罪と正義(仮)

ヘビーカステラ

第1話 終わりと始まり

俺の名前は加藤蓮、今は中学の卒業式の真っ最中だ。俺はというともちろん参加している。長かった中学校生活も今日で卒業だが、一点問題がある。今俺のいる場所、そう!保護者席である。この保護者席で参加しているのには特に深くもない理由がある。


卒業式一週間前の出来事だ。。。


「在校生に最高の歌を披露するぞ!」

無駄に熱い担任、泥沼涼太の鳴き声が聞こえる。熱いだけあってそこそこ人気のある教師なのだが、俺はこの教師が苦手だ、はっきり言えば嫌いだ。

そしてこの後この担任をさらに忌み嫌う出来事が起きるのだった。


なにやら指示を出した泥沼はそのまま教室を後にした。

「よし、歌練習はじめよっか!」

代表委員の宮下だ。担任から指示を受けたのだろう。宮下の指示に従って皆が動き始める。俺も動かなければ後にグチグチ言われることはわかっているので、早急に持ち場についた。だがここで問題の発端となる出来事が起きてしまったのだ。

後ろからいきなり話しかけられた。

「ねぇ加藤君何してるの?」

あぁこいつは確か体からおかずのにおいがするとかで有名な、中林さん。相変わらず臭いきついっす!そして何をしてるかと言われれば別段何かしてるわけでもないが、強いて言うなら、楽譜を見ている。

「ん?これ見てるだけだよ、、」

さっきまでずっと言葉を発してなっかたからか思いのほか低い声音が出た。

すると中林さんの顔色が変わった。

「何?その態度?こっちはアンタの立ち位置がおかしいから嫌々話しかけてあげたのに!!」

この女めんどくさいタイプだ、、てか嫌々って言うなよ。傷ついちゃうだろうが。だが面倒なことになるにも嫌だったので、すぐに弁解しとうと口を開こうとしたが、見事に阻まれた。

「何事か、、!」

このタイミングで担任の泥沼が教室に帰ってきたのだ。それにしても何事かなんて何時代の殿様だよ。。。と、しょうもないことを考えつつ、事情を説明する。中林さんが

「この加藤君に~立ち位置間違えてるの教えてあげたら~反抗的な態度をとってきたんですよ~」

まず人をこの扱いやめてね。それと反抗しったけ?

「おい!!!加藤!どういうことだ説明しろ!」

無駄にでかい声、あとツバ飛ばすな。面倒なことは嫌いだが理不尽に怒られるのはもっと嫌いなので説明した。

「ちょっと声が変でそーゆー捉え方されちゃったんすよ」

れっきとした事実なのだが、どこか言い訳じみていた。そこを突かれたのだろう、おかず臭の子が出しゃばる

「そんなのはいいわけですよね?先生??」

大丈夫怒ってなんかない、少し殺してやりたいくらい。

「ちょっと来い、加藤、、、、」

そのまま別室まで俺は連行された。事情徴収だ。


質問1「なぜ反抗的な態度をとったのか」


アンサー「とってない、反抗した前提で話すのやめろ」


質問2「なぜみんなに協力しない」


アンサー「論点ずれてるぜおっさん」


まぁこんな感じの繰り返しだそして、ついに先生必殺

「やりたくないならやるな!!!」

が炸裂した。もちろん答えはOKだ!!

その次の日から、俺は学校には行ってない。泥沼も責任を感じているのか、ちょくちょく電話はかかってくるらしいが、親に任せている。ママンありがとう。

出席日数についてだがそこも計算済みだ。俺はこんな時のためにほとんど学校を休んだことがないからな。一週間くらい休んでもどうってことない。俺は5日ほどかけ妹キャラ全ルートを攻略しながら、暇をつぶしていた。そして6日目の朝卒業式前日だ。準備がなんやらで早く学校が終わったらしい、泥沼が家に押しかけてきた。突撃生徒の昼ご飯。

もちろんの如く親に追い払ってもらったが、一枚のプリントを渡された。

卒業式は見に来るだけでもいい、伝えたいことがあるから来てくれ。

なに?告白?校舎裏で待ってればいいの?と無理やり胸を高鳴らせて、その日は終わった。

卒業式当日、俺はママンとパパン、そして在校生として出席する妹の花蓮と共に家を出た。

昇降口で花蓮と別れ母と父と共に保護者席に座った。。。


そして今に至るわけである。

両親にとっては何の意味もない卒業式になるのかと思いきやそうでもないらしい。両親は妹を血眼になって探している。どうやらはじめから妹目当てらしい。。。

ボクノソツギョウシキナノニ、、、シュン

まぁ参加してないからシュンもくそもないんだけどね。


あぁだこうだ後輩のかわいい女の子をじとじと探しているうちに終わりに近づいてきた。そして卒業生が退場していく。当たり前だが顔見知りが通ってく中に俺の姿はない。この中学にそんな思い入れがあるわけでもないので虚しさは無いが、取り残されてる感がある。うん虚し!!むなっしーって名前でゆるキャラやろうかな。

特に何事もなく無事に卒業式は終わった。おかしいのは俺がいないことと、隣のおばさんが号泣しててメイクがどろっどろになって、リアルバイオハザード状態なことくらいだ。こわい!こわいから!ほらハンカチあげるから!涙吹いて!!、、、あぁ!鼻かみやがったこのBBA!!

と、ストレスをためていると、ふと思い出した。泥沼から告白されるんだったぜーひゃっほーい。

皆は自分たちの友情を確かめ合いながら学校から出ていくなか俺は告白の地(職員室)に足を運んだ。

扉の前で泥沼は立っていた。

「卒業おめでとう。」

ここは俺も素直に応じることにした。

「うす」

長い話もなくただ一言

「じゃぁさようなら!」

とだけ言い

先生が手を出し握手を求めた。俺も手を出し別れの握手をした。

なるほど伝えたいことってのはただのエサか、俺を学校に来させるための。

これで俺の長い長い中学生活が終わりを告げたのだった。

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