『ダンテの不思議な旅』2亡者となった魔女


  ~亡者の河を渡る時は気を付けろ~


〇第一の門の前

 青い一本角の下級鬼♂たちが 二本角の赤鬼♀達の号令で、魂たちに整理券を配っている



獄眼(ゴクメ)「さあ霊さんたちはあっちで霊鬼さんたちから整理券を


 受け取ってください」


黄泉号の上


ダンテ「へーえ随分込み合っているんだな」


ミーナ「うーんここ最近 死者に善人たちが増え続けているからな」


  ダンテの率直な意見を、うんざりと言う表情で返すミーナ


ダンテ「へッ善人?悪人ならわかるけど」


ミーナ「間違いじゃー無いよ、残念だけど」


ダンテ「そっそうか、でも何で善人なんだ 悪人ならわかるけど」


ミーナ「だからーその悪人に騙されて自殺した人や殺された人 事故に見せかけて


 殺害された人、そう言った人達で一杯なの」


チンコロリ「シナナイコロ(本当の悪人は中々死なないなり)」


ダンテ「そっ、そうなのか」


ミーナ「うん、それじゃあ善人と悪人の魂のバランスが合わないって言うんで


 近いうちに何か大きなことが起こると言われているんだ」


ダンテ「大きなことって?」


アナウンス「え~コキュート山行き デス・サタン号、間もなく444ホームより


 発射いたします、お乗りの方はお早めにねがいます。」


  ミーナが言いかけた大きなこととは 全ての邪悪なるもの達が聖なるもの達と


  戦う石ノ森(ヒーロー)大戦の事であったが、その事はアナウンスに遮られ


  効きそびれたのだった。


◇第一の門


 黄金の 門の前にはボボナンと言うヤギの化け物がいて亡者の口の中に


 管を差し込み罪を査定する 体が白と光れば善人、黄色なら中悪で


 彼等は第2の門に送られジジゼラヴィー(霊仙人)の元に送られ魂の導きを


 受けると言うだが黒色と出たら最下層に送られると言う、ミーナたちは第1門の


 中央にある亡者の河停留所前で2人のおかしな(一人は頭がロケットのように


 尖がったトンガ族、もう一人は目が136もある煩悩族のイサム仙人)人たちを乗せる


ミーナ「じゃー出発するぜ」


  と言って再び櫂で船を漕ぐミーナ しばらくこいでいると河の中から


 『~助けてくれ―え、助けてくれ~』と言う不気味な声が聞こえてきた


 そして四方から河童のような手が出て船を『ユッサユッサ』と揺らし始める


ダンテ「うわー落ちる、やめろぉ」


  ダンテの必死の叫び声に「しっかりしがみついとる事じゃ」と冷静な煩悩族


ミーナ「その通りだぜダンテさん、ここで落ちれば亡者となって一生無限地獄を


  さまようことになるよ」


ダンテ「そっ、それは御免だ」


  そう言ってと必死でしがみつくダンテ


  空からはナマクビ(死面鳥)が大群で襲ってきて ミーナの胸や尻などに


  纏わりつき舐め始めた


ミーナ「いいかげんにしろよ、お前ら変態か」


亡者1「ゲゲゲゲゲェ、グェグェグェ」


『ザザーン・ドドド』と揺れる船内


ミーナ「だめだ、このままでは転覆する」


 「痛い痛い、痛いがな」

  とトンガ族

ダンテ「イサム仙人、何とかなりませんかぁ」

イサム仙人「えーいうろたえるな人間、わしの136の目は既に見抜いておる、これは魔女ヨーライが

 仕掛けた事だと」

ダンテ「あの仙人様 ヨーライだか酔っ払いだか知りませんが 仙人様の力で何とかしてください」

イサム仙人「うーむ分かったわが法術見るが良い チンコロフンの方 右にフンフン

左にフンフン 頭の中をラリルレロォ」

 下半身からタコのような棒を右に左に、振り回す仙人

 キーン

 だが死面鳥はますます、盛んに攻撃を仕掛けてくる

ダンテ「全然、聞いてないじゃあないですか」

イサム仙人「ムムムっやはり敵は魔女ヨーライ 強いやつだ 侮れん 馬鹿将軍(バッカしょうぐん)の法を

 使うしかあるまい」

ダンテ「その法術大丈夫なんですか」

イサム仙人「バッカもん、馬鹿将軍(バっカしょうぐん)は」無敵の法術じゃ、ただ呼び出すのに

 ほんの30時間ほどかかる」

ダンテ「そんなに持ちませんよ」



〇上空


 鷲の翼を羽ばたかせた地獄の魔女ヨーライが船を見つめる


ヨーライ「良いか死面鳥立ち、ダンテを決して魔王様に近づけてはならんぞ」


 『キィーイ、キィ―イ』


 と吠える死面鳥たち

 キーン

 死面鳥たちはチームで猛効攻撃を仕掛ける

 チューン チューン チューン

 ユッサ ユッサ ユッサ

 船はますます揺れる

モーモ「キェー」

 モーモも応援に駆け付け、超音波でナマクビ達を次々と川へ落とす

ヨーライ「はーいみなさーん、あたいが地獄で一番かわいいヨーライちゃんどぇ~す」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ダブル裏ピースでアピールするも全員知らないふりをする

ヨーライ「おっオノレー無視するとは勇気ある・・・」

ミーナ「ラグナ・フレーク」

 ビューン

  ミーナの弓矢がヨーライの右目をかすめる

ヨーライ「おーおオノレーい、だが見習い天使でまだ片翼である貴様では ここまで飛べまい」

ダンテ「ミーナお前見習い天使だったのか?」

チンコロリ「ダメコロリ(駄目だよミーナ、奴の挑発にに乗っちゃあ)」

ミーナ「片翼でも・・・飛べるさ 」

 バサッバサッバサッ

ミーナ「僕の思い受け取るがいい シルクレッド・ソード 覚悟ヨーライ」

ヨーライ「片翼だけでどこまでついてこれるかな」

〇上空

 カーン カーン カーン 

  ヨーライとの戦いは霊山、足軽山 獄門神殿など主だった観光地上空で行われた

ミーナ「ハァー、ハァー、ハァーてめえどう言うつもりだ 観光地ばっか巡りやがって、修学旅行じゃねーぞ」

ヨーライ「それはもちろん、お前を疲れされるためさ 」

  空中胸4の字をヨーライに仕掛けながら言うミーナ

ヨーライ「あっああああ~ン、ああああ でっデスファイアー」

ミーナ「うわああああ」

 ダ―ン

 デスファイヤーが直撃し、ミーナが亡者の河に落下する

ダンテ「あっミーナが川に落ちる、イサム仙人様ァ、何とかしてください」

イサム仙人「よかろう任せられよ、フワフープ」

 ブワーァ

 川に落ちる寸前風が起こり、ミーナをヨミ号へ運んでくる

ダンテ「すっ凄いじゃあありませんか 仙人様」

イサム仙人「ウム、わしが昔ナンパした風神族から教わった技じゃ ほかにも 風の谷でスケこました

 ウマシカ王女から手に入れた おバカ48手とかとかもあるけど見るかのォ」

ダンテ「いりません、それよりこの状況を何とかしないと」



チンコロリ「チンコロ・ポー(ミーナ、笛を吹くなり)」


ミーナ「そっそうだった、それ忘れてた」


  ミーナは、たて笛を吹き始める、


ミーナ「ワン・ツー・スリー・フォー♪』♪♪♪♪♪♪


  すると不思議なことが起こった、ナマクビ~達が次々と墜落し始めたのだ


ヨーライ「なっ、何だこの異様なメロディハ今にも体が砕けそうだ


  ・・・ハァハァハァ


  キエーェ


 ポット―ン、ポット―ン


 そのメロディを聞いた途端 意識を失い、亡者の池に次々に落下する死面鳥たち


 もちろん岩陰から指揮していた魔女ヨ―ライも例外ではない」


ヨーライ「うわあああああ・・・なんじゃこの 不快な雑音は ギぇーぇもーうだめだこっこりゃたまらん

 いったん撤退じゃあアアアアアアアアアアアアア」


  いち早く撤退を決め込んだ魔女だったが、耐えついに川に落下する


 『ドッボーン』

  キーン、キーン

 魔女の落下に前後して死面鳥たちも次々と川にダイブする



 亡者の河はたとえ何者であっても その物を支配すると言う


 今後魔女は亡者の魂に食い尽くされるのである


ヨーライ「ギェーェたっ、助けてくれ~」


 魔女は叫んだがその声はやがて 段々聞こえなくなった


 こうして危機を脱した一同であったがこちらは「なんて素敵な音楽なんだ」


 と停留所で乗り込んだ2人がノリノリで呟いた、ダンテ達の脳裏には


 真っ白な鳥が見えていた


ダンテ「なんて心地よいんだ 、素晴らしいミュージックが


 頭の中にガンガン溢れてくるぜ」


 ダンテは聖戦続きだった今までの自分を振り返り


ダンテ「こんな気分になれるって、俺はまだツイテいるかな」


  少し幸せ気分に浸るダンテ


ミーナ「これは『音激波』と言ってこの音波を受けた者の心が霞んでいると


 不快に聞こえ逆にその物の心が清らか(空=そら)ならば 


心地よく(真っ白い鳥が舞う)聞こえるんだ」


 Ilove~♪


 あっちゃんがメッチャ可愛いんだよねと呟きながら説明するミーナ


 トンガと煩悩族の2人はここで下してダンテとミーナは引き続き旅を


  続ける

イサム仙人「では諸君、また会う日まで、ババンバ、バンバンバン歯ぁ磨けよババンバ、バンバンバン

 また来週」

 と、去っていく仙人

モーモ「さてとおいらも行くとするか」

  キーン

 南の方に飛んでいくモーモ

~その後ろでは無数の亡者達がヨ―ライに纏わりつき精気を吸いつくしていた


 あるものは魔女の両足を抱え下半身に 同化させていた


 『バコッ、バコッ、バコッ、』


ヨーライ「ヒィーヒ―ィー~たすけて~あ・あっ、亡者様ああああ


・・・もっと ください~お・ね・が・い~」


 魔女の色っぽい声が一面に漂うのだった   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る