エミと葵5

「で、葵区マンさん、お名前は?葵区マンさんだと呼びにくいですよー」


「エミです」


「え?エミさん?苗字ですか?女の子みたいですね!可愛いです!」


「えと、……僕はなんてお呼びしましょう?」


「葵です!私友達からは葵ちゃんとか、ありちゃんって呼ばれてます」


「では葵ちゃんで良いですか?」


「はい!大丈夫です!よろしくお願いします!」


笑顔で答えたが内心はちゃん付けかよ、葵さんじゃないのかよ!馴れ馴れしい!初対面なんだからと思っている。


前の車両から綺麗な厚化粧のお姉さんがワゴンを押して入って来るのが見える。


「あ、何か飲み物でも飲みましょうか?」


ありさはエミに聞きながら時計を見た。


「と、言うかもうすぐお昼になりますね?何か食べます?」


エミは星を出発してから何も食べていない。が、食事の事など気にもしていなかった。聞かれるとお腹は減っている。


「食べましょう」


「何が食べたいですか?私注文します」


「肉です。悪魔は基本肉好きです。」


ありさはまだ悪魔とか言ってるエミに少し面倒臭さを感じたが、ゆるキャラの人達は皆こういうものなのかと思いプロ根性も感じた。


焼肉弁当とお茶をそれぞれ二個ずつ注文して代金を支払うとこちらが幾ら払うかあらかじめ知ってるかのようなスピードで釣り銭が返ってくる。車内販売のお姉さんはマニュアル通りのお辞儀とあきらかな裏声でのお礼を言いワゴンをまた押して後ろへ向かって行った。










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