路上オリンピック
2020年にとある国で世界歴史に残る出来事が起こった。4年に一度のオリンピックの開催地が決まったのだ。この国は『ピクルス』といい、技術力は先進国レベルであるものの長年の不景気により経済は数千億円の赤字状態であった。そのため、オリンピック開催は決定したものの、費やす予算に限界があったため、政府は手をこまねいていた。各競技の施設の不足や開催までの期間も有余はなく、良い案もないまま、八方塞がりであった。そして政府が内部でてんてこ舞い状態の中、一人の男が現れた。
ジョージ・タイ
元アスリートで現在は国家規模でアスリート育成やスポーツ発展に尽力を尽くしてきた人物だ。大統領だけでなく、国民からの信頼も厚く、今回のオリンピックの件も大統領は彼に一任することにした。
ジョージが就任して一ヶ月が経ち、開催のコンセプトが発表された。その内容が終わったとき、国民の激怒の怒りが巻き起こった。
発表されたコンセプトは
『路上オリンピック』と題された。
施設建造が見込めない以上、今あるものを活用していくという考えのもと、
陸上競技は道路で
水泳競技は川で
室内競技は学校などの公共機関の体育館で
今まで開催された従来のオリンピックよりも規格外で非常識な発表に対して国民は
「国の名に泥を塗るな」「国際的信頼を失った」
と口々に怒りを示した。各国からも怒涛の怒りが飛び交い、ジョージは世界の嫌われ者になってしまった。
しかし、衝撃の発表から三日後、衛星中継にて全世界に向けてスピーチを行った。
「スポーツとは立派な施設で行わなければ、スポーツとして成立しないのか?
見栄えを気にしなければならないものなのか?
それは本当にスポーツといえるのか?
私は違うと断言する。
どんな劣悪な環境でも人と道具があれば、スポーツは成立する。
皆が楽しさと喜びを感じられたのなら立派なスポーツだ。
たが、この国は今、国民が苦しんでいる。苦しんでいるのに無理矢理、施設を作り、
スポーツを成立させてもそれはスポーツとはいえない。
だからこそ私は『路上オリンピック』を提案し、皆が心から笑えるオリンピックを作りたい。」
このスピーチは国民だけでなく、世界に対しても考え方を変えさせた。
2028年、歴史上最も質素なオリンピックが開催されたが
歴史上、最も観客と選手の距離が近く、熱く盛り上がった大会が開催された。
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