生命の淵 (3)
すぐに、狭霧は腰掛けていた回廊から下りた。地面に素足をつけると、夏の花が咲き乱れる庭を横切って、高比古のもとへ駆け寄った。
気が抜けたふうに笑う高比古を見上げて、狭霧は眉をひそめて不安を口にした。
「高比古、口から血が出てる……」
「血?」
そういわれるので指で唇を探ると、ぴりとした痛みを感じた。それで、ようやく思い出した。土牢で石玖王に投げ飛ばされたことは、すでに遠い過去だった。
「ああ、さっき、壁に叩きつけられたから」
「壁に? どうして――。なにかあったの?」
顎をあげた狭霧は、高比古の目の奥を覗きこむようにじっと見上げた。
「用があるっていってたけど、その用がそれ? ……たいへんな役目だったの?」
平気? 大丈夫? あなたのことが、心配なの――。
狭霧の目の奥に高比古が見つけたのは、自分をいたわる想いだけで、ほかにはなにもなかった。
(ありがとう――)
脈がどくどくと音を立てるたびに、死にたい、死にたいという想いが強くなる。でも、もう怖くはなくて、むしろ口もとには笑みがこぼれた。
狭霧の目の奥をじっと覗きこむうちに、いつのまにか手が浮いていた。手のひらは狭霧の両肩に伸びて、ちょうど狭霧を自分の真正面に立たせるような格好になる。
肩を掴まれると、狭霧は一度目を大きく見開いた。でも、高比古の目の奥を覗こうとする懸命さが失われることはなかった。
「……どうかしたの? へんだよ」
ますます不安げに、狭霧は高比古をじっと見上げる。
その目と目を合わせていると、高比古はやはり微笑んだ。
「ああ、へんだよ。いやか」
「いやじゃ、ないけど」
「いやじゃないのかよ」
とつとつと答えられた後は、思わず吹き出した。
両肩を抱くようにして向かい合ったせいで、狭霧の顔には高比古の影が落ちていた。
天は少し暗くなってきていて、宵前のほのかな薄明かりが遮られると、狭霧の顔はすこし暗くなり、顔立ちが隠れてしまった。
でも、狭霧の顔がろくに見えなくても、高比古は気にならなかった。夢中になって覗いたのは、狭霧の目の奥だけだったからだ。
狭霧は、高比古が弱っているのに気づいて、心配していた。狭霧の小さな目の奥にあるものは、ぶれることなく高比古を向いていて、一心にいたわる澄んだ眼差しは、高比古の気を遠のかせた。
(同情、されてるのかな)
こうして捕まえていても狭霧が逃げないのは、自分が弱っていることに気づかれているからだろう。
誰かのいいなりになったり、人からかわいそうだと慰められたりするのが、高比古は何より嫌いだった。でも、いまは同情でもいいと思った。
まっすぐに自分を見つめる澄んだ目を覗きながら、すこしずつ顔を近づけていく。すると、狭霧は驚いたようにつぶやいた。
「高比古……」
でも、逃げなかった。ふしぎそうに目を細めはしたが、反応をたしかめるようにゆっくりと唇を落としていっても、顔をそむけようとはしなかった。
唇と唇が触れ合うと、身体のうちのほんのわずかな部分が触れただけだというのに、すべてが触れ合った気がした。
なんで逃げないんだ。そう問いたい想いと、同情でもいいから逃げるなという想いは、どちらも高比古の中にいた。
唇を離して、狭霧を胸に抱くと、きゅうに狭霧は暴れた。気まずそうにうつむいて身をよじると、手のひらで高比古の胸を押しやり、腕のなかから逃げようとした。
「ちょっと、なにを――」
でも、いまさら逃がそうとは思えなかった。
「なにが」
「なにがって……。放して」
「駄目だ」
ますます腕に力をこめて力ずくで抱きしめると、諦めたのか、狭霧の身体から力が抜けていく。その代わりに狭霧の声には、悲哀に似たものが混じり始めた。
「いったい今のはなんなの? からかったの? 妙な冗談をするなら、心依姫にしなさいよ。どうしてわたしに、突然――」
それには、むっとした。
「心依? 関係ない」
「関係ないって……」
「それに、突然? ちがうよ、突然じゃない。ずっと近くにいたのに、あんたが、おれから離れていくっていうから」
「ずっと近くに?」
一年の間、高比古と狭霧はほかの誰よりも近い場所にいた。阿多へいった時は寝食をともにしたし、出雲へ戻ってからも、なにかを話す相手が欲しいと思えば、まずお互いを探した。
「でも、こんなふうに触れ合うような仲じゃ――」
狭霧はそういったが、いい分を飲む気にはまったくなれなかった。
「そうかな」
「そうかなって……そうよ。高比古のことはとても大事で、あなたが笑うと嬉しくなるし、幸せになって欲しいって思ってるの。でも、こんなふうに触れ合う人じゃ……」
狭霧は当然の文句をいうように、厳しいいい方をした。
でも、それは高比古も同じだ。なぜいまさらそんなことをいわれるのかと、腹が立って仕方がなかった。
「それに、わたしは――」
「それに、あんたはなんだ。大和へいくか?」
しだいに高比古の顔も苛立ちで歪んで、声は尖っていった。どうしてもいい返したくて、睨むように狭霧を見下ろすと、責めた。
「あんたが大和に嫁いだら、それはそれでまずい。出雲は二分するかもしれない」
「それは、わたしがうまくやれば――。望んでそうするっていって、とうさまを説得できれば……」
狭霧がいうのは、混乱を避けるための一つの方法だった。揺れている出雲を、休戦という形でまとめるための――。
ちっ。高比古は舌打ちをした。
「なら、どうしてさっき、拒まなかったんだよ。おれだって、あんたがちゃんと拒めばこんな真似はしなかった。でも――あんたの心は、さっきおれを向いたろう?」
さっき、狭霧の目の奥を覗いてからというもの、高比古は、狭霧が嘘をいっているとしか思えなかった。
「さっきの一瞬、おれはあんたを全部掴めた気がしたのに、いまさら手放したら、おれはどうせ頭がおかしくなる。死にたくなる」
「でも――」
「おれは、あんたが好きだ。……好き? よくわからない。こんな想いを味わったのは初めてだから、どういえばいいのかわからない。ただ、あんたを出雲の外にやりたくない。
想いに突き動かされて腕が伸びて、狭霧の手首を掴むと、引き寄せた。
狭霧はびくりと震えたが、跳ねのけようと手に力が入ることはなく、されるがままに腕は引かれる。
「あんたがそばから消えると思うと、やっと覚えたなにかを失う気がして、怖くなって――。ものすごく、死にたくなる」
狭霧を捕まえたまま、高比古は呪文のように繰り返した。
「もういい。死にたい。死にたくてたまらない」
狭霧の目は潤んで、奇妙なものを見るように高比古の顔をじっと見上げた。
「ねえ、いったい、どうしたの? なにかあったの? 今日はずっとへんだよ。さっきだって、いまに終わりが来るとか――」
目もとに溢れた涙をぬぐって、狭霧は肩を細かく震わせた。
「死にたいって――そんなこと、いわないで。高比古がそんなことをいったら、わたしは心配になって、どこにもいけなくなる……」
いつかその庭には、狭霧のすすり泣きだけが響いた。
切ない泣き声と、頬のそばを吹きそよいでいく夏の夕風を感じてしばらくすると、高比古はようやく我に返った。
いったいなにをしていたのか。それを思い知ると、たまらなく焦った。
自分が自分で狭霧へ訴えた言葉にも、思い返すとぞっとした。
でも、混乱に任せて口走った言葉とはいえ、覆そうとは思えなかった。
それに、自分の中に、いつのまにか鋭い切れ味の新しい武具が生まれた気がしていた。実をいえば、それでこのまま狭霧を責め続けたかった。でも、ふいに胸に生まれた気味の悪い想いは、同じほどすばやく力を失っていく。
結局、目の前にあったのは、すすり泣く狭霧の姿だったのだから。
呆然と見下ろす高比古の前で、狭霧はぽろぽろと涙をこぼしていた。その涙につられて、高比古の腕からは力が抜けていった。
「悪かった――」
ぽつりというと、狭霧ははっと顔をあげた。
「妙な真似をして、悪かった。おれはいま、正気じゃない。でも、たぶん、どうにかしてあんたをそばに置きたいんだと思う。でも――」
ふう、と高比古はため息を吐いた。とても大人げない真似をしていたことに、ようやく気づいた気分だった。
「おれは、間抜けだな。あんたがはじめから、好きで大和へいこうと決めたわけじゃないってことくらい、知っていたのに。あんただって、悩んだうえでのことだろうに――。悪かった。本心だろうがそうでなかろうが、それがあんたの意思なら、もうなにもいわない。だから、拒むならちゃんと拒め」
「高比古――」
狭霧は、まっすぐに高比古を見上げていた。目は涙で潤んでいて、目の奥を探るような眼差しは、さっき高比古に通じ合ったと思わせた時と同じだった。
その目と目を合わせていると、もう一度抱き寄せたくなる。でも、伸びかけた腕をこれ以上は駄目だと叱りつけて、高比古は最後の問いをした。
「何日要る?」
「……何日って」
「頼むから、ちゃんとおれを拒め。三日か、七日か、十日か。せめて、それくらいにしてくれ。仕事が手に着かなくて、このまま続いたら、そのうち、おれはまたどこかへ飛ばされるから」
「あの――」
「それとも、いま、拒んでくれるか」
それなら、手っ取り早い。頭の熱がそれで冷めるなら、助かる。妙に死にたくてたまらない焦燥感も、そうすれば諦めて落ち着くだろう。
狭霧は頬を涙で上気させたまま眉をひそめて、高比古をじっと見上げていた。頬を伝った涙の雫は唇まで下りていたが、その赤い唇はこわばっていて、しばらく動きそうになかった。
がちがちにかたまった小さな唇を見下ろすと、高比古は苦笑した。
「いい、わかった。今度会ったら、拒んでくれ」
狭霧の顔は、途方に暮れているようだった。
(突然だったよな。悪かった――)
でも、やけに胸はすっとした。そうか、これまでのいらいらの理由はこういうことだったのかと、答えが見つかったことには安堵した。
狭霧に会う前と今では、胸の焦りのようなものが少し薄れていた。でも、形の見えない苛立ちの理由を得るのと引き換えに失ったものがあると気づくなり、息苦しくなった。
(こいつは、前ほどおれを信じなくなるだろうな。自分で、こういうことだとちゃんと気づけていれば、こいつに妙な真似をすることもなく、これまでどおりにいられたのに。……やってみないとわからないことって、あるものなんだな。おれは自分で、こいつに味あわせてもらった安堵を手放した)
そういえばそれは、いつからか高比古にあった不安だった。
この安堵は、いったいなんなんだろう。これは、いつまで続くんだろうか。
こいつは、このままおれを信じていくのかな。
裏切られたり、信じてもらえなくなったりする日が、いつか来るのかな。
それに、もし――もしも、こいつに触れたら? 手に入れたいと思うようになったら? 感じている些細な幸せは、膨らむのかな。それとも、すべて消えるのかな。
(新しいものを覚えるっていうのは、恐ろしいことなんだな。手に入れた瞬間に、失った時のことを考えて、脅えるんだ。おれはたぶん、あの時から脅え始めていたんだ)
ゆっくりと、高比古は息を吐く。
目の前では、狭霧が立ちつくしている。ぼろぼろと涙をこぼして、逃げるように立ち去ろうとする高比古をじっと見つめている。狭霧がしている訝しげな表情は、高比古にとって初めて見るものだった。
(また、変わった。これで、終わった――。悪かった)
「妙な真似をして、悪かった」
居心地が悪くて、苦笑した。最後に謝ると、高比古は踏ん切りをつけるようにして狭霧に背を向ける。
足を浮かせて、行く手を見据えると、暗くなりゆく小さな庭を後にした。
ねぐらへ戻り始めたのか、大路や本宮にいた下男たちの姿は見えなくなっていた。
人の気配のしない夕暮れ時の景色はからっぽで、目の前に、彩りがほとんどない無味な世界が広がって見えるのは、やけにいまの気分に馴染んだ。
(寂しい、っていうのかな)
広い世界にたった一人きりになってしまったような、奇妙な孤独を感じた。でも、笑ってしまった。今のような状態はそれほど嫌いではなかったし、むしろ、慣れた場所に戻れた気がして、ほっとしていた。少なくとも、これまで自分を支配していた不気味なものに自分から蹴りをつけてきたことには、悔やんでいなかった。
(叶うことのない望みなら捨てるべきだし、おれはたぶん、今みたいな乾いた感じが、嫌いじゃない)
胸に生まれたと思った潤いは、さっきの出来事の間に跡形もなく消え去ってしまった。でも、もともとその潤いを、高比古は凶暴で扱いにくい濁流のようなものだと気味悪く感じていた。早く捨て去ってしまいたいとも。
(これで、いいんだ。これでおれも、出雲で生きる覚悟がついた。ほかに欲しいものはとくにないし。恋、か……。人の想いっていうのは、やっぱり、よくわからないものだな)
ぽつりと思って、すうと息を吐く。そして、背後に遠ざかった狭霧を想った。
(悪かったよ。でも、あんたはさっき、おれを向いたよな)
それから、諦めるようなため息が唇から出ていった。
(――それだけで、いいか)
でも、東の宮の庭を出て本宮の庭に入り、大路を目指そうと、泉から続く小川のそばを通っていた時。高比古の周りにあった世界は一変した。
味気ない暮れ時の景色の中をぼんやりと歩く高比古の後ろから、勢いよく駆けてくる気配があった。
「高比古! 待って、高比古」
狭霧だった。振り返った高比古の胴に飛びつくようにして、狭霧は両腕を高比古の背中に回して、思い切りよく抱きついた。
すすり泣くような寂しげな様子は消えていて、むしろ狭霧は、責め立てるように泣きじゃくった。
「高比古がいっちゃってから、ものすごく怖くなって――。せっかく高比古がこっちを向いてくれたのに、あなたがこの後、心変わりするかもと思ったら、怖くて――!」
狭霧を抱きとめた瞬間、高比古は息の仕方を忘れた。
息を止めたままで、ありったけの力で華奢な背中を抱き返した。
高比古の腕の中で、狭霧も力ずくでしがみつくように、高比古の背中を抱きしめた。
「高比古のことは好きだったけど、こんなふうじゃなかったの。もっと静かで、あなたが幸せになりますようにって、そんなふうにしか思わなかったの。でも、高比古がこっちを向いてくれたのに、遠ざかると思ったら、きゅうに怖くて仕方なくなって――!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、狭霧は怖い、怖いと繰り返した。
「なんなんだろうね、今、わたしたち、おかしいよ? 時をおけば落ちつくかもしれないよ。だったらそれを待てばいいのに、待てない、怖くて――!」
狭霧がいっていることは、めちゃくちゃだった。でも、高比古はすっと意味を理解した。伝わってくる狭霧の想いと同じものを味わっていると思った。
「時をおく? わからない。あんたに触れているのに――今は、落ちつくのが怖い。熱に浮かされていないと、怖いよ」
冷静なふりをして目をそむけて、胸の内に起きた嵐のようなものを無視するのが、今はなにより恐ろしかった。そんなことをしてしまえば、死人と同じものになってしまう、とも――。
「どうしよう、怖い。なんにも考えられない。頭では駄目だと、わかっているのに」
力の限りしがみつきながら、狭霧は高比古の胸元で叫ぶようにいった。
「生きたい、もっと生きたい――。やりたいことなら、まだたくさんあるの。本当は出雲にいたいの。本当は、大和に……あの人のそばにいきたくないの。生まれがどうだからって諦めるのは、本当はいやなの――!」
「生きたい? ごめん、おれは、死にたいんだ。すぐにでも死にたい」
「そんなこと、いわないで……」
互いに抱きしめ合って本音を吐くと、狭霧は再びすすり泣くようにして、高比古を咎めた。
それから、高比古は狭霧の手を引いて東の宮の庭へ戻り、そこから館へ入った。
夜が忍び寄っていて、あたりには薄闇が立ち込めている。屋根の下はとくに薄暗くて、手を取り合って大国主の姫の寝所へ若い青年が入っていくのを、侍女に見咎められることはなかった。
その後に起きたことは、神聖な儀式か儀礼のようだった。はじめから心と心がつながっていたからか、あとからついてくる静かなものだった。
狭霧の肌にくちづけながら、高比古はそこでも、ことあるごとにつぶやいた。
「死にたい。もういい――」
「そんなこといわないで。お願いだから……」
そのたびに狭霧は咎めて、高比古の首に両腕を回して、抱きしめ続けた。
まるで、心がそう決めてしまったせいでしなければいけなくなったことを、夢中でこなすようだった。高比古は狭霧を力ずくで抱きしめて、狭霧も拒むことはなかった。
高比古の身体の下で身をゆだねていた狭霧が、火照った唇から悲鳴めいた吐息を漏らして、それから、ふうと息を整えた、次の瞬間。狭霧は、はっと目をあけて真上にある高比古の顔を見上げた。
仕草は、しまったといわんばかりで、熱に浮かされた自分自身を責めるようだった。
狭霧は、出雲の姫になろうとしていた。どれだけ重い責をともなうことでも、出雲の姫として、自分の血筋や身の上を生かせる道を選ぼうと、来るべき日が来れば敵国へ嫁ぐ覚悟をしていた。
でも、高比古にこうして奪われてしまえば、それは難しくなる。
赤く上気した頬からは見る見るうちに血の気が引いていって、寝所の暗がりの中でもそうとわかるほど、青ざめた。でも、しだいに顔のこわばりは溶けていって、狭霧はぽかんと唇をあけて高比古を見上げた。
その時、高比古が泣いていたからだ。
高比古は、微笑みながら頬に涙の筋を落としていた。
そして、高比古が満足げにつぶやくのを聞くと、狭霧の表情はまたこわばった。
「これでおれは、死んだ」
「死んだ? 待って。わたしは出雲で生きたいと思って、あなたと結ばれたの。なのに――」
「おれは、全部捨ててもいいと思ってあんたを抱いた。だって」
狭霧を真上から見つめながら、高比古はくしゃりと頬になだらかな丘をつくって、幸せな笑みを浮かべた。
「これでもう、いつ殺されてもいい。おれはすべてと引き換えに、あんたを手に入れた。人っていうのはこういうものだと、やっと覚えた」
「高比古……?」
狭霧の顔が、それまでとはちがったふうに青ざめていった。深刻そうに翳っていく表情は、高比古がなにを考えているのかを見切っていた。
「いつ殺されてもって――」
「いま、やっと全部つながった。……あんたのとうさまだよ」
高比古は、微笑した。
「しばらく、死にたくてたまらなかった。そうすれば、ずっと知りたかったことがわかる気がして――。生きるっていうのは、どんなことなのか。おれをここに……この世に繋ぎとめるものは、なんなのか――。それと……あんたと引き換えに殺されるなら、本望だ。おれはこれで、ようやくちゃんと生きた」
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