音の出所

食べ終わっても少し興奮気味のエミ。そんなエミを今日一日仲良く出来そうにないと改めて冷めた目で見るありさ。二人……悪魔と人間なので二人と呼称して良いものなのかわからないが、二人はもう少しだけ新幹線に静かに揺られて行く。


初対面の人と過ごすのはほとんどの人が多かれ少なかれ緊張する事であろう。ありさも例外ではない。むしろ男性慣れしていないので人一倍と言ったところか。


ありさは喉が渇き、残しておいたペットボトルのお茶を飲んだ。正確には飲もうとした。お茶を飲もうと口までペットボトルを運んだが蓋を開け忘れていたのだ。多くの人が一度ぐらいはした事のある凡ミスなのでとくに気にする様子もなくすぐ蓋を開けてまたペットボトルを口へと運ぶ。


「モキュキュイーン!!」


ありさがパッとエミを見る。今のは確実にエミのほうから聞こえた。


「携帯ですか?何か鳴りましたよ?」


エミの体のあちこちを見るありさ。中の人の服やズボンのポケットにでも携帯があると思うのだがエミのどこを見ても継ぎ目がない。テレビで見てもゆるキャラの背中にファスナー等見えるのに全く見当たらないのだ。よほど精巧に作られているのか、はたまた見えない下から被るような仕組みなのか……



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