選択してみよう。
ランダムを押そうとすると、A-42さんが怪訝な表情を浮かべる。
「一応、確認させて頂きますが............本当にランダムで宜しいのですか?」
「......はい。お願いします」
少し早まったかとも思ったが、一か八かいってみよう。その結果......
「種族は【
・|天使族(エンジェル)
種族スキル【飛翔】
空を飛べる
「ごめんなさい!やっぱなしで!」
「一度、決定したら変更は出来ません」
そんな無情な言葉と共に目の前に私のアバターが映し出された。背中にはA-42さんのような二対の天使の羽根。そして、頭上に輝く天使の輪。素晴らしいほどに神々しいオーラを放っている。何というか......凄く痛々しい。というか恥ずかしい......。
「アバターの設定に移ります。現実と大幅に変えることは出来ませんのでご了承下さい。尚、数cm程度であれば変えても問題はありません」
ああ。どんどん話が進んでいく......。とりあえず、私は髪色を黒から淡い青色に、身長を数cmかさ増しして165cmに変更。......コンプレックスの胸もほんの少しだけ盛ったのはここだけの秘密である。
「続いて、ジョブの選択に移ります。ジョブはメインジョブとサブジョブの二つを選択して頂きます。サブジョブはメインジョブ程、レベルは上がりませんが戦術の幅が広がるかもしれません」
目の前のディスプレイに大量のデータが流れてくる。
「............いったい幾つジョブがあるんですか?」
「全ジョブ数は520です。カテゴリ毎に分けて表示しますか?」
「お願いします」
おお!かなり見やすくなった!『魔法系』のカテゴリを見ていく。幾つか面白そうなジョブを見付けたのでピックアップしていく。
「よし............これでお願いします!」
十数分後、何とかメインジョブとサブジョブの二つを選択し終わった。
「......では、次にスキルの選択に移ります」
スキルは大きく分けて【装備系スキル】【魔法系スキル】【生産系スキル】【特殊スキル】の4つがある。武器や防具を装備するには、それに対応した【装備系スキル】を取得しなければ使えない。【魔法系スキル】も同じように【属性魔法】のスキルがなければ使用できない。【生産系スキル】は文字通り。これも対応したスキルを取得して初めて生産できようになる。最後の【特殊系スキル】にはジョブの強化スキルや完全な趣味系スキルやネタスキルなどが含まれる。
またも目の前に数千を越えるであろうという数の、スキル一覧が現れる。
「ジョブスキルで4つスキル枠を消費しているので残りは6枠です」
「......えーと。ジョブにオススメのスキルとか教えてもらって良いですか?」
「今のところジョブにオススメのスキルは5つしかないので、残り1つはどうなさいます?」
ふぇ!?あと一個かー......。生産とかやってみたいしこれかなぁ。
「では、これで確定して大丈夫ですか?」
「は、はい!」
「それでは、これでキャラメイクは終了となります。明日のお昼12時より正式稼働ですので、それまでお待ちください」
その言葉を最後に、システムによる自動ログアウトが行われ、私の意識は現実へと戻った。
virtual on-line saga episode ミツバ がしゃどくろ @Gashadokuro
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