第4話旅館

次の朝、いつものように光龍を起こし朝食を食べながら


「あっ…光ちゃん!!来週な彌生ちゃんの旅館に行くから準備しとけよ!!俺は、色々と片付けなアカンのがあるから荷造りは自分でしいや!!」

「……ぉん。」

寝ぼけながら返事する光龍に少し不安を感じる。

 それから数日後…朝から剛好はバタバタと準備をしていた。


「光龍~!!早よ、ご飯食べやぁ~!!」





光龍は、剛好に無理やり起こされ不機嫌なうえ寝ぼけながらテーブルの朝食をジィーと見つめていたが…剛好の声でゆっくりと手を動かした。それから数時間、光龍は朝食を終え片付けを済ませ着替え終わると…いつものソファーで煙管を吸う。


「ちょ!!光ちゃん!!何のん気に吸ってんねん!!荷物は?」

「あぁ?あぁ~式神にやって貰って車にもう積んでる。」

「はぁ?式神に何させてんねん!!自分でやり!!もぉ~、しょーもない事で呼ぶな!あっ…あっちの戸締まりせな!!」


また、バタバタと行くと光龍は煙管を吸い出す。数分後、着替え終わった剛好がチェックしながらリビングに来ると


「……っよし…」

「ぅん?何?」

「まだ?」

「……あんな~、まだ?って失礼やで!!俺は、色々と戸締まりして準備してるのに!!君は、此処でそれ吸って…まだ?って!!」

「それなら言うてくれれば式神にバッとさせんのに?」

「だから…そんな事で呼んだら失礼でしょ!!ったくあなたは…ハァ~。準備は、出来ました!!ほな、行こう。」

「ぉん。」

剛好は…呆れながら玄関に向かう。それを確認した光龍は、ポケットから人型を取り出し呪文を唱えると…この前とは違う青年に変わった。綺麗な青い瞳と髪の美少年だ。


「お呼びでしょうか?光龍様。」

「青龍…数日の留守番頼むわ。」

「かしこまりました。お気をつけ行ってらっしゃいませ。」


青龍は、一礼をして見送った。光龍は、サッと剛好の所に行く。駐車場に着くと、真っ先に助手席に乗ると

「えぇ!!俺が運転なん!?」

「やって…お前俺が運転すると…横でうっさいやん!!」

「いやいや、それはアナタがスピード出すからでしょ?」

「そんなスピード出してないのにアーダコーダうっさいねん!!やから行きはお前が!!」

「……。」


呆れながら剛好は、仕方なく運転席に乗ると車を走らせる。

 数時間…やっとで旅館に着き駐車場に入る。そこには、彌生が待っていた。

「お疲れ様です。道大丈夫でしたか?」

「何とかな!」

「今日は…着物じゃなくてカジュアルな服何ですね!!」

「あぁ~、あれは制服やから!!あんなん着て歩いている人おらへんやろ~!!」

「えぇ!!制服だったんですか!!何だか…不思議です。」


私はそう言うと光龍をチラッと見る。改めて見ると細過ぎって言うぐらいスラッとしていた。


「何?」

「いえ…。」

「にしても…立派な旅館やね!!」

「いえ…とんでもないです。あっ…こんな所で長話してすみませんでした。今、荷物を運びますね!!」

「あっええよ!!荷物なんてそないないから運ぶ自分で!!」

「でも…」

「ええって!!ほい…光龍。」


剛好は、サッとボストンバックを光龍に1つ渡し自分はキャリーとボストンを持つ。


「ほな行こう。」


彌生は、少し戸惑いながら入り口に向かう。玄関には…綺麗な着物を着た女性が立っていて


「遠くまでありがとうございます。私、彌生の母の佐代理と申します。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。うわぁ~、彌生ちゃんってお母さん似なんやね!!めっちゃ綺麗やん!!」

「まぁ~お世辞がお上手で!!」

「いやいや、ほんまに!!なぁ…光龍!!」

「あ?あぁ…そうやな…。」

「はっ!!挨拶がまだでしたね!!神田剛好です。こっちが、神代光龍です。」

「…どうも…はじめまして。」

「剛好さんに光龍さんですね。こちらこそ、色々とお願いします。お部屋の案内は、彌生がしますので。本当は、私がしたいのですが…」

「そんな気にせんとください!!」

「本当にごめんなさいね。彌生、お願いね!!今から他のお客様のご案内しなくちゃいけないから。」

「うん。」

「それでは、失礼しますね。」

「じゃ、お部屋にご案内します。こちらです。」

「いやぁ~それにしても内装もザ・和やね‼」

「アハハ、古い旅館なので。私は、剛好さん達の館の方が凄いと思いますよ。」

「まぁ~あれは別もんや‼小物は俺の趣味で飾ってるし・・前は殺風景でどないしようかと思ったもん。」

「えっ?殺風景って?」

「う~ん。あの館は光龍家で俺は居候」

「えっ‼でも・・光龍さんのご両親」

「あぁ∽、あいつの親は今海外で暮らしる。まぁ~そもそもあの館は祖父母家であいつが受け継いだ感じ」

「へぇー、何かちょっと複雑ですね。」

「う~ん。どうなんやろ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る