エミと葵4
ボーッとしているエミを煩わしく思いながらもまた着ぐるみのせいだと小さくため息をつき無理矢理新幹線に押し込むような形でエミを新幹線に乗せた。初対面の人との会話は想像以上に気を使うのだ。
冬のせいかエミの体に触れるとやたら暖かく感じた。
「自由席なんでどこでも良いですね」
車内は空いていたのでエミを入り口に近い席の窓側に座らせ自分も隣に座った。着ぐるみのせいで座れるか心配だったがなんとか座れた。
エミは先ほどからボーッとして一言も話さない。話せないでいる。資料を見てある程度日本の勉強はしている。自分の星には無いものだらけでと言う事もあるが、ありさの存在が衝撃的らしい。
しばらくして新幹線は出発したが、ありさは今日一日この人と一緒なのかと考えると憂鬱だった。なんとかこの空気を変えようとエミに話しかけた。
「すみません、お名前伺ってもよろしいでしょうか?今日一日なんてお呼びしましょう?」
ありさの質問にエミは恐怖と安らぎを同時に感じる。今まで味わった事のないような感じだった。まるでじいちゃんと話してるようだが少し違う。後程この謎はおよそ解けるのだが、今のエミにはわからない。
「アナタは人間ですよね?悪魔を見て怖くないんですか?」
初めて日本に来て星で勉強していた日本の敬語を使って話した。
ありさはくだらないやりとりだと感じるが、大人の返答をした。
「あはははは!面白い!面白いです、葵区マンさん!」
「モキュキュイーン!!」
ありさの笑顔を見てエミはまた萌えた。ありさはなんの音かと周りの席を見渡すがわからないのですぐに諦める。
「その格好って悪魔のイメージなんですか?あはは!最初まりもかと思っちゃいましたよ私!まりもも関係ないですけど悪魔も全然静岡と関係無い感じですよね?私静岡の歴史とかそんなに詳しくないですけれど」
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