クモの糸

自分の友人に捻くれ者がいる。


彼には友人が少なく、物事を素直に捉えることができない。

いわいる頑固者である。

彼は親のことを尊敬しておらず、むしろ怨んでいた。

「生まれてきたから今こうして自分が苦しんでいるんだ。」

彼はあらゆることに否定的であり、そんな自分に陶酔しながら生きてきた。


おそらく彼の生き方は間違っているだろう。

でも、そのことを指摘すれば彼の存在は否定され自殺してしまうだろう。

彼を構成する要素は脆く、捻くれるという一本の糸でしか

社会と繋がることができない。だからこの糸は切らないでおこう。

この糸が彼を繋ぎとめる糸ならば。

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