第2話 始まりと出会い
四月七日、今日は、俺がこれから通う高校の入学式だ。俺は珍しく早く起きてしまった。まぁ時間はというと朝の3時だ、早起きしすぎて大惨事ぃ!なんてくだらないくとを考えていた。深夜のテンションだ、気にすることはない。特に眠気もなく二度寝しようなんて思わない。むしろ俺としたことがウキウキ、ワクワク、ソワソワ、ムラムラしているところだ、ちなみに最後のは嘘だ、と思う。
そんな感情の高まりを感じていると隣から扉が開く音が聞こえた。隣の部屋には妹が生息している。まさかこのまま俺の部屋に入ってきて、俺にまたがり人生相談なんか頼まれたらどうしようかと考えていると、そのまさか俺の部屋のドアが開かれた。
(まさか!人生相談なのかっ!妹がオタクっていう真実を知ることになるのか!)
なんてラノベチックなことは起こるわけもなかった。
「うるさい!」
どうやらムラムラなどの感情が動きに表れていたようだ。
「思春期男子の部屋にノックなしで入らないの!」
こんな愛想の悪い妹だがツンデレだと思い妥協すれば可愛くも見れるものだ。うん我慢、我慢!我慢!!我慢!!!
ちなみにデレるときは俺に頼みごとをするときか、お友達の前位だろう。都合のいいやつだ。
「寝れないの?花蓮も今日から二年生だからワクワクして寝れなかったんだよね~、お兄ちゃんいなくなるって考えるともう学校がディストピアだよ♡」
こいつ、可愛さ装って地味に酷いこと言ってやがる、、、前言撤回、全く可愛くねぇ
「オレハカレンノイナイガッコウナンテツラスギルヨ」
「。。。。キンモ」
そこまで言わなくてもいいだろ、、、入学初日に実の妹にドン引きされるなんて、未来が真っ暗に思えちゃうだろ!なんてこの先の人生について考えているとカーテンから光が差し込んでくる。未来は暗くても外は明るくなるのだ、、、迷言を残した気がする。時間は4時を回っていた。花蓮と一緒にいたから時間が短く感じたのだろうか?特殊相対性理論か?違うか。ふと振り返ると花蓮は部屋からいなくなっていた。飽きたらすぐ帰る癖は俺に似てるのな、それ嫌われるぜ!ソースは俺。
つらい過去を思い出すのはよくない!現実逃避をしよう。
俺は机の上の本に手を伸ばした。
気が付けば時計の針は六時を回っていた。俺は階段を下りリビングへ向かう、
親はもう仕事に出て行ったのだろう、机の上に朝食と電車賃が置かれていた。
時間にも余裕があったのでゆっくりと朝食を終え、新しい制服に着替え、入学式の持ち物をカバンに押し込んだ。時計の針は七時前を指していた。今日の登校時間は八時半、学校には40分程で着くので今出るのは少し早い。これじゃトーストをくわえて急いで走ってくるおっちょこちょいなどじっこさんとぶつかって出会いが!ってフラグが立たない。。。。
だが早く行けば逆に「時間を間違えて早く来ちゃった、テヘペロ♪」的などじっこに会えるから問題ないだろうと、家を出た。
電車に揺られること約30分、同じ制服の人もチラチラ見かける。がさすがに顔も知らないやつに話しかけようとは思わないだろう。時折チラ見し、チラ見され。そんなことを繰り返しているうちに、もう下りる一つ前の駅だ。今日のスケジュールを頭の中で確認していると車内後方から悲鳴が聞こえた。
「きゃぁ!!!!」
電車内で悲鳴、、、痴漢か何かだろうか、アホなやつがいたもんだ。女のからだなんて触って何がいい、ただ柔らかそうで、もちもちしてそうで、さぞかし気持ちいぐらいのものだろう、、、なにこれいやだ、犯人俺かも。と思ったがその線はないようだ。
「私のカバン!、、、誰か!」
窃盗か、、、気が付けば俺は車外にいて、その足は走り始めていた。自分でも何をしてるのかわからない。何故俺は窃盗犯を追いかけているのか、理由を考えたが思いつかない。勝手に動いたのなら仕方がない、と地面をけった。幸い走ることには多少自信がありそのうえ相手は荷物を抱えてる状況だ。すぐに追いついた。俺はそのまま犯人の足をめがけてダイレクトアタック。犯人は体勢を崩しそのまま見事に転倒した。すぐに駅員がきてカバンを取り上げ抑えつけた。
このカバンどこかで見たことある。決して見慣れてはいないが、見たことがある、記憶をたどっていたが、すぐに答えは解った。
「はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
息を切らせた少女が俺の前で止まって息を整えた。すぐにわかった、この制服うちの高校の制服だ、なるほど、だからカバンに見覚えがあったのか。
「あ、あの、、、」
「あぁお礼ならいいよ」
ここで一度は言ってみたいセリフナンバー6を選択した。
「で、でも、、、、、」
(ふっ、、、計画通り)
「見返り求めてやったわけじゃないから」
そう!この流れ!!ぱーふぇくつ!!!
「あ!名乗り遅れました!私神薙ろあですっ!」
あぁそういえば俺も名乗ってない。
「あ、俺は」
といったところで遮られた。
「加藤蓮さんですよね!」
「あ、うん、、なんでしって、、」
「ここに大きく書いてあります!」
神薙さんはカバンを俺に見せてくれた。まぁ俺のなんだけど。。。カバンにはデカデカと俺の名前が書いてあった。。。母ちゃん。。。。
「ふふっ面白い方ですね」
うむまぁ華々しい笑顔が見れたので良しとしよう。
「こんなことしてる場合ではありません!次の電車に乗れないと、もう次は間隔があいてしまいますっ!」
そうだこんなことをしている場合ではない、急いで走るともう電車は来ていた。これに乗れなければ完全に遅刻だ。焦り俺はダッシュをする、このまま行けば間に合う!後ろを振り返ると神薙さんの姿が見えない。まさか。。。。。
そのまさかだった。神薙さんは、、、悔しいことに、、悲しいことに、、、、
足が遅かった。
もちろん今の状況で俺一人電車に乗って「達者でな~」なんてことはできない。できたらたぶん、ミルドラースの手下くらいにはなれる。俺は勇者志望なので、足を止めることにした、つまり、遅刻確定である。
「この場合だと待つのより歩いて行ったほうが早いな、たぶん」
「はぁ、、はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
なんでそんなに息切れてんだよ。たったの四十メートルくらいしか走ってないだろ。ちゃんとグリコのキャラメル食べたの?あれ一個で三百メートルはしれるんだよ?
「はぁ、、す、、、すみません、はぁ運動は苦手で、、、はぁ」
それもう苦手の部類じゃないよな吸血鬼が太陽の光浴びるとかそのくらいのレベルだよな。
わかったからもうそれ以上喋るな!傷が開くぞ、ってレベルにやばそうだよこの人なになにの実を食べたの?世界観間違えてるよ、動くと力抜けるとかそれもう
NANIPIECEだよ。
と心の中では突っ込みのオンパレードだがあえて言葉には出さない。
「じゃ歩いて向かおうか」
「は、はい、、、はぁ」
遅刻が確定した以上時間はそう気にすることではなくなった。
ゆっくり自己紹介をしながら歩く。
「えぇっと北中出身の加藤蓮、学科は普通で、兄弟は二つ下に妹がいて両親共働きのごく一般的な家庭で育った、一般とは少し違う男の子だ。」
なぜだろうごくごく一般的な家庭なのに友達がいなかったのはなぜだろう。遊び相手はいつも妹だったのはなぜだろう。私は不思議でたまらない。
「コホン!、、、では私の番ですね、ふぅ」
一息入れて彼女は語り始めた。
「南中出身の神薙ろあです。学科は私も普通で兄弟はいません。え~っと、両親は父がちょっとしたお偉いさんだそうです。母は、父のサポート兼秘書を務めていますので、加藤さんとおんなじ共働きです!」
軽い自己紹介を終えた。
そうかお偉いさんの愛娘、それを助けた俺、このまま人生ハッピーエンドかな?
中学の頃の思い出や、家の事、など色々と語り合い俺たちは約一時間かけて学校についた。これなら電車のが早かったかもしれない。まぁ何よりめったに無い女子とのトークイベントを経験できたので良しとしよう。
校門をくぐり俺と神薙は職員室まで向かう。遅刻登校の報告だ。高校のパンフレットは事前にもらっているので場所はすぐにわかった、がなかなか職員室のドアをノックできない、ヘタレだなんて呼ばせないぞ!いくつになっても職員室ってのは入りにくいものだ!わかるはずこの気持ち!!!
俺の動揺を察したのか神薙がドアをたたいた。やばい逃げたい、僕たちの漫画がアニメ化して、その声優をあなたがやったら結婚してください張りの逃げたさ。
出てきたのは、おばさんの先生だ。そうか、今は入学式の真っ最中。先生はほとんど体育館にいるのか、そう思うと一気に肩の力が抜けた。
談話室に入れられ俺と神薙は事情を話す。
「あの~今日入学の加藤です、遅刻したのは理由があってですね、、」
おばさん先生はにっこり笑って答えた。
「あ、もしかしてあなたたちが窃盗犯の逮捕に協力したっていう子たちね?さっき駅の人から電話があったわ。事情は理解しているわ。う~ん入学式はもうじき終わるからここで待ってていいわよ」
「あっ、ありがとうございます」
俺とろあは少し休憩モードに入る。おばさん先生はあいかわらずにっこにっこにーだこっちまでラブニコしてしまいそうだ。
するとおばさん先生は立ち上がった。
「入学式の最後でクラス区別のプリントが配られるの、たぶんもうじき入学式も終わるわ、プリントだけもらってくるわね。」
と言って談話室を後にした。本当にい先生だ、と思いつつ先ほどからやけに静かな神薙に目をやった。
うん、寝てる。。。。。。。。
神薙の寝息を聞きながら頬杖をついていると扉が開けられた、おばさん先生がプリントを持ってきてくれた。一通りプリントに目をやった。普通科は三クラスに分かれている。俺の名前を探していると先に神薙の名前が目に入った。三組か。かすかな期待を込めて三組を確認する、やはり知らない人だらけより顔見知りがいたほうが都合がいい。っと加藤の字が目に入った、名前を確認すると、加藤治樹。うむ俺ではない、この苗字スタンダードなんだよ、、、
結局俺は一組だったもちろん知った名前もなく孤独生活再開だ。
仕方ない教室に向かおう
「お~い神薙、起きろ~!」
「うぅん、、、ホカッチャ?、、ハッ!」
口の周りを拭くしぐさをし、慌てて起きる。可愛いなおい。
「神薙三組な、俺一組」
「あぁクラス別なんですね、残念です。」
そういう事言われるとなんか勘違いをしちゃうからやめようね。
「あぁそうだね、おら行くよ」
俺はそのまま部屋から出た。
教室の前で立ち止まる、もう全員集まっているらしい、こんな中入っていくなんて、歴代仮面ライダー全員にショッカー一人で立ち向かうようなもんだ。
でも入らないともっとまずいので扉に手を当てた。そのまま勢いで教室に入る。
全員の視線が俺に集まる、誰か意識の高いやつだろうか、俺を先生と間違えて挨拶をしてきた。
「おはようご、ぁ」
その瞬間一気にそいつに視線が行く。助かった、俺はその隙をついて自分の席に着いた。
皆が、誰も、何も言わないピリピリしたムード、そんな雰囲気の中約五分。教室の扉が開けられた。
「はい!みなさんおはようございます。馬場周五郎です。今年で32になります。一年間あなたたちの担任をします。よろしくお願いします。ではみんなには簡単に自己紹介をしてもらおうかな?」
馬場の指示で簡単な自己紹介が始まった。荒木だとか石川だとかで俺の番が回ってきた。今までの傾向だと、名前、出身中学、好きな食べ物あたりを言っておけば問題ないだろう。
「北中出身の加藤蓮です、えぇっと好きな食べ物は洋菓子、、とかです。一年間よろしくお願いします。」
そして、ガブリエルだとかミカエルだとか全員の自己紹介を終え。高校生活はじめの休み時間だ。もちろん誰も喋らない、皆ケータイをいじったりしている。俺も本を読み始める。そして高校生活はじめの休み時間はあっけなく終わった。
二時間目、さすがにまだ授業はない、教科書類、書類、を配り、この学校のことについて語った馬場は余った時間をコミュニケーションタイムなどと称し自由時間を設けた。流石に適応能力の高いリア充(笑)な奴らはLONEの交換を始めた。
LONEとは近頃はやり始めたSNSの一つだ。もちろん俺も入れているが、妹と両親しか登録していない。
何やらこそこそと話しているのはリア充(笑)のリーダー格だろうか、
一人が声を上げた。
「LONEでクラスのグループ作りました~LONEやってる人はぜひ入ってください!」
ひとたび声が上がれば皆はそれに流される。俺も乗らなければこのビッグウェーブに!俺もLONEを起動させる「友達」の欄には「母」「父」「花蓮」の三人しか登録されていない。改めて見ると、悲しきかな。
「追加しよ~」
「うん」
「えぇ~マルコス君このトプ画あのバンドじゃん!」
「yes・・・・」
などと声が聞こえてくる中、俺はYOHAAAで友達の追加方法について調べていた。いや、だって自分から追加したことないし、仕方ないし、悲しきかな。
フリフリという機能で位置情報とやらを使うのか、めんどくさいがやるしかない!
俺はフリフリの画面に行って軽くスマホを振った。
検索中・・・・
検索中・・・・
検索中・・・・
「見つかりませんでした」
俺はそっと、LONEをアンインストールしたのだった。
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