第三話 夕食会
「それで天海くん。こんな夕暮れ時に何処へ行かれるのかな?」
「あの、実は商い相手の方が食事をと」
「商い相手……ね。その表現と向かっている方角からして、コスタ氏との食事といったところかな」
たぶん僕が歩んでいる道のりだけで判断したのではないだろう。
おそらくこの方のもとにはコスタ氏の南蛮船が到着したこと、そしてその担当が僕であることが伝わっているのだと思われた。
だからこそ、あえて無知を装い、僕は目の前の男に探りを入れる。
「はい、そのとおりです。あの、宗易様。どうしてお分かりになられたのですか?」
「なに、それが仕事だよ。商人が持つべきは一に情報、二に商品。売れない在庫を抱えても仕方ないものだし、大事なのは自らの商売を確かにする情報だ。まあ近頃は、武家の方も情報を大事になされる方が増えているようですが」
そう口にすると、宗易殿は意味ありげに隣に立つ若き武士へと視線を向ける。
男は堂々とその視線を受け止めると、返事代わりとばかりにニヤリと笑った。
「しかし、なるほど。さすがは堺一番の商人、千宗易様と言うところですね」
「はてさて、本気で言っているのかな。君のところの旦那はともかく、天王寺屋あたりの耳に入ったら、少し面倒なことになると思うよ」
「ああ……それは確かに。
堺でも有力商人の集まりである会合衆。
その中でも指折りの実力者といえば、眼前の
「ふふ、ちゃんとわかっているなら構わないさ。しかしそれはともかく、こんな夜更けにこの辺りを歩くのは辞めたほうがよいな」
「何故ですか?」
「最近、ちょうどこの周辺で、女子供の人さらいが横行していると聞いている。もし夜中に出歩くのならば、遠回りとなるが大通りの方から向かったほうが安全だろう」
「人さらい……ですか」
初めて耳にした話ではある。
だが確かにこの通りはほとんど人影がなく、何やら薄気味悪く思われた。
実のところ、ここは師匠の修練所に向かうにも便利な道ではある。
でも、面倒事を避けるならば、今後は別の道を通ったほうが良いかもしれない。
「天海くん。私が耳にするに、どうも少し面倒な手合が彼らの後ろにいるとも聞いている。だからこそ、関わり合いにならないことを勧めるよ。如何に君が、剣聖のお弟子さんだとしてもね」
「ほう……」
宗易様の言葉を耳にして、隣に立つ若い男は改めて興味深そうな視線をこちらへと向けてくる。
一方、僕は内心驚きを隠せないでいた。
もちろん塚原卜伝という人物は、衆目を集めるに値する名である。
だが他家である今井の、それもまだ手代にすぎない僕の存在を把握し、更に師匠のもとに通っていることまで掴まれているという事実。
それはまさに驚愕に値した。
だからこそ僕は、動揺を悟られぬよう、言葉少なに感謝だけを述べる。
「……ありがとうございます。以後気をつけるようにします」
「なに、気にすることはない。私も、今井の将来の番頭くんとは仲良くしておきたいものでね」
「番頭なんてそんな……」
「おやおや。今、この堺で一番の商いをしている君が、謙遜かい?」
「そんなことはありませんよ。先日の北白川の戦い絡みで、宗易様は三好家にかなりの貸しを作られたと聞いています。僕なんてまだまだですよ」
近江守護
たった二割前後に過ぎない将軍家の軍が、五倍以上の兵力を持つ三好家を相手取って、縦横無尽に戦いを進めた。
その結果として、三好家は将軍家に助力した六角氏を切り崩す策を取り、最終的に双方の和睦がつい先日成立したところである。
この戦いのためだけに四国から呼びだされた
だがそのタイミングで、ちょうど堺に卜伝師匠が滞在していたため、彼はそんな不満を忘れ足繁く通う事になったわけである。その意味では、幸不幸などというものは本当にわからぬものと言えよう。
一方、十河様から伺ったそんな経緯を思い起こしていた僕に対し、宗易様は興味深そうな表情を浮かべながら、意味ありげに笑った。
「ふふ、なるほど。堺から外れた商いも、きちんと把握しているか。どうやら君も、情報を第一とする商人のようだね」
「宗易、俺はこの小僧が気に入った。本気で連れて帰ることは出来んか?」
「難しいでしょうな。彦八郎が彼を手放すはずがない。それに彼自身の考えもあるでしょうから」
宗易様はそう口にされると、僕に向かって視線を向けられる。
一瞬、迷いを覚えた。
ここで尾張へと向うことは、きっと近道ではないかと。
天の頂きへの道。
尾張からは間違いなく、太い道がその場所に向かって広がっている。
それはきっと正しい選択の一つであろう。
しかし如何に広い道があろうとも、そこを駆け抜けるだけの実力がなければ何の意味も無い。ならば……
「申し訳ありません。今はまだ……」
「で、あるか……だが、まだというのならば、その気になれば何時でも俺の下に来るがよい」
僕の言葉の細やかなニュアンスを拾い上げたのか、目の前の男は一つ頷くと、僕の肩にポンと手をおいて笑いかけてくる。
初対面にもかかわらず、吸い込まれそうになるその魅力。
カリスマと呼ぶべきそれに、僕は思わずやられそうになるのを自覚した。
だがそんなタイミングで、僕達の隣から、間に割って入るような冷静な声が発せられる。
「まあいずれにせよ、勧誘は些か難しいかと思いますな。何しろ、尾張まで行くのは大変なものですから。とはいえ、わざわざこの地まで足を運んでこられている方に言う言葉でもございませんが」
「まあな。ともあれ、小僧。時間があれば、一度夕餉でも共にしてみたいところだ。南蛮人の話を色々と知りたいのでな。だが、あいにく今日はその方同様に予定が入っておる。次に機会があった折は、この上総介に付き合え」
「は、承りました」
この上なく魅力的な提案。
僕は一切熟考すること無く、間髪入れずに回答した。
一方、そんな僕の反応に宗易殿はやや意外そうな表情を浮かべる。
だがすぐに気を取り直すと、彼は隣の男の耳元で何やら言葉を発し、そしてそのまま僕に向かって笑みを浮かべた。
「では、天海くん。私達も少し用があるのでね、これにて失礼するよ」
そう言葉を言い残し、二人はゆっくりと歩み去っていった。
その場に一人残された僕は、出会った人物の事を思い、完全に放心状態となる。
そして虚空に向かい思わず呟きを発した。
「天の頂きを目指すならば、いつか出会うとは思っていた。だけど、まさかこんなところで……って、いけない、急がないと!」
そこで僕はようやく一つの過ちに気づく。
ただの遅刻が、大遅刻になってしまったということに。
「遅かったですな、天海さま」
堺にてコスタ家が滞在する街北の南蛮屋敷。
その前で門番のごとく佇む初老の男は、僕の姿を目に止めた瞬間、抑揚の少ない声を発した。
「はぁ、はぁ……申し訳ありません、与兵衛さん」
僕は息を切らせながら、コスタ家の執事を務める与兵衛さんに向かい深々と頭を下げる。
この堺で初めて取引を行った時から、コスタ家に帯同してきた日本人執事。
その装いは完全に日本人のそれとは異なり、当時の南蛮人によく見られたアラブ系の服装にその身を包んでいた。
「……仕方ありませんな。いつもは時間を守られる天海様のことですから、なにか理由がお有りだったのでしょう」
そう口にすると、与兵衛さんは深い溜め息を吐き出す。
僕は申し訳無さそうに何度も頭を下げながら、彼に向かって口を開いた。
「すいません。あの……それでコスタ家の皆様は?」
「身の回りの品の運びこみも終わり、既に中で天海様をお待ちです。さあ、どうぞ中へ」
与兵衛さんはスッと身を動かすと、屋敷の中へ入るよう右手で僕を促す。
そんな彼の気遣いに恐縮しながら、僕は急ぎ足で玄関の扉をくぐった。
「申し訳ありません。大変おまたせいたしま……うわぁ!?」
「シュウイチ! 待ったよ、首が長くなるほど待ったよ」
屋敷の中に足を踏み入れた瞬間、お腹のあたりに向かって突然のタックルを受ける。
僕が視線を下げると、そこにはすこしばかり小柄な金髪の美少女の姿が存在した。
「ああ。ご、ごめんね、マリア」
「許さないよ。ご飯の前に、前にしてくれたこの国の話の続きを、シュウイチにいっぱいしてもらうつもりだったのに!」
「いや、それはさ。うん、本当にごめん」
「でも、許す。本当に仕方ない子だからね、シュウイチは!」
なぜか突然、年上のような言葉を告げると、マリアはあまり目立たぬ胸を張った。
そんな彼女を前にして、僕はどう振る舞うべきか困惑する。
するとそのタイミングで、屋敷の奥からファビオ氏がゆっくりとその姿を表した。
「やあ、シュウイチ。ごめんネ、マリアが迷惑をかけているようでサ。実は今度、マリアに妹ができることになってネ、それでお姉さんぶりたくなっているのサ」
「お姉さんぶりたいんじゃない。もう、ワタシお姉さんなの!」
「はは、そうだったネ」
「なるほど、それでフィーナ様のお姿が見られなかったんですね」
「ああ、そのとおりさ。フィーナはマカオの別邸で出産の準備をしていル。だから、今回は同行できなかったのサ」
イングランド生まれのフィーナ・コスタは、マリアの母親であり、ファビオ氏の妻である。
彼女から母国語を習ったマリアとたまたま出会うことが出来たことは、僕の大きな幸運だった。
何しろ、この国を訪れる南蛮人の殆どはポルトガル人かスペイン人である。それ故に、堺に来てからしばらくは、如何に彼らの言葉と近い言語とはいえ、前世で学んだ英語を上手く使う機会に恵まれなかった。
だが英語を扱うことのできるマリアとその母のフィーナと出会い、そして彼らとのやり取りからポルトガル語を学ぶことが出来たのは、僕にとってこの上ない幸運だった。
もちろん彼らにしてみても、堺にてたどたどしい通訳を解するよりは、英語ではあるものの読み書きもきちんとできる僕を介して取引を行うことは、それなりに大きなメリットとなったのだろう。
そうして双方が利益を得る形で、僕とコスタ家との関係はもう二年もの長きにわたって続いている。
「ファビオ様も申し訳ありません、大変遅くなりました」
「はは、構わないヨ。それよりも、既に食事は用意していル。どうぞ上がり給エ」
ファビオさんはそう口にして軽くウインクしてみせる。
ラテン系の茶目っ気を見せる貿易商のファビオさん。
だが彼はこう見えて、我が国との南蛮貿易においてその先鞭をつけた一人であった。
「ありがとうございます」
「よし。じゃあ行こうよ、シュウイチ!」
マリアは僕の隣で元気の良い声を発すると、右手を掴んだまま前をかけ出した。
彼女に引っ張られながら、足を運んだダイニング。
それは極めて欧風に似せた作りが取られており、前世の記憶が蘇った僕は、思わず少しばかり胸が苦しくなった。
「どうしたの、シュウイチ?」
僕の表情の変化に気づいたのだろうか。
マリアは心配そうな表情を浮かべ、僕の顔を覗き込みながらそう問いかけてくる。
自分よりも二つも幼い少女に心配されたことを恥ずかしく思いながら、僕は二度首を振ると、敢えて別のことを口にした。
「いや、ちょっとすごい料理に驚いちゃってね」
「はは、到着したばかりで、少しありあわせのものになってしまったが、そう言ってくれると嬉しいネ。一応、もし不満があっても許してくれヨ」
「不満なんてそんな。それよりも、本当に僕なんかが同席させていただいてよろしいのですか?」
「僕なんか……ネ。それは本音かナ。それともこの国の者が好みたがる謙遜と言うやつかナ。まあどちらでも構わなイ。大事なことは、僕とマリアが食事をともにしたいと思っことサ。それこそが最も重要で、そして夕食における最高のスパイスだヨ」
ファビオさんはそう口にすると、自らの向かいの席を僕に勧める。
そしてマリアは、いつの間にか僕の真横の席へと腰掛けていた。
久々のダイニングテーブル、そしてナイフとフォークを使った食事。
もちろんコスタ家の人々が堺を訪れた時に、これまでも三度ほど食事に同席させて頂いたことはある。だがそれは、所謂この時代の日本的な食事であり、決してこのような形式ではなかった。
そんなことを思いながらも、僕は出される料理を次々と平らげていく。
おそらく今日のうちに市中に仕入れに行ったのだろう。用意された料理はどれもこれも、ふんだんに堺で取れた野菜と魚が使用されていた。
「ねぇ、シュウイチ。今回もどこか案内してよ!」
僕が最後のメインディッシュとして出された鯛と格闘していたその時、隣りに座るマリアは、僕の服の袖を引きながら話しかけてきた。
「いや、僕も仕事があってさ。なかなか、その……」
「ああ、それは安心してくれて構わなイ。娘と相手してくれることも、君の仕事のうちサ。既にヒコハチロウ殿には許可を頂いていル」
「え……ほ、本当ですか」
流石というか親ばかというか……まさか既に根回しが成されているとは思わず、僕は驚きの声を上げる。
というか旦那様め。きっと全てを知っていて黙っていらっしゃったんだな。
僕は内心で、食えない男である旦那様のことを毒づいた。
すると、ファビオさんはフォークをテーブルに置き、そしてニコリと微笑む。
「ああ、本当サ。差し当たって、私も色々と商談をこなさなくてはいけなくてネ……ああ、安心して欲しイ。うちの商品はまず君のところが最優先ダ。ただ、他の南蛮商人の仲介は別だロ?」
サラリとファビオさんが口にした言葉。
それを耳にして、僕は自身の顔の表情が途端に引き締まる感覚を覚えた。
他の南蛮商人の仲介。
それはこの堺において、新たな南蛮商人が商いにやってくる可能性があるということを意味していた。
だからこそ、僕はすぐに一つの提案を口にする。
「それもできれば、我が今井をご贔屓にして頂ければありがたいのですが」
「ふふ、考えておくヨ。ともかくそんなわけで、娘の相手をしてあげることが出来ないんダ。とりあえず明日だけでもお願いできないかナ?」
これは娘のための言葉か、それとも商人としての駆け引きか。
人好きのするファビオさんの笑みの向こうに隠された真なる意図を、僕は正直計りかねた。
「そうですね。ではせっかくですので、宗易様のところにマリアの服の仕立てをお願いにでも行きましょうか。あの方は良い職人を押さえておられますので。ただ……」
「ただ?」
ファビオさんは僕に向かい、話の先を促してくる。
それを受けて僕は、先約の存在を口にした。
「実は明日は朝から、師匠のところへと参らねばなりません。ですので、午後からということになりますが、それでよろしければ」
「シショウ? シュウイチは何かを習っているの?」
僕の口にした言葉に引っかかりを覚えたマリアは、再び僕の袖を引きながらそう問いかけてくる。
「うん、少し前から剣を習っていてね。今日と明日の二日間は、師匠に朝稽古をつけて貰う約束をしていたんだ」
「体を鍛えるためかイ?」
「はは、まあそんなところです」
成長期をまだ迎えておらず、自分の見た目が中性的で華奢だという自覚はあった。それ故に、ファビオさんの少し意外そうな表情を目の当たりにして、苦笑を浮かべる。
すると、そんな僕らの会話を耳にして、隣に腰掛ける幼いレディは興奮気味に大きな声を上げた。
「剣の師匠……ソードマスター!? 私も会いたい!」
「師匠に? ……いや、あの僕のは遊びじゃなくてね」
困惑した表情を浮かべながら、僕は諭すように彼女に向かってそう告げる。
しかし、僕の目の前に座る彼女の父親は、変わらぬ笑みを浮かべたまま、娘に対して助け舟を出した。
「君のソードマスターは、マリアが来ると君を破門するような人かナ?」
「いえ、そんな方ではありませんが……」
あの御年にして未だ好奇心旺盛。
むしろマリアが来れば、喜びそうなところさえある。
だが、さすがにそう口にするのははばかられたため、僕は敢えて言葉を濁した。
一方、そんな僕の内心を知ってか知らずか、ファビオさんはまったく躊躇することなく話を進めて来る。
「ふふ、なら良いじゃないカ。そうだね、君は遊びじゃないんだから、娘を連れて行ってもらうのは申し訳ないナ。うちの与兵衛に君のシショウのところまでマリアを送り届けさせよウ。だから、君の鍛錬が終われば彼女の相手をしてやってくレ」
「はぁ……分かりました。それでよろしければ」
断りづらい適度な落とし所を用意して来るあたり、さすが歴戦の貿易商と言うべきだろうか。
僕は小さな溜め息を吐き出しながら、不承不承にその提案を受け入れざるをえなかった。
「フフ、やったね!」
「ああ、それでこそ私の将来の息子候補サ」
「いや、あのですね?」
マリアとほぼ時を同じくして、ファビオさんの口から紡がれた言葉。
それを耳にして、僕はすぐさま言葉を差し挟む。
だが、そんな僕の反応に対し、ファビオさんはむしろ意外そうな表情を浮かべてきた。
「おや、うちのマリアでは不満なのかイ?」
「不満とか、不満じゃないとかではなくてですね、その……」
僕は目の前の人物の真意が測れず、思わず口ごもる。
すると、隣りに座るマリアは、少しだけ涙を貯めたような瞳で僕の目を見つめてきた。
「シュウイチは私の事、嫌いなの?」
「そ、そんなことはないよ」
ずるい。
その表情は、そしてその目はずるい。
僕はそう思いながらも、どうにか取り繕うようにそれだけを口にする。
すると、目の前のオマセな少女は、思いがけぬことを口走った。
「だったら、良いじゃない。結婚しようよ!」
「いや、え? 今、なんて言ったの?」
「えっと、カザメント! マムの国の言葉ならマリッジだね」
間違いだと思われぬためか、わざわざポルトガル語と英語で、僕に向かって同じ言葉を繰り返す。
……待ってくれ。
いや、この時代においては、この年頃で妻を娶っていたり、結婚が決まっていること自体は不思議ではない。知識としては、僕ももちろん理解している。
だがそれは言葉として知っているだけだ。
ましてや、前世の年齢も加えれば、僕の精神年齢は君より遥か上なんだ。だから――
「はは、ムコ殿。まあゆっくり考えておいてくれたまエ」
混乱する僕の思考を遮るように発せられたファビオさんの言葉。
僕はそれを耳にして、頭を抱えずにはいられなかった。
毎日が騒がしく、賑やかで、そして希望に満ち溢れる。
もちろん時として思わぬことはやってくるけど、それは全て後で笑って話せることばかり。
まさに順風満帆。
仕事もうまくいき、そして着々と将来への準備を進める。
堺に来て、そんな素敵な時間が続きすぎていたから、僕は完全に忘れてしまっていた。
不幸が服を着て歩く男。
前世でそう呼ばれた僕の道が、まっすぐ伸びているはずがなく、時として幸福の中でこそ、深い落とし穴が突然現れるのだということを。
そして翌朝、事件は起こった。
目の前の元気あふれる少女、マリアが忽然とその姿を消したのである。
そう、まさに僕達の修行場へと向かおうとしたその道中で。
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