葵 ありさ4

普段週2から週3ほどでメイド喫茶でバイトをしているありさは今全身コテコテのメイド服姿だった。


「ちょっと!望ちゃん!メイド服に着替えさせて何させるつもり!?熱あるんだから大人しくしてなよ!」


半笑いでありさが言うと


「だからそんな趣味無いってば!」


察した望も半笑いで言った後、少し咳き込んだ。


「ごめん、ありちゃんを呼んだ本当の目的はこっちなの。今日イベントなんだけど私の代わりに行ってきてくれないかな?ほら、私こんなだし」


と言いながら今度はわざと咳き込んだ。


「はあ?おい!ふざけんな!こんな格好で何するんだよ!?」


また半笑いで言い返すと


「突っ立ってるだけで良いんだって!日当も2万貰えるし、ありちゃん今月携帯代ヤバいって言ってたよね?ね?ありちゃん相当可愛いんだしさ、適任だよ、お願い!!」


しばらくありさのヤダヤダと望の説得のループが続いたが結局ありさは望が本当に困っているようだったし、2万の魅力と望の迫力も手伝って引き受けてしまった。


詳しく聞くと名古屋で全国No. 1のゆるキャラを決める大会があり、静岡代表のゆるキャラを名古屋まで連れて行きエントリーさせるのが主な仕事らしい。あとはゆるキャラの横にメイド服姿で突っ立っていれば良いと言うこと。その他昼食代、夕食代、現地へ向かう為の新幹線の切符も出て、大会で優勝した場合には賞金10万が出るのでもし獲得した場合はゆるキャラの方と折半。望は日当、ご飯代、新幹線の切符をありさに渡す。


ありさは先ほどよりヤル気になってきた。

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