マミーストライキ03
初めはただの好奇心でした。
どうしてあんなに包帯を巻いているんだろう? あの包帯の下はどうなっているんだろう?
疑問がぐるぐると私の中で回りに回って気がついてたら行動に移していた。
でも実際に会って話してみると聞きたかったことはもうどうでもよくなってきている。
確かに包帯は何度見てもおかしいと思うけどそれ以上に私は絵という生きがいがある蓉子さんを尊敬している。
毎日はさすがに学校があったりで無理だけど時間があったら例の公園で会って話をする。ただそれだけなのにとても楽しい。
そして気のせいかもしれないけど、悩みはどんどん薄れて笑顔が多くなった気がします。
やっぱり私のマイナスイオン的な何かが蓉子さんにいい効果をもたられたようです。これならきっと完全解決出来ちゃいそう。
と思った矢先、公園には蓉子さんの代わりにあの伏見さんがいた。
これはどういうことかと頭をフル回転していると伏見さんの方からこちらに近づいてきたではありませんか。
「やあ、火夜ちゃん。こんなとこで会うなんて奇遇だね」
何だかこのセリフは夏の浜辺に出現するナンパ男みたいです。やっぱり第一印象は大事みたいですね。
「それはこっちのセリフですよ。彼女もいないのにデートの演習ですか?」
「そんな悲しいことするわけないだろ。ちょっと探している人がいてね」
「へぇ、探し物じゃなくて探し人ですか。それでどんな妹をお探しですか?」
「なんで妹限定なんだよ。僕はこの辺でよく見かけるっていう話を聞いてとある少女を探しているんだ」
「結局、女ですか。それで一体どんな方なんです?」
伏見さんには恩がありますからお役に立てるなら何かお手伝いをしたいと思ったのですが意外な答えが返ってきました。
「包帯をそこら中に巻いている中学生で確か火夜ちゃんのお姉さんと同じ学校に通っていたと思うけど」
それは明らかに蓉子さんのこと。どうやら伏見さんも私と同じく蓉子さんを探しているようです。
「残念ながら知りませんね。でもなんでその方をお探しなんですか?」
「ちょっと事情があってね。知らないならいいんだ。見かけたら教えてくれ。それじゃあ」
伏見さんは公園をひとしきり確認すると自転車に乗ってどこかへ行ってしまいました。
ついウソをついてしまったけど一体蓉子さんにどんな用があったのでしょう? でもあの人の用だとなんでか嫌な予感しかしません。
ようやく元気が戻ってきたのに邪魔をされたらたまったものではありませんからここは黙ったままにしておきましょう。
この後、待っていたけどいつもの時間に来なかったので帰ることにしました。
伏見さんが来たから?
いや、でも私と違って蓉子さんは中学生で部活もしているのでそのせいだと自分に言い聞かせていつも通りにしていたのですがあれから一週間経っても公園に来ることはありませんでした。
別の公園に行ってみたりまた聞き込みをしてみたりしたけど成果はあげられず、ひとまず家へ帰って考えをまとめてみましょう。
「最近元気ないけど何かあったの?」
食事中、お姉ちゃんにそう聞かれた。どうやら顔に出てしまっていたらしいです。
「大丈夫だよお姉ちゃん。ちょっと気になることがあるだけで」
やっぱりあの包帯は何か事情があって、それが悪化したのかもしれないとか色々と考えちゃっいました。でも忙しいお姉ちゃんに迷惑はかけたくない。
「そう……何かあったら相談してよ。忙しいけどそれを理由に遠慮しなくていいんだよ。たった一人の可愛い妹なんだから」
「うん。ありがとうお姉ちゃん」
でも、ごめんなさいお姉ちゃん。
首を突っ込んだのがバレて怒られたくないというのもあるけど、これはもう私の問題。
だって私が解決してみせるって言ったんだもの。
名探偵に二言はない。
でも会わない限り話し合いも出来ないし、何について悩んでいるかも分かんない。
さすがに内容を知らないとこの名探偵も動くことが出来ない。
もしかしたら学校にも行ってないかもしれないけどそれを確かめても意味がありません。なにせ私がこうして動いているがお姉ちゃんにバレないようにしなくてはいけませんから、学校に会いに行くなんて出来ません。
なので私に残された選択肢は一つだけ。
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