村瀬
事情はわからないけど、なんか重大な任務をかかえちゃった。いつも冷めてる敦があんなになるなんて、何か訳があるに違いない。
マッチ箱が潰れた音がする。
確認するが、これは犯罪行為である。
でも、人を助けなくてはならない。
矛盾した事実がお腹の中で渦を巻く。吐き気がする。
実は、敦が入院してる時、雨宮 楓 と名乗る男性がお見舞いに来たことがある。
少し雑談をしたが、何か違和感を覚えた。
敦との関係を聞いても、ただの友人だとはぐらかされてしまったし、神社に住んでいるのかと聞いてみても、敦と私の思い違いではないのかと言われたんだ。
そして、笑顔が綺麗すぎて気持ち悪かった。
まるでお手本のような、好青年の模範解答のような男性だった。
その記憶と敦からの手紙、さっきの発言から推測するに、楓くんはこの街の古い伝承、おうじき様と何かしらの関係があり、それによって命に危機が迫っている。それで今、彼を助けることが出来るのは私だけ。
だれも悪くないのだ。それでもって、全員が被害者なのだ。
足がすくむけど、冷や汗が垂れたけど、それでも一歩を踏み出した。
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