第一章 魔法戦闘(2)
紹介が終わった後、初日と言うこともあり午前の授業を経て今日の授業はなくなった。そしてホームルームが終わり他の生徒はいつの間にか仲良くなっていた仲間達と仲良く話をしている。
そんな中俺は一人、イケメン眼鏡教師である山田先生の学校での居場所である生徒指導室へと足を運んでいた。
呼ばれたのはたぶん香川との喧嘩のことだろう。
「真白君、君はどうやらあの香川君と模擬試合をするようだね。今日君の魔法を受けてみて思ったんだが君では勝てないよ」
そんなことだろうと思った、俺はあいつには勝てない。あいつと接したときに持っていた魔力量は大きく、普段の行動での隙のない動き。確かに普通に今の状態で戦ったら負けるだろう。
「勝ちたいなら、私が一つだけ教えてあげましょう、戦い方をね。ついでに君の友達も一緒に特別授業をしてあげますから連れてくるといい、貴方のやる気も変わってくるでしょうから」
「了解です、それでどんな練習を?」
負けるのは嫌なため素直に先生に力を貸してもらうことにした。
「まぁ行けばわかります。精霊門に集合してください」
「は、はい」
そうして生活指導室から出ると、目の前には紗雪と智彦がいた。
「あ、シロ。何の話だったの?」
「まぁ香川との喧嘩の話だよ。特訓してもらうことになったから二人も一緒にしないか?」
「特訓か、どんなことをするんだ?」
「行けばわかるってさ、それで、行く?」
俺が再び聞いたところ二人は顔を見合わせてすぐこちらをもう一度向き、二人とも二つ返事で了承した。
「よっしゃ、なら精霊門に向かおう。場所は・・・・・・ここから結構近いんだな」
「ならすぐに向かいましょ、楽しみね」
そう言いながらアミュで場所を調べていた俺と智彦を置いて、紗雪は一人勝手に歩いて行く。俺と智彦もその後を追い、精霊門へと向かった。
「精霊門って事はやっぱり精霊との仲を深くするのかな?」
「その可能性が高いでしょうね。けどそうならシロは意味がほとんどないわよね・・・・・・」
「まぁな・・・・・・まぁいくら深めてもいいだろうし、いいんじゃないか?それにしても、でかい学校だよな~」
入る前にも思ったがこの学校は本当に大きい、中等部と高等部は別々の校舎で結構な距離離れているため高等部を今まで見たことがなかった。中等部は普通の学校の大きさだったが、高等部は端から端まで移動するには車でも何十分とかかるだろう。
「本当よね、きれいな校舎なのがまた最高よ。でもこの学院以外の魔法学校ではビル状の学校なんかもあるみたいよ」
「この学校には食堂はもちろん、マッサージ室や温泉なども完備されてるらしいぞ」
「至れり尽くせりだな」
もはやそれは学校じゃないだろ・・・・・・金かかってるなー
「しかも今から行く精霊門は魔法学院の中でも持っている所はすごく少ないらしいよ」
「これから魔道授業で活用するときも多いみたいね」
それをいち早く今日は確認できるわけだな。少しラッキーな感じがする。
そういった話をしていてようやく精霊門についていた。
精霊門の設置してある部屋の扉を開け中に入ると驚きの光景が俺達を迎え入れてくれた。
「ここが・・・・・・」
「嘘だろ」
「なんで、部屋の中にこんな広いスペースがあって森林に覆われてるのよ」
今まで校舎の中にいたのにいつの間にか外へと出ていた。空を見上げてみると太陽と雲もあり、鳥も飛んでいる。本当に別の世界に迷い込んできたみたいだ。
「皆さん驚いてますね」
声のする方を見てみると山田先生がさっきまでいなかった所に戦闘服姿で立っていた。掛けている眼鏡を上げて、どうぞこちらへと言い奥へと進んでいく。俺達もその後についていく。
これは迷ったら一生出れなさそうだな。
そして扉から五分ほど真っ直ぐ歩いて行った所にツルや葉が巻き付いた扉があった。明らかに使われていないような感じだが、その扉からは魔力がすごく感じ取られる。
「さて、それでは皆さん訓練を始めます。この精霊門の中に入って自分の契約精霊と訓練してきてください」
やっぱり精霊との仲を深める訓練か
俺達は言われるとおり戦闘服へとトランスし、準備を終える。
「では始めましょう、扉が開いたら皆さん入ってください。それでは・・・・・・」
そうして先生が詠唱を終えると精霊門が開き始めた。中は白く渦を巻いており、入っても大丈夫なのかと少し戸惑うが、勇気を出して足を踏み入れていく。
中は始め眩しかったが徐々に目が慣れてくるとそこはかわいらしい女の子の部屋だった。
「へ、ここ、どこ?」
訓練をして来いと言われていたからどんな過酷な物をするかと気を張っていたが、すごく拍子抜けだ。1Rの部屋にはベッドや勉強机、クローゼットに鏡など生活感のあふれる
物がとても多かった。
「シロさん、ご入学おめでとうございます」
俺が立ったままの状態で前を呆然と見ていると後ろからとても優しい声で入学したことを祝福された。
祝福したのは俺の契約精霊であるマリだ。年は精霊だからわからないが、見た目は小学生のロリ、髪はロングヘアできれいな銀髪だ。
「こういった形で合うのは久しぶりだな、んで、山田先生の話は知ってるんだろ?」
「もちろんです、今回山田先生からは訓練内容は私たちが考えていいと伝わっています。ですので初日は普通に仲がよくなるようにしてくれとの事です」
仲がよくなるようにしてくれって、本人達に言うことじゃないだろう。あの山田先生、本当は馬鹿なのだろうか・・・・・・
「それでなんでお前の部屋らしき場所なんだ?」
「それはですね、やっぱりお話の方がいいかなーと思いまして」
マリは笑顔で若干頬を赤らめながら言う。その姿に俺はくらっときてしまう。
あぁ眩しい、その笑顔は眩しすぎるよ。もう抱きしめてしまいたいくらいに!
言っておくが俺は決してロリコンではない、普通に同年代の女の子が好きだし、つきあいたいとも思う。普通に愛でる対象としてかわいいと思っているだけだ。
「てか俺とお前は絆レベルとか普通に高いんじゃないのか?」
「そうですね、でもまだマックスというわけではないので意味のないことではないです」
「そうか、なら話すか」
と言ったものの話す内容が思いつかない。さてこれが彼女いない歴=年齢の男の、女性に対して面識のない結果ですね。話すことがわかりません、どなたか教えてほしい。
マリもこちらをじっと見ている。
これは俺が話し始めないとだめだな。
「わ、私、シロさんとの出会いを振り返りたいです。大事な思い出だから・・・・・・」
俺がうなりながら話す内容を考えていると、マリが口を開き言った。
こんなかわいい子にそんな素晴らしい台詞を言われるなんて・・・・・・感動して抱きしめてなでてあげたい!
だがそんな事をしては犯罪者になってしまうので残っている理性によりそれだけはなんとか保ってみせた。
「よっしゃ、なら何の思い出から話す?」
「私との最初の思い出がいいです!」
やべぇクリーンヒットだわ、胸が高鳴る。はぁ、こいつは絶対守り切ろう!
そんな事を考えながらマリとの出会いを振り返る。
「俺がマリと出会ったのは中等部の帰り道だったな。俺が精霊との契約を結べなくて一人で家に帰っている時、マリは道に迷ってたな」
「あの時は大変でした。右も左もわからなくてどうなることかと・・・・・・」
マリはわかりやすく自分の腕で体を包みガクガク震える。
「あれはマリが地図を忘れたのがいけないんだろ、しかもお金もなくすし」
「あれも不幸の巡り合わせですね。でもシロさんが助けてくれました」
「今思うとあの状況、魔法でどうにかできないのか?探査魔法とかないの?」
そう言うとマリは少し下を俯きながら声のトーンも低く答えた。
「わ、私・・・・・・探査魔法は知らないんです」
おっと、これは聞いてはならない事だ。
俺は肩を落としているマリの頭に手を置いて撫でてやる。するとマリは落ち込んでいた顔を徐々に嬉しそうにし始めた。
あぁ、最高だ。ずっとこうしていたい。さらさらした髪はずっと撫でていても飽きないことだろう。
「えへへ、シロさん。そういえばなんで私を助けてくれたんですか?」
「まぁ正直さ、どの精霊とも表向きしか接する事ができなかったんだよ」
「え、それって・・・・・・」
「いや、精霊が嫌いとかじゃないぞ?ただ単に俺他人と接するのが苦手でさ」
「コミュ障ですね」
「おい!そうだけどはっきり言・わ・な・い・でっ!」
マリは他人に対して少々気が使えない所がある。精霊は嫌いではない、どちらかというと誰とでも仲良くはしたいと思っているんだが、目の前に言ったら何を話したらいいかとかわからなくてどうも苦手なだけだ。
コミュ障ではない、ただ単に苦手なだけだ!そう思い込みたい・・・・・・
「どんな理由があれ私はシロさんに助けられました。私が生きてるのもシロさんのおかげなんですよ」
「もう何回も聞いたから・・・・・・なんか湿っぽくなったな、さて話を変えてあいつをどう倒すか相談しよう」
「単純な魔力勝負ならシロさんは負けることはありません、ですがあの人は魔法対戦になれているようでした。そうなると話は変わります。シロさんは全く魔法対戦の経験はないので」
「俺だって一応は中等部で訓練はしてきたぞ!」
そう俺が抗議をするとマリは盛大なため息をつき、説明するために魔力を使いモニターを出現させた。
「いいですか、シロさんが中等部時代訓練してきた事はこうです」
そう言うと出現したモニターの中の俺らしきキャラクターがマリの声と共に動き出す。
「中等部の時はこうでした、自分の契約精霊種の魔法を覚え、それを実戦でつかえるようにするために、簡単な魔法で、魔人形との戦闘をしてました。ですが、魔人形は魔人形です。簡単な魔法しか使えず、対して動きは速くありません。あの魔人形相手ならあの香川さんなら一瞬で勝ってしまうと思います」
「えぇ、まじで・・・・・・?」
中等部では一番早く、魔人形に勝利していた奴でも一〇秒はかかっていた。ちなみに俺は一五秒程度で成績では上位者なのだがマリの話を聞くと力の差を感じる。
「シロさんも分かっているとおり、シロさんの技術では勝てません。ですのでこうしましょう」
「・・・・・・どう?」
幼女の作った不気味な笑みに俺は少し背筋を凍らせながら作戦を聞くのだった。
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