白石アオバに青春時代は訪れない?

@momohana

青春、終了

ああ、終わった。


何もかもが終わった。


私の青春時代は、こんなにもあっけなく終わってしまった。


…ふう。


小さく息を吐き、下唇を強く強く噛んだ。


泣いちゃだめだ。こんな所で泣いてちゃ…

またあいつに馬鹿って言われる。


…ああ、そうか。


そんなあいつはもう居ないんだった。


短気で口の悪いあいつはもう居ない。

私をいつも小馬鹿にして笑うあいつはもう居ない。

でもなんだかんだ言って優しくて、励ましてくれて 、でもやっぱりウザいとこもあって色々と幼稚で。


そんなあいつはもう居ない。



噛んだ下唇から血が滲み、口の中に鉄の味が広がる。


なんて気持ち悪いんだろう。


こんなにも気分が悪いのは、あいつと出会って以来、初めてだ。


あいつと…出会って。か。


あの頃はあいつのことなんて気にも止めて無かった…というよりは嫌いだった。


…幸せだったなあ。


あいつと出会ってからの最悪の日々が、幸せだったと今なら思える。


…やり直したい。

私は空を仰ぎ見て、そう、祈った。


今一つだけ願いが叶うと言うのなら、あいつと出会った始業式の日、あの十字路から全てをやり直したい。



しかしそんな彼女の思いに神様は目もくれず、彼女は頬を濡らした。


すっかり冷えこんだ冬の風に、彼女の吐息は儚く消えていった。



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