最終章 迫り来る、悪魔

(4)ノアの方舟』

〇夢

  『カタッカタッカタッ』

   コースターはレールを上がって行く下 からはマサヒコが手を振っていた

マサヒコ「お姉ちゃんたち」

みなみ「うわー、凄いねえ優子」

優子「きゃーあ、いま話しかけないでよ」

  ジェット・コースターはひと回りして スタート地点に帰ってくる

みなみ「面白かったねえ優子」

優子「こっちはまだ膝がガクガクしてるよ」

マサヒコ「どう2人とも、面白かったでしょう」

みなみ「そうだね、今度はマサヒコくんも

 一緒に乗ろうよ・ん・・マサヒコくん」

   マサヒコの方に目をやる二人

   周辺の景色がボヤケル

マサヒコ「どうしたの・オネ・エチャン達」

   その顔が突然、蜘蛛に変わり、髪の

   毛は蛇に変わった

みなみ、優子「ギャーぁ」

   急に雷が落ちた用な悲鳴を上げる二人     

〇深夜 1時

同・蜥蜴荘48号室

玉子「こりゃー、お前たち この夜中に何騒いどる とっとと寝るがや」

   下宿している大家の玉井玉子(57) 

   ブツクサと独り言を言いながら部屋をて行く玉子

住人1『そうだ、そうだ』

住人2『どうせまた、芋虫でも出たんだろ』

   周囲の下宿人達の声が響く

みなみ、優子「しー(すい)ません」

   ひたすら謝る、みなみと優子

優子「それにしても、今の夢はなんだったんだろう」

みなみ「そっ、そだね」

   同じ夢を見た事に気づかずに、汗を拭う2人

〇衛星RIVER  

   宇宙図を見ていた敦子が、何かを発見する

敦子「チーフ、あれは何でしょう」

真夏「何だ敦子、今度は玉葱でも飛んでいるのか」

   マジメな顔で茶化す,真夏

真夏「むっ、これは」

   宇宙図を見た真夏、表情を一変させる

山里「チーフどうかしましたか」

真夏「これは、俺の推測どうりだとすればユダに違いない」

敦子、山里「はっ、ユダって」

   同時に叫ぶ山里と敦子

真夏「昔、アトランティスを滅ぼしたといわれる伝説の破壊神だ」

敦子「アトランティスって、そんな化け物が存在するとはとても信じられません」

真夏「だがこの航跡はユダ以外には考えられない、デルクラル神話によると

 かつての金星文明さえも滅んだと言う」

   昔宇宙飛行士だった恩師、立花玄史朗から聞いた悪魔の話をする、真夏

敦子「ならば、どうしたら良いのでしょう」

真夏「どうにもならんさ、2人ともこれを見ろ」

山里「こっ、これは」

敦子「星が消えている」

真夏「そのとおりだ、やつが羽を羽ばたかせただけで あるいは咆哮しただけで 

 周囲の星々が消えている やつが銀河系に近づくにしたがって 被害は拡大

 するだろう、やがてここも影響を受けることになる」

山里「そんなあ」

真夏「みんな、聞いてくれ今日限りRIVERは解散する それぞれ地球に

 帰るように死ぬときは家族と一緒に死にたいだろみんな元気でなって言うのも

 変かな、何せ地球その物が無くなろうとしているのだから」

山里「僕は、あっちゃんと一緒にいる」

敦子「ありがとう良太、でもとても結婚式は挙げられそうもないわね」

   全員黙りこむ

山里「真夏チーフ 自分は今までチーフと仕事することが出来て幸せでした、今まで

 本当にありがとうございました」

敦子「私も今までやってこれたのはチーフのおかげです」

真夏「おいおい、二人ともそんなにおだてて 

 も結婚祝いはやらんぞ」

   最後に満面の笑みを見せる真夏

山里「そっ、そんなんじゃーないですよ」

真夏「俺は今までお前らと仕事が出来た事を誇りに思う もし生まれ変わることが

 出来たとしても再び諸君らと仕事がしたいと思っている この事をASKに

 緊急連絡それをもってRIVERは終了する以上だ」

全員「真夏参謀、今までありがとうございました」

山里「全員、真夏チーフに敬礼」

   長い沈黙が流れる

真夏「解散」

   RIVERの職員一同拍手

T『数年後、北アイルランドが地震のため消失したそれをきっかけとして各地に

 天変地異が巻き起こった、またユダの襲来は多くの流星雨を生んだ、それらが

 一早く地球に衝突すれば放射能等の影響により人類はその3分の2が失われる

 仮に生き残ったとしてもユダの到来により地球その物が砕け散るのである

 地球は今猛烈な勢いで滅亡に向かっていた』

〇西暦200Ⅹ年旧東京エリア

紅井小春「地球が滅びるよぅみんなみんなんじゃえばいいんだ

 あっはっはっはっはっはっはヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ」

   ボロっちい着物を羽織って虚ろな目をして人々を先導して歩く小春、人々は

 泥水をすすり食料等を求めて殺人や強奪を繰り返していた

〇旧公園通り(廃墟)

 七海「誰か・たっ助けてください」

男性1「ほれほれ 早く逃げないと追いついちまうぞ」

   昔公園通りと呼ばれた 瓦礫の道を少女が駆け抜けていく、その後を

   5,6人の男達が追っていた

七海「お姉ちゃん助けてよーゥ」

   七海は手探りで古い倉庫に逃げ込む、しかし 男たちが直ぐに発見する

   5、6分が経過する

同・倉庫内

七海「あっあっああぁーんぉじ・んイイ」

男性「ヒッヒッヒィ、なかなか良かったぜねえちゃん」

   そう言って 七海のお尻をポンポンと叩くと男性は立ち去って行き

   他の男たちもその男性の後を追って行く、地面には男達に乱暴をうけた

   少女が顔を布で覆い倒れていた、かつて盲目のシンガーと騒がれた

   七海だった。

七海「浅海ねえちゃん、もうだめだよ こんなになっちゃー世の中おしまいだよ」

   乱暴した男性の一人はいつか頑張れよって声をかけてくれたあのおじさん

   だった、しかし七海はギターを手探りで

   探し始める そして唄いだす

七海「何もかも・・忘れたくて逃げ出した事もある・・」

   突然 弦が『プッッン』と切れる

七海「こんなギターなんか・・ギターなんか 何の役にも立たないじゃない・・」

   涙ながらにギターを振り上げる七海

   思い切り地面に叩きつける

   『バーン』

   『パチーン』

   その衝撃で、残りの弦も全部切れる

麻美の声「負けちゃだめだよ」

   その時ふいに七海の耳に亡くなった姉の最後の声が聞こえて来る

麻美「お姉ちゃんの果たせなかった夢は七海が叶えるんだよ、この先 

 どんなに意地悪されても お姉ちゃんは守ってあげられそうも無い

 でも七海なら どんな事でも乗り越えられるって信じている

 だって七海は強い子、お姉ちゃんの一番のじ・まんだもの 負けないで七海」

七海「ハッ今のはお姉ちゃんの声、お姉ちゃん負けるなって言ってくれた。」

  七海は思い直し、手探りでギターを探した

七海「浅海姉ちゃん私負けないよ諦めないよ歌手の夢も、こんな世の中さえも」

   七海は弦が切れたギターで唄い始める

七海「たとえ世の中が 終わる事があっても、未来(あした)を信じ唄うー

 希望の歌を♪」

   ボロボロの服で唄う七海の唄は、失いかけた自信へのエールでもあった。

N『ユダが引き起こした災害によって地球の人口はわずか三分の二に

 まで落ち込んでいた、政府は災害で家を失った人たちのために残ったASK本部 や支部などを国民たちのために開放していたのだが それでもその数は圧倒的に

 足りなかった』

〇希望の家、世田谷本部内 朝

   首都東京も相次ぐ震災によってかつての活気を失っていた

エリカ「ともみ、各エリアに割り当てられている食糧は限られている

  節約しないと」

ともみ「困ったねえ、まあ当分あれで我慢してもらうか」

エリカ「あれねえ、私たちは良いけどみんな特に、市民たちがね」

   避難所対策を話し合う、沢乃とともみ

同・家の前

   そこにたくさんの豆腐をリヤカに積んでマサヒコ親子がやってくる

マサヒコ「こんな時の為に備蓄して置いた豆腐でもたんとくっておくれ」

藤兵衛「備蓄っておまえ、単に売れ残っただけじゃーねーか」

リツ「おまえさんそれはいいっこなし」

   もう一台リヤカを引いて、母もやってくる

ともみ「わあ、マサヒコくんいつも助かるわぁ」

聖子「けっ、そんなに毎日豆腐ばっかり食え

 ないわよ 私はセレブなんだから」

   ブーブー文句を言う、元セレブ浜崎聖子(31)

ともみ「えーやわらかい豆腐はお年寄りに率先して上げてください」

聖子「んじゃー、あたいたちは何に食べるのよ ひょっとしてまた

 ゴキブリの蒸したの 食べろって言うんじゃー」

真理子「正解、でも今回は意外と行けるよ 

 でもいらないんならあんたの分は他の子供たちにあげるよ」

浜崎聖子「それは、尺だから頂くわ」

   プライドを捨て、渋々食べる聖子

浜崎聖子「あらっ、意外とイケルじゃない」

みなみ「でしょう」

優子「優子なんかもう3つ目だよ」

風見「調理法に工夫がありまんのや何やったら希望者には、鼠の蒸し焼きも

 有るで」 

   嬉しそうに言う、風見

優子「ゴキブリも意外と、慣れる物だねぇ」

   『ケッ』ネズミやゴキブリを食ってりゃー世話ねーや

   周囲でふてくされる、若者たち

みなみ「まあまあまあ」

   昔、夜店で買ったヒョットコのお面で

   おどけるみなみ

   『ハハハハハ』

   その奇妙な蛸踊りに、大笑いする人々

N『それは東京がこんな状況になって以来人々が見せた初めての笑い声だった

  環境の変化は人々から笑いを奪っていった』

エリカ「えーみなさん聞いて下さい、今日から電力節減の為、目を少しずつ

 暗闇に慣らしていきますので、ご協力お願いします」

聖子「ちっ、こんなんだったら、私も地下に非難するんだった」

   と、訴える聖子

真理子「残念だけど 地下に非難した人達は限られた食料を求めて殺人や暴動など

 凄い事になっているの、将来を悲観しての自殺者もかなりの数に上ってるって

 本能さんや一文字さんが苦悶の表情でそう語っていたの、これでも地上の方が

 まだ安全なんだよ」

   真理子の演説に『チビチビー』と亀

N『地球が滅びるかもしれないと言う人々の不安が世界中で最悪の結果を

 もたらしていた、おそらく死亡者だけでゆうに天文学的な数字になるに

 違いない 今や世界中で絶望と言う名の悪魔が蔓延していた」

   『なんとかならないのかよ』

   と、再び若者達

ともみ「何とかなるわよ皆が力を合わせればきっと何とかなるよ

 私はそう信じてる」

聖子「それはあなた達、ASKの勝手な妄想でしょ、こうなったらもうどうしよう

 もないじゃない 親や友達や親友だってみんな死んじゃったんだよ、もうウンザリ

 なんだよあんた達ASKの奇麗事にはさ」

真理子「聖子さんあなたの気持ちは痛いほど分かる だって私たちみんな

 同じ立場なんだよ、今力合わせないでいつ合わせるんだよ

『たとえ、どんな世界になっても夢を持ち続けるのと諦めるのとでは違うんやで』

 って亡くなった親友が、裕ちゃんがいつもそう言ってくれていたんだ

 だから私も何があっても絶対諦めない事にした裕ちゃんや浜の仲間達に

 そう誓ったんだ」

   自分に言い聞かせる用に語る真理子

マサヒコ「真理子お姉ちゃん」

   熱の入った真理子の演説に拍手するASKの仲間たち、外は相変わらず

   薄黒い雲で覆われていた

〇夕方5時、樹木の下

若者「終わりだ、もう人類はおしまいだ」

   自暴自棄になった者達が騒ぐ

玲子「大の大人が情けない事を言うもんじゃない、私がここに来た時は

 この辺はまだ何も無い焼け野原じゃったそれを無くなった主人や仲間達とで

 ここまでにしていったんじゃ、それをこの位の事で負けてたまるもんか

 人類の歴史はまだ終わっとらんぞ」

   数々の災害を逃れた樹木の下で叫ぶ老婆叶玲子(71)

若者「ふん、なんだかんだ言っても俺達にはもう 未来なんてないのさハハハ」

   玲子の言葉をあざ笑う者達

ノア「ううん、終わりじゃあないよまだ唄があるじゃない歌は楽しい時だけ

 歌うんじゃなくて 悲しい今こそ歌うもんだよ」

   沢乃と弥樹の子ノア(5) 大人たちの前に進み出て歌いだす

〇希望の翼(うた)

 「何もかも忘れたくて逃げ出した事もある、自分と言う存在を否定して

  親や世間に反発して生きてきた 自由ってやつに 少し憧れてたの

  暗い瞳をして部屋に閉じこもっていた 少女の夢を見た・・それが今の

  私だったの ノリル人は誰も弱虫なんだよ、でも何かと 戦いながら みんな

  必死で生きてる もし君がこの世界に安らぎを求めるなら 君の心は愛情で

  満たされるだろ」

   みなみ、優子、真理子の3人が手足でリズムを取りながら木影から出てくる

真理子「ねえ、ノアちゃんと一緒に皆で歌わない、 また明日が来ることを

 願っねさ」

みなみ「そうだよ、みんなで歌おうよ」

優子 「いくよ、それっ3・2・1ハイ」

 「怒り、悲しみ、裏切り、憎しみ、出会い、別れ、希望、絶望、生き詰まった

 この世界はまるで孤独なピエロの様だね、もしも世の中が終わることがあっても

 未来を信じ、唄う希望の歌を♪」

 途中から七海もギターで加わる、その顔は希望に満ち溢れていた。

*ルルルールル ルールルールルルー ルルルールルルー ルルルルー、ルルルールル―

   全員肩を組み唄い続ける

*繰り返し

ノア「世界が平和でありますように、人々が安心して暮らせますように!」

   ノアと七海が、手話でみんなに伝える

   『パチパチパチ』

   拍手喝采をする人々

立花「いい歌だな、わしがまだ希望を持っていた若い日の事を思い出したよ」

   そう言って涙する,玄史朗

伽麻「そうよ、こんな事くらいで挫けちゃーいけないんだって、改めて

 この小さいお嬢ちゃんから教えられた気がするわ」

   ノアを抱きしめながら言う芸術評論家、柏原伽麻(かま)57

N『最初はためらっていた人達もいつしか少女の歌に合わせて唄って

 いたのだった、少女の歌は 絶望し全てを諦めていた者達にとっては

  文字通り救いの船、ノアの箱舟になった』

エピローグ『明日への戦い』

〇翌朝

同・防波堤跡

   防波堤に立ち尽くすマサヒコを、探しにきたみなみと優子が声をかける

みなみ「マサヒコくん、見つけた」

マサヒコ「あっお姉ちゃんたち」

   マサヒコ振り返って少しだけ微笑む

優子「こんな所で何していたの」

マサヒコ「人類はもう終しまいなの、僕たちもう誰も生き残れないの」

   真剣な目で訴えるマサヒコ

みなみ「そんな事無いと思うよ私はもう一度

 皆の笑顔を見るのが夢だもの、『夢は諦めなければきっと叶うって』

 子供の頃に読んだ童話の本にそう書いてあったから 私も、それを

 信じているんだ」

優子「ねえマサヒコくん、私たち一番最初に友達になったんだよね」

マサヒコ「うん、そうだけど」

みなみ「もしももしもだけどさ、夢が一つだけ叶うとして私達がそれを

 叶えてあげられるとしたら、マサヒコくんは何を望む」

マサヒコ「決まってらぁ、もう一度みんなで笑い会えるそんな当たり前の

 世界だよ」

優子「・・なら叶うよ」

みなみ 「ううん、叶えてみせる」

   言葉を噛み締めながら言う、みなみと

   優子

マサヒコ「お姉ちゃん・達」

  小さく呟くマサヒコ

みなみ「私きっと守ってみせる、この星を宇宙を悪の手から」

   決意を新たにする2人

N『はたして世界は救われるのか、コスプレ仮面とASKは果たしてユダに

 勝てるのかみなみと優子の2人は勝ち目の無い戦いを決意していた、かけがえの 無い友達の夢を人々の笑顔を取り戻す為に』

〇洞穴 

   洞窟の中で女性が二人、作業を進めていた

   『ピッ・ポッ・パッ・ポッ・パッ』

真理子「よーし、やっと終わった」

エリカ「それで大丈夫なの」

真理子「多分ね、元々ビーナには一つの惑星を破壊するパワーを与えてあるの

 もっとも、自爆スイッチだけどさ」

エリカ「それでユダを」

真理子「いいえ それは無理、これまでRIVERから送られてきたデーターを

 分析したけど 例えユダを縛り付けてこの地球事破壊したとしても、ユダには

 おそらく傷一つつかない

N『結局敦子達は、良太等と共にギリギリまでユダの情報を地球に伝えたいと

 RIVERに残ったのだった』

真理子「敦子さんがRIVERに残った真意は分かっている」

エリカ「・ユダと対決するつもりね」

真理子「そう倒す為じゃなく、次の戦いつまり私達の戦いを少しでも

 有利にする為に」

   2人沈黙する

真理子「例え一つの恒星が死滅してもユダは生き残る傷一つ無く、でもやり方に  よっては慌てさせる事位なら出来る、そう言った作戦は私より 軍事参謀

 だった真夏さんの方が心得ている、ビーナあなたを今から一時的に粒子に変えて RIVERに転送します、以後は真夏参謀の指示に従いなさい」

   厳しい眼差しで言う真理子

ビーナ「はいマスター今までお世話になりした、他の皆さんにも宜しく

 伝えて下さい」

   別れの挨拶を言うビーナ

   『チビチビー』

   悲しい声を出す、亀のチビチビ

ビーナ「チビチビちゃんも元気でね」

   亀の頭を撫でてやるビーナ

   『ピッカー』

   ビーナの体が輝き、程なくして消える

真理子「がんばってくるんだよぉ」

   笑顔で見送る真理子とエリカ

〇移動衛星RIVER

   『バババババー』

   ビーナが転送機から現れる

敦子「これはASKにいたヒューマノイド」

山里「いったいどういう事です」

真夏「はっはっは、どうやらエリ達はこっちの魂胆をお見通しらしいな」

   豪快に笑う真夏

真夏「敦子、ユダはおよそ90日後にこの海域に現れる 我らはそれを迎え撃つ」

山里「やった、そうこなくっちゃー」

   ガッツポーズをする山里

真夏「勝つ為の戦いではないぞ、次の戦いを有利にする為の戦いだ」

ビーナ「あのう、私は何をすれば良い]

真夏「ビーナは俺と一緒に戦う、その為の作戦を授けるから付いて来い」

   作戦ルームに向かう真夏

ビーナ「はい、真夏参謀」

真夏「ばか、ここではチーフと呼べ」

   振り向きざまにビーナに言う真夏の仕草が可笑しくて笑い合う敦子と山里

〇翌朝7時

 激しい風が吹いていた

〇希望の家、世田谷本部内

    各避難所では様々なボランティア達

    が、お年寄りのケアを行っていた。

少女1「おばあさん気分はどうですか元気を出して下さい」

少女2「そうですよ、地球は必ず救われますよ」

   手を取って丁寧に話しかける少女達その向こうの白いカーテンで

   仕切った部屋では釜の胸、蜥蜴の尾っぽを持った釜天使ヨシエル

   率いるカマ・ル教が、集会を行っていた。

釜天使「我がお釜界創造の神カマル・トトル神よ、どうかあたい達カーマーを

 極楽へ導いちゃって頂戴、カマトット・カマトットカマとトットは仲良し

 コーヨシぃ」

集団「カマとトットは仲良しコーヨシぃ」

釜天使「ズンベラ・バッーパカーマ釜~」

集団「ズンベラ・バッパ、カーマ~」

   謎の言葉を数回繰り返す、白装束集団

釜天使「お釜の未来に、栄光あれぇ」

  お尻を左右にプ二プ二振りながら語る

  釜天使ヨシエルの右側にはスタンカーメンの様な括弧をした知恵の神クリス   左側には、助言神ハルナが控えていて

   カーテンの向こう側には伽麻の衣装や玉子のカツラが等が放置されてあった

エリカ「ノア、さみしくない」

ノア 「ううん、ノア寂しくないよママもいるし近くにパパだっているし

 それに真理子姉ちゃんだっているから」

真理子(裕ちゃん、私たち助かるんだよね)

   沈んだ声でポツンと呟く真理子

ともみ「どうしたの、昨日諦めない事にしたって自分で言った癖に、弱音を

 吐くなんて真理子さんらしくないぞ」

真理子「そう言うともみだって泣いてるよ」

ともみ「こっこれは真理子さんに釣られて」

水木、山寺「そこの2人、まあまあまあ」

  みなみが置いていった ヒョットコのお面を被っておどける水木と山寺

ともみ「ぷっハッハッハッ、二人ともこんな時にふざけすぎだよ」

水木「こんな時だからこそふざけるのさ、皆元気が無い見たいだったから」

   赤いスカーフを立てて言う水木

山寺「みなみちゃんが教えてくれたのさ笑顔さえ忘れなければ何とかなる

 前向きに行こうよって」

真理子「笑顔かぁそうだったね諦めない事にしたって自分で言った癖にね

 皆ごめん」

   そう言って、笑顔を見せる真理子

   チビチビーが真理子を舐めてあげる

ともみ「みなみちゃんと言えば、あの二人はどこ行ったのかしら」

   四方を見回しながら言うともみ

真理子「そう言えばさっきからマサヒコくんもいないような」

風見「まぁ、夕方までには帰りますやろ」

   そこに風見も入ってくる、他の人達は皆 祈りを捧げていた

  「また平和な明日が来ますように」と

T『一千年の時を自在に操り魔女メディーナが破壊神ユダと共に銀河系に現れる、ユダが吠える度に、消えて行く星々』

   防波堤跡に立つみなみと優子、後ろからマサヒコが声をかける

マサヒコ『がんばれー、お姉ちゃん達、負けるなーぁコスプレ仮面」

   力の限り叫ぶマサヒコ、「うん」と頷く二人、空には稲妻が

   轟き、強風で黄色いスカーフが風に靡く 互いの手を握り最後の戦いの

  決意を固める二人

   『ピカピカッ』

   2人の意志感じたリングが、一層輝く

みなみ「いくよ、優子」

優子「OK、みなみ」

みなみ「ルビーMAX変身」

優子「ユリシーズMAXへんしん」

   カードを天に翳して叫ぶ二人

   『エターナ、ル・メモリーオン』

   システムの音が鳴り、2人を最強の

   エンジェル・フォームへと変える

ユダ『ギエー、ギエー』

   彼方からユダの鋭い唸る声が響く、その方角へ向けて天使の翼を広げる二人

W仮面「ヤー」

   大空へ旅立つ  

〇エンディングが背景に流れる

謎の女性『フッハッハッハッハッハッハッ・

(・・キュルルルル)あっまたお腹が・・」

   岩陰から見つめる、紅井小春らしき影

   ルビーとユリシーズはユダに戦いを挑

   む為、宇宙を航行する

〇地球 監視衛星・RIVER内

   RIVERがコスプレ仮面の後を追って、旅立とうとしていた。

山里「僕たちもう生きて帰れないかもな」

敦子「あ~あせめて、結婚式くらいはあげたかったね、良太」

山里「あっちゃん」

   互いの想いを重ねる敦子と山里その頃、管理室では真夏がビーナの

 頭脳コンピューターに、作戦を打ち込んでいるようだった。

敦子「さあ良太あっちゃんプリゲで行くよ」

山里「おおぅ敦子、望むところさ」

敦子「RIVER発進」

   『ゴゴゴゴゴゴー』

   『キーン』

   RIVERの全体が輝き、超高速飛行に入る

   バーバババ、バー

   突如 空間に亀裂が入り3面の顔に6枚の翼を持った創生の女神オルディナ

   が現れ、一時的に宇宙は輝きを増す

オルディナ「この宇宙に(ほし)に幸あれ」

   シユウウウウウウウウウ

   女神が消えさり、次元が再び閉じる

N『全宇宙の運命をかけた戦いが始まろうとしていた、これは蒼き星

 勇者達の物語』

〇地球を背景に

ルビー、「こいユダ」

ユリシーズ「私達コスプレ仮面シスターズ」

W仮面「あなのハートをメロりんこしちゃうぞ」

T『その後彼らの戦いを知る者は無い・・』

                 END

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